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事例19 株式会社サンデーサン
 
1 事業場概要
(1)業種:飲食業 事業の内容:全国レストランチェーンの経営s
(2)所在地:東京都
(3)従業員数:677人(男性:636人  女性:41人) ※正社員のみ
(グループ全体でアルバイトを含め9,000人、そのうち店内禁煙に取り組むジョリーピアット23店舗、各店舗には社員は1〜2人、アルバイトは各店舗に約20人)
東京支社には50人
 
2 禁煙の概要
(1)喫煙対策の担当部署:営業企画・推進グループ(業態ブランディング)
(2)喫煙対策に取り組み始めた時期(店舗):平成15年5月1日以降(健康増進法の施行後店舗内で喫煙席・禁煙席が分かれた(ジョリーピアット以外の店舗)。)
(3)禁煙を実施した時期(店舗):平成18年3月(ジョリーピアット第1号店開店)
(4)従業員の喫煙率:以前は50%以上であったが、今は減少している。
(5)建物の構造:店舗により異なる。
(6)建物の所有者:店舗により異なる。
<ジョリーピアットの店舗内禁煙について>
(7)禁煙の内容:店舗内禁煙(写真19−1)、23店舗中2店舗のみ屋外に食事のできる喫煙スペースあり(来客者喫煙可)。
店舗によっては従業員にも禁煙を促しているところもある。
・設備:屋外テラス席、入り口前の灰皿
・場所:店舗と完全に分離した屋外の席。食事前または食後にご利用いただくスペースとしている。
 
3 禁煙の詳細
(1)禁煙にする前の状況
分煙対策として、禁煙席、喫煙席と分煙制をとっていたが、狭い店内において完全な仕切りもなく、受動喫煙の可能性のある状態であった。
 
(2)禁煙にした動機及び経緯
従来の店舗内は分煙に対応していなかった。店のリニューアルをきっかけとし、従業員が中心となり、「LOHAS(ロハス)」をキーワードに、環境にやさしく健康のための食事をコンセプトに取り組みを行った。(LOHAS Lifestyles of Health and Sustainabilityの頭文字をとった略語。健康と環境、持続可能な社会生活を心がける生活スタイル)
店のブランドマークをグリーンにし、コーヒーの香りを楽しんでもらう空間を大切にするために店舗を禁煙化して差別化を図り、経営幹部の理解を得た。
「ジョリーパスタ」を展開していたが、リニューアルして「ジョリーピアット」を立ち上げるときに店舗内禁煙とした。従業員に周知し、店舗入口に禁煙の表示をした。全店23店舗のうち22店舗はリニューアルで、1店舗は新規に出店した。
 
(3)禁煙に取り組んだ内容
ア 禁煙の状況
一部店舗のみ(全国に展開している23店舗ジョリーピアットのみ)
ジョリーピアットの従業員は勤務時間内禁煙である。
イ 他の店舗
その他に展開しているサンデーサン等の店舗は喫煙席・禁煙席がある。
また、サンデーサン等の店舗従業員は休憩室で喫煙可となっている。店舗によっては従業員にも禁煙を促しているところもある。喫煙者は喫煙後、歯を磨くなど、お客への配慮が高まっている。
山口県にある本社は分煙(喫煙室あり)、工場は食堂で喫煙可となっている。
また、東京にある支社は平成15年までは机でも喫煙可で分煙していなかった。喫煙者の減少や健康増進法施行をきっかけに上層部によるトップダウンで今現在分煙(喫煙室あり)である。
 
(4)労働者の評価
リニューアルの際、社長の意見により従業員の作業空間を狭くして、お客の空間を広く快適に過ごしていただくこととしたため、一部に不満もあったが、コンセプト(環境にやさしく健康のための食事を)を理解し、現在では、喫煙者も自主的に就業時間中は禁煙を実施している。
 
(5)労働者の評価
店舗により異なるが、従業員室を禁煙にしたり、従業員自体も客席に出る従業員は喫煙者でも店舗では吸わないなどの取り組みを行っている。
 
4 その他
(1)事業との関係
ア お客の反応
店舗内禁煙化により一部常連のお客が離れた。また、お客から喫煙スペースは必要であるとの意見も多い。禁煙化した店舗はまだ実験段階であり、他の店舗にも広めていくのかはまた検討していきたい。郊外型の店舗では他社のファミリーレストランも周りに多くあり競争も激化している。店舗内禁煙を理由にご利用いただくこともあるが、来店したお客が禁煙を理由に帰る場合もある。
イ 客層の変化
従来は食事中心であったが、店舗内禁煙にしたことにより、食事中のパソコン操作や読書を楽しまれるお客が増えるなど、店内でのお客の過ごし方も変わってきた。また、妊婦の方など女性に多くの支持を得ており、客層も変化した。
ジョリーパスタ時代からの喫煙のお客からの苦情がないわけではなかったが、店外には喫煙できるテラス席を設けたことによって解消している。それよりも、店内全席禁煙にしたことによるお客の評価の方がはるかに高い。
 
(2)問題点、今後の課題、今後のサポートの予定
ジョリーピアットにおいて受け入れられたこの取り組みを、今後他の業態に取り込むことができるのか、現状のジョリーパスタの分煙制(受動喫煙の可能性)をどうしていくのか…等、お客の声等を参考に、検討中である。
また、ジョリーピアットがお客に環境にやさしく健康のための食事ができる禁煙の店として認知されるよう努めていきたい。
 
店舗入口の表示
写真19−1
店舗入口の表示
 
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