職場の喫煙対策事例 安全衛生情報センターへ
(3)敷地内禁煙の結果
 
事例9  パイオニア工業株式会社 本社工場
 
1 事業場の概要
(1)業種:製造業 事業の内容:ペットボトルの製造
(2)所在地:福岡県
(3)従業員数:298人(男性:200人 女性:98人)
(4)従業員の平均年齢:35歳
 
2 禁煙の概要
(1)喫煙対策の担当部署:総務部
(2)喫煙対策に取り組み始めた時期:平成16年2月 〜
(3)禁煙を実施した時期:平成18年7月 〜(敷地内完全禁煙)
(4)従業員の喫煙率:平成16年2月 50%(男性65% 女性35%)
(5)昼休み等休憩時の喫煙:敷地外喫煙所のみ許可している。
(6)禁煙の状況:全社
(7)建物の構造:事務所(2階建て)、工場(2〜3階建て)(写真9−1)
(8)建物の所有者:自社ビル
(9)禁煙の内容:敷地内禁煙(従業員、来客とも喫煙不可)
(関東にある工場は、建物内禁煙であり、屋外に喫煙場所がある。)
 
3 禁煙の詳細
(1)禁煙にする前の状況
ア 喫煙コーナーの設置
建屋外に5箇所、長いすと灰皿を置いた喫煙場所を設置し、使用時の注意点を周知した(写真9−2)。建屋内に喫煙するスペースをつくるとコストがかかるため、屋根付きの駐輪場の一部を利用するなど建屋外に設置した(写真9−3〜5)
清掃等の管理は課ごとに喫煙者が行っていた。配送業者等も喫煙可とし文書で随時周知した。
工場の現場の従業員は休憩時間に喫煙し人が集中するため、事務職は喫煙する時間を配慮した。
イ 喫煙場所の削減
喫煙場所を5ヶ所→3ヶ所→1ヶ所と徐々に減らしていった。
会社敷地の前の公道や、会社の駐車場の車内は禁煙とした。
喫煙者からは、喫煙場所が遠い場所にあると休憩時間が守れないといった意見がある一方、禁煙を希望する者からは喫煙場所が近くにあると喫煙がやめにくいといった意見があった。
 
(2)禁煙にした動機及び経緯
ア 事業場の責任者の判断により、建物内禁煙とした。
以前より社長と喫煙対策について議論があり、平成16年2月に課長と喫煙者数名との意見交換会を行い、禁煙推進委員会(メンバーには喫煙者含む)を立ち上げ取り組むこととした。
ガイドラインの内容も参考にし、平成16年7月から屋外5ヶ所の喫煙場所を設け分煙することとした。それまでの間を周知期間とした。
平成16年6月中旬より応接室、会議室を非喫煙スペースとし禁煙のポスターを掲示し灰皿を撤去した(写真9−6、7)
 
イ 敷地内全面禁煙
平成18年7月から、敷地内全面禁煙とした(写真9−8)
食品会社と取引があり、食品を入れる容器の製造を行っている関係上、製品の品質保持のためと、以下の理由により、ぜひとも必要と考え敷地内全面禁煙とした。
[1]品質への影響・・・細かい所を見る検品作業の集中力低下防止
[2]長期雇用対策・・・少子化問題・採用難問題対策
[3]本人・家族の健康
上位役職者により禁煙を実施したことや、全体朝礼で何度も取り上げ、禁煙ムードをつくっていったことが、効果的であった。
 
(3)禁煙に取り組んだ内容
ア トップの禁煙宣言
イ 社内教育(講演・アドバイス)
平成18年3月主に喫煙者を対象とした、外部専門医による喫煙の人体への影響等についての講演を2回実施し、参加者は80名であった。また、外部専門医より活動におけるアドバイスや様々な情報をいただいた。
ウ 採用時の周知
採用受け入れ教育時に、当社の禁煙への取り組みを説明し、理解してもらっている。また、入社希望者が喫煙者かどうか確認している。
エ 禁煙者への手当て
禁煙の取組みに際して、喫煙者から反発の声が寄せられていた。(分煙実施時〜平成18年7月の敷地内禁煙になる前までの間)3ヶ月間、社内での禁煙を達成した者に1万円の報奨金を支給した(写真9−9)
喫煙者は3ヶ月間の禁煙を宣誓し朝礼で張り出し、禁煙が達成できたら朝礼で発表し、職場単位で上司から報奨金を渡した。
オ アンケート調査
禁煙に対する意見の聴取は、喫煙者、非喫煙者両方に意見を聞くことやアンケート調査をおこない、その意見を参考にした。
[アンケート内容]
  禁煙に挑戦したことがあるか
  たばこの体への害の知識はあるか
  喫煙本数/1日 等
喫煙者に対して、個人ごとに喫煙するたばこの銘柄を調べた
 
(4)社内で苦労した点
ア 喫煙者に対する禁煙の説得
課長以上管理職者を社長自ら説得し、禁煙の体制を固めて、[1]食品会社と取引を行う上で衛生上必要、[2]少子化問題で採用難等が考えられるため、従業員の長期雇用対策(従業員を確保し長く健康で働いていただく)、[3]本人と家族の健康の為、を3大目的として喫煙者に理解を求めた。
イ 禁煙手当てに対する不公平感
喫煙対策に取り組む前は受動喫煙があり苦情が寄せられていたが、それがなくなり、好評である。
 
(5)労働者の評価
ア 喫煙者の評価
この取組みにより、たばこの本数が減ったり喫煙をやめるきっかけとなっている。
イ 非喫煙者の評価
たばこの煙や臭い、吸殻の問題が解消され、職場環境が向上した。
 
4 その他
(1)事業との関係(特徴)
全応接室に禁煙ポスターを掲示。構内に禁煙標識を設置。食品を入れる容器を製造しており品質保持(検品作業を集中して行う為)のため、必要性があると考えた。
 
(2)問題点、今後の課題、今後のサポートの予定
ガン検診を行っており、その際喫煙者への指導を継続して実施する。また、従業員の禁煙についての意識調査を行いたい。
 
建物外観   分煙当時の喫煙場所の表示
写真9−1
建物外観
  写真9−2
分煙当時の喫煙場所の表示
 
廃止した喫煙場所1(駐輪場に利用)   廃止した喫煙場所2(構内禁煙の表示)
写真9−3
廃止した喫煙場所1(駐輪場に利用)
  写真9−4
廃止した喫煙場所2(構内禁煙の表示)
 
廃止した喫煙場所3   打合せスペースの表示
写真9−5
廃止された喫煙場所3
  写真9−6
打合せスペースの表示
 
会議室内   構内禁煙の表示
写真9−7
会議室内
  写真9−8
構内禁煙の表示
 
禁煙達成報奨金
  写真9−9
禁煙達成報奨金
 
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