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「化学物質等の危険有害性試験基準」及び「化学物質等の危険有害性評価基準」
制定について (平成24年3月29日 基発0329第11号により廃止)

改正履歴

                                                                               基発第395号
                                                                             平成4年7月1日

  平成4年7月1日付け基発第394号「化学物質等の危険有害性等の表示に関する指針について」記の第
3、2.(13)及び(6)においてそれぞれ別途示すこととしていた標記「化学物質等の危険有害性試験基準」、
「化学物質等の危険有害性評価基準」のうち化学物質等の有害性に係る試験基準、評価基準をそれぞれ別
添1、2のとおり定めたので了知するとともに事業者団体等に対して周知に努められたい。
  なお、化学物質等の危険性に係る試験基準、評価基準については別途通達する予定であることを申し添
える。

別添1
化学物質等の有害性試験基準

第1  急性毒性試験の基準
第1−1  吸入による急性毒性試験
1  目的
    本試験は、被験物質の急性毒性の有無を明らかにすることを目的とする。
2  試験動物
  (1)  動物種
        6週令前後のラットを用いる。
  (2)  動物数と性
        3(2)により設定する各暴露気中濃度群ごとにラット10匹(雌雄各5匹)以上を用いる。
3  被験物質
  (1)  投与方法
        被験物質の気中濃度が均等かつ一定濃度に維持されるように調整された吸入室内において、被験
      物質を試験動物に1時間暴露させる。吸入試験装置は、被験物質を所定濃度に調整し供給する装置、
      試験動物の吸入室、濃度を連続的に測定する装置等から構成されるものとする。
  (2)  暴露気中濃度
        暴露気中濃度は3段階以上とし、試験群に毒性及び死亡例が現れるように適切な気中濃度を設定
      する。
  (3)  被験物質の調整
        暴露気中濃度に応じた吸入室内の被験物質の濃度を暴露試験中維持する。
4  観察等
  (1)  観察期間
        投与後、試験動物を飼育ゲージに移し、14日間観察し、その生死を確認する。
  (2)  半数致死濃度の算出
        14日間の死亡数に基づき適切な統計手法を用いて半数致死濃度(LC50)を算出する。
  (3)  記録
        被験物質を特定する情報(純度、成分組成等)及び毒性に関する情報(一般状態、体重変化、病
      理所見、死亡経過等)は詳細に記録する。
第1−2  経口による急性毒性試験
1  目的
    本試験は、被験物質の急性毒性の有無を明らかにすることを目的とする。
2  試験動物
  (1)  動物種
        6週令前後のラットを用いる。
  (2)  動物数と性
        3(2)により設定する各用量群ごとにラット10匹(雌雄各5匹)以上を用いる。
3  被験物質
  (1)  投与方法
        原則として強制経口投与で行う。
  (2)  用量
        用量段階は3段階以上とし、試験群に毒性及び死亡例が現れるように適切な用量を設定する。
  (3)  被験物質の調整
        被験物質が固体の場合は、水に溶解するか、固体を微粒子として適当に懸濁して使用する。懸濁
      化剤等を使用する場合は、投与する対照群をおくこと。また、被験物質が高粘性の液体で投与が困
      難な場合も同様とする。
4  観察等
  (1)  観察期間
        投与後14日間試験動物を観察し、その生死を確認する。
  (2)  半数致死量の算出
        14日以内の死亡数に基づき適切な統計手法を用いて半数致死量(LD50)を算出する。
  (3)  記録
        被験物質を特定する情報(純度、成分組成等)及び毒性に関する情報(一般状態、体重変化、病
      理所見、死亡経過等)は詳細に記録する。
第1−3  経皮による急性毒性試験
1  目的
    本試験は、被験物質の急性毒性の有無を明らかにすることを目的とする。
2  試験動物
  (1)  動物種
        6週令前後のラットを用いる。
  (2)  動物数と性
        3(2)により設定する各用量ごとに10匹(雌雄各5匹)以上を用いる。
3  被験物質
  (1)  投与方法
      ア  投与の約24時間前に、試験動物の背中の毛を刈るか又は剃るかして皮膚を傷つけないように注
        意して取り除く。
          取り除く面積は総体表面積の10%以上とする。
      イ  毛を取り除いた部位に被験物質を均一に接触させ、その状態を24時間保持する。この際、接触
        部位を多孔性のガーゼで覆い、さらに非刺激性テープを用いて固定する等適切な方法で被験物質
        の皮膚接触を保持する。また、試験動物が試験物品を摂取できないようにする。
      ウ  24時間経過後、残存している被験物質を水等を用いてできるだけ取り除く。
  (2)  用量
        用量段階は3段階以上とし、試験群に毒性及び死亡例が現れるような適切な用量を設定する。
  (3)  被験物質の調整
        被験物質が固体の場合は、適当に粉砕し、皮膚との接触をよくするため水又は適当な溶媒等で湿
      潤させる。
        溶媒等を用いる場合は、溶媒等のみを投与する対照群をおく。
4  観察等
  (1)  観察期間
        投与後14日間試験動物を観察し、その生死を確認する。
  (2)  半数致死量の算出
        14日以内の死亡数に基づき適切な統計手法を用いて半数致死量(LD50)を算出する。
  (3)  記録
        被験物質を特定する情報(純度、成分組成等)及び毒性に関する情報(一般状態、体重変化、病
      理所見、死亡経過等)は詳細に記録する。

第2  腐食性又は皮膚刺激性試験の基準
1  目的
    本試験は被験物質の腐食性又は皮膚刺激性の有無を明らかにすることを目的とする。
2  試験動物
  (1)  動物種
        原則として白色ウサギを用いる。
  (2)  動物数
        3匹以上を用いる。
3  被験物質
  (1)  投与方法
      ア  投与の約24時間前に、試験動物の背中の毛を刈るか又は剃るかして皮膚を傷つけないように注
        意して取り除く。
      イ  被験物質を、皮膚の小範囲(約6cm2)に接触させ、その状態を4時間保持する。この際、接
        触部位を多孔性のガーゼで覆い、さらに非刺激性テープを用いて固定する等適切な方法で被験物
        質の皮膚接触を保持する。
      ウ  4時間経過後、残存している被験物質を水等を用いてできるだけ取り除く。
  (2)  用量
        液体にあっては0.5ml、固体又は半固体にあっては0.5gを試験局所に接触させる。
  (3)  被験物質の調整
        固体(必要に応じて粉末にする)を試験するときは、皮膚とよく接触させるため、被験物質を水
      又は適切な溶媒で十分に湿らせる。
        溶媒を用いる場合は、溶媒のみを投与する対照群をおく。
4  観察等
  (1)  観察期間
        観察された作用の可逆性又は不可逆性を十分に評価するに足る期間とする。
  (2)  採点
        試験動物は、パッチ除去後30分、60分、24時間、48時間及び72時間に紅斑(はん)と浮腫(ふしゅ)
      の徴候について観察し、反応を採点する。皮膚刺激性は、別表に従って採点する。

別表  皮膚反応の評価
紅斑(はん)及び痂(か)皮の形成
  紅斑(はん)なし…………………………………………………………………………………………………0
  非常に軽微な紅斑(はん)………………………………………………………………………………………1
  はっきりした紅斑(はん)………………………………………………………………………………………2
  中等度又は高度紅斑(はん)……………………………………………………………………………………3
  高度紅斑(はん)からわずかな痂(か)皮の形成(深部損傷)………………………………………………4
最高点  4
浮腫(ふしゅ)の形成
  浮腫(ふしゅ)なし………………………………………………………………………………………………0
  かろうじて識別できる非常に軽微な浮腫(ふしゅ)…………………………………………………………1
  はっきりした膨隆による明確な縁が識別できる軽度浮腫(ふしゅ)………………………………………2
  約1mmの膨隆のある中等度浮腫(ふしゅ)……………………………………………………………………3
  1mm以上の膨隆及び暴露範囲をこえた広がりのある高等度浮腫(ふしゅ)………………………………4
最高点  4

  (3)  結果の処置
        結果は、パッチ除去後30分、60分、24時間、48時間及び72時間での個々の試験動物の紅斑(はん)
      と浮腫(ふしゅ)についての刺激性の得点、重篤な障害、刺激性の性質と程度の記述、腐食性又は可
      逆性及びその他の観察されたすべての中毒作用を表に要約する。

第3  眼刺激性試験の基準
1  目的
    本試験は、被験物質の眼刺激性の有無を明らかにすることを目的とする。
2  試験動物
  (1)  動物種
        原則として白色ウサギを用いる。
  (2)  動物数
        3匹以上を用いる。
3  被験物質
  (1)  投与方法
        一方の眼の下まぶたを眼球から引き離し、その結膜嚢(のう)内に被験物質を入れる。被験物質の
      損失を防ぐため約1秒間、両まぶたを合わせ保持する。試験動物に激痛を与える被験物質は局所麻
      酔薬を使用する。試験物質の眼は、被験物質の点眼後24時間は洗眼を行わず、24時間経過後適当な
      時に洗眼する。
        この試験によって刺激性が認められた物質については。試験動物の眼を被験物質の点眼から30秒
      後に30秒間洗眼する追加試験を実施する。
  (2)  用量
        液体にあっては0.1mlとする。固体、ペースト又は粒子状の被験物質にあっては、微粉末として
      容量0.1ml又は重量0.1mgとする。
4  観察等
  (1)  観察期間
        観察された効果の可逆性又は不可逆性を十分に評価するに足る期間とする。
  (2)  採点
        眼は1時間、24時間、72時間に検査する。72時間で刺激の形跡がなければ、試験を終了し、持続
      性の角膜障害その他の眼の刺激が見られる場合には、損傷の経過及び可逆性か不可逆性かを確認す
      るためにさらに観察を続ける。眼の反応の等級を別表に従って、各々の試験ごとに採点する。

別表  眼病変の等級
角膜
・混濁(混濁の最も濃い部分で評価する)
  潰瘍(かいよう)又は混濁なし…………………………………………………………………………………0
  散在性又はび漫性の正常の光沢の軽度のくもりと異なる混濁、虹彩の細部は明瞭に識別可能………1
  半透明部の識別は容易に可能であるが、虹彩の細部はやや不明瞭………………………………………2
  真珠様光沢部位、又は虹彩の細部が識別不可能であるが、瞳孔の大きさはかろうじて識別可能……3
  混濁角膜:混濁部を通して虹彩は見分けられない…………………………………………………………4
虹彩
  正常………………………………………………………………………………………………………………0
  著名な深いしわ、充血、腫脹(しゅちょう)、又は中等度の角膜周囲部の充血があり、虹彩はまだ
    光に反応(ゆるやかな反応は陽性)………………………………………………………………………1
  対光反応消失、出血、又は肉眼的組織の崩壊………………………………………………………………2
結膜
・発赤(まぶた、眼球粘膜、角膜、及び虹彩で判定する)
  正常………………………………………………………………………………………………………………0
  多少の血管の明らかな充血……………………………………………………………………………………1
  び漫性の深紅色があり、個々の血管が容易に識別可能……………………………………………………2
  び漫性の牛肉様赤色……………………………………………………………………………………………3
結膜水腫(しゅ)(上下まぶた又は瞬膜)
  腫脹(しゅちょう)なし…………………………………………………………………………………………0
  わずかな腫脹(しゅちょう)……………………………………………………………………………………1
  まぶたの外反を伴った明らかな腫脹(しゅちょう)…………………………………………………………2
  まぶたの約1/2の閉鎖を伴った明らかな腫脹(しゅちょう)………………………………………………3
  まぶたの1/2以上の閉鎖を伴った腫脹(しゅちょう)………………………………………………………4

(3)  結果の処置
      結果は、各観察時間での個々の動物の刺激評価点、刺激の性質と程度の記載、重篤な病変及び観察
    された眼以外のいかなる影響も表に要約する。

第4  がん原性試験の基準
1  目的
    本試験は、動物の被験物質をほぼ一生涯にわたる期間連続投与し、被験物質のがん原性の有無を明ら
  かにすることを目的とする。
2  試験動物
  (1)  動物種
        6週令前後のマウス、ラット等2種類以上を用いる。
        一般には、通常の飼育条件下における腫瘍(しゅよう)の自然発生率及び既知がん原性物質に対す
      る感受性などが良く知られている動物種、系統の近交系又はその一代雑種を用いる。
  (2)  動物数及び性
        各群雄及び雌それぞれ50匹以上を用いる。
3  被験物質
  (1)  投与方法
        原則として経口投与で行う。被験物質は、飼料又は飲料水に添加して投与する。なお、飼料に添
      加する被験物質の濃度は5%以下とする。ただし、被験物質の性状により経口投与ができない場合
      は非経口投与で行う。強制投与の場合は、毎日一定の時刻に投与する。
  (2)  用量
        投与段階は3段階以上とする。最高用量はあらかじめ1〜3カ月の短期試験を行い、対照群に比
      し10%程度の体重減少にとどまり、中毒による死亡例がなく、かつ、一般状態に著しい変化を示さ
      ない量とする。他の用量は最高用量から原則として、公比2又は3で設定する。別に対照群をおく。
        なお、実際の被験物質摂取量は動物の摂餌量又は摂水量と被験物質の濃度から算出する。
  (3)  投与期間
        動物のほぼ一生涯(マウス及びハムスターでは18カ月以上、ラットでは24カ月以上)とする。
        ただし、マウス、ハムスターで18カ月、ラットで24カ月の時点で被験物質に起因する腫瘍(しゅ
      よう)性病変以外の原因による死亡率が50%以内であることが必要である。
4  観察・測定事例
  (1)  一般的観察
  (2)  体重、摂餌量及び摂水量、食餌効率
  (3)  病理学的検査
      [1]  肉眼的観察
      [2]  顕微鏡的観察(必要に応じて電子顕微鏡による検査、組織化学的検査を行う。)
  (4)  血液検査
  (5)  その他の必要な事項
        試験中死亡した動物についてはその死因を調べる。

第5  生殖毒性の基準
1  目的
    本試験は、動物の雄及び雌に被験物質を多世代にわたり投与し、被験物質の生殖能及び後世代の発生
  に及ぼす障害を明らかにすることを目的とする。
2  試験動物
  (1)  動物種
        ラット又はマウス等のげっ歯類及びウサギ等の非げっ歯類から各1種以上を用いる。
  (2)  動物数
        ラット又はマウスでは、被験物質を投与しない対照群において、20匹程度の妊娠動物を得られる
      ことが期待される数の雄と雌の同数の雄を用いる。
3  被験物質
  (1)  投与方法
        原則として経口投与で行う。被験物質は、飼料又は飲料水に添加して投与する。なお、飼料に添
      加する被験物質の性状により経口投与ができない場合は非経口投与で行う。
  (2)  用量
        投与段階は、3段階以上とする。最高用量は親世代動物(F0)に摂餌量の低下や体重増加抑制
      などの若干の毒性徴候が示されるが10%以上の死亡率をきたさない量とする。
        最低用量は、生殖能及び後世代の発生に毒性影響を及ぼさない量とする。別に対照群をおく。
4  交配と被験物質の投与
  (1)  F0は5〜8週令ごろまでに被験物質の投与を開始し、原則として、10週間(マウスでは8週間)
      以上の間、連日投与した後、交配にあてる。
        同一の雄と雌の同居期間は2ないし3週間とし、その間毎日交尾の有無を確認する。
  (2)  交尾を確認した雌は分離飼育し、自然分娩させ第1世代(F1)を得る。
        同腹生仔(し)数を調整する場合には、出生後比較的早い時期に1母体当たり雄と雌がほぼ同数か
      らなる一定匹数を無作為に残す。仔(こ)は、そのまま母動物に哺育(ほいく)させる。
        なお、父動物にあっては、F1を得るための交配終了まで、母動物においてはF1の哺乳まで継続
      して被験物質を投与する。
  (3)  F1の離乳時に次世代を得るための動物を無作為に選択し、残りの動物は剖検する。次世代を得る
      ための動物には、離乳後F0と同様に被験物質を10週間(マウスでは8週間)以上投与した後に、
      原則として同腹仔(し)でない雄と雌の対を20組以上とり、F0と同様に交配させ第2世代 (F2)
      を得る。
        F2は原則として、離乳後性成熟期に至るまで、被験物質を投与し、飼育する。
5  観察事項
  (1)  F0
      [1]  一般状態及び死亡の有無を観察し、体重及び摂餌量(必要に応じ摂水量)を測定し、被験物
          質摂取量を算出する。
      [2]  親動物について交尾率及び受胎率を算出する。また、母動物については分娩の異常を検索し、
          出産率を算出する。
      [3]  F1の離乳時に母動物を剖検し、内部器官を観察する。
      [4]  雄及び交尾、妊娠又は出産をしなかった雌は、適切な時期に屠(と)殺し、内部器官を観察す
          る。
  (2)  F1
      [1]  新生仔(し)については、出生仔(し)数、その生死、性別、体重及び外表における変化等を調
          べる。
      [2]  出生後は、一般状態、死亡の有無、成長及び形態と機能の発達を観察する。少なくとも週一
          回の体重の測定を行う。適当な期間毎に生存率を算出し、離乳時に離乳率を算出する。
      [3]  F2を得るための交配に用いたF1については、F0と同様の検索を行う。残りのF1は離乳時
          に剖検する。
  (3)  F2
        F1と同様の観察を行い、原則として、性成熟期に剖検する。必要に応じ、組織学的あるいは生
      化学的方法により詳細な検査を行う。
  (4)  観察のまとめ方
        観察された異常又は毒性症状と被験物質の投与量との関係について適切な統計学的手法を用いて
      考察し、最大無作用量について見解を述べる。この際、原則として離乳まで1腹仔(し)を標本単位
      とする。
6  試験の延長等
    必要に応じて、第2産仔(し)以後を得るためにF0及びF1の交配を繰返し行う検査、又はF2につい
  て性成熟期以後の長期間観察、更にはF3を得るための交配と生殖能の検査を行う。また、被験物質投
  与による生殖障害が主として雄・雌いずれの側への影響によるかを明らかにする必要がある場合には、
  投与雄と非投与雌、あるいは非投与雄と投与雌との交配を行う。

第6  催奇形性試験の基準
1  目的
    本試験は、胎仔(し)の器官形成期に妊娠動物に被験物質を投与し、被験物質の胎仔(し)の発生に及ぼ
  す障害、特に催奇形性を明らかにすることを目的とする。
2  試験動物
  (1)  動物種
        ラット又はマウスなどのげっ歯類及びウサギなどの非げっ歯類から各1種類以上を用いる。
        動物種、系統又は品種の選択に当たっては、受胎能などの生殖に関連する知見、自然発生奇形の
      発生頻度、既知生殖毒性物質に対する感受性などを考慮する。また、自然発生奇形の発生頻度の低
      いものを選択する。
  (2)  動物数
        ラット、マウスでは、妊娠が成立した個体の数として、3(2)により設定する各用量群ごとに20
      匹以上、ウサギでは12匹以上を用いる。
3  被験物質
  (1)  投与方法
        原則として強制経口投与で行う。
  (2)  用量
        用量段階は3段階以上とする。最高用量は原則として母動物に摂餌量の低下や体重増加の抑制な
      どの若干の毒性徴候が示されるが、10%以上の死亡をきたさない量とする。投与可能な最大量
      (1,000mg/kgを限度とする。)においても母動物に毒性徴候が示されない場合には、その量を最
      高用量とする。最低用量は胎仔(し)の発生に毒性影響が示されない量とする。別に溶媒のみを投与
      する対照群をおく。
  (3)  投与期間
        胎仔(し)の器官形成期を通じて連日投与を行う。
        通常、交尾確認日を妊娠0日とした場合、マウスでは妊娠7日より17日まで、うさぎでは妊娠6
      日より18日までとする。ただし、ラットでは妊娠6日より15日まででもよい。
4  観察事項
  (1)  母動物
      [1]  試験器官を通じ一般状態を観察し、体重及び摂餌量を測定する。
      [2]  出産予定日のほぼ前日に全数を剖検し、妊娠の成立を調べ、黄体数、着床数を数え、内部器
          官を肉眼的に観察する。
  (2)  胎仔(し)
        胎仔(し)の生死を判定し、死亡胎仔(し)については死亡時期を推定する。生存胎仔(し)について
      は、体重を測定し、性を判定する。更に外表及び内部器官の肉眼的検査と骨格染色透明標本により
      骨の形態や骨化に関する検査を行う。
  (3)  観察のまとめ方
        観察された異常又は毒性症状と被験物質の投与量との関係について適切な統計学的手法を用いて
      考察し、最大無作用量について見解を述べる。この際、原則として1腹仔(し)を標本単位とする。

第7  感作性試験の基準
1  目的
    本試験は被験物質の感作性の有無を明らかにすることを目的とする。
2  試験動物
  (1)  動物種
        原則としてモルモットを用いる。
  (2)  動物数及び性
        処置群は20匹以上、対照群は10匹以上の動物を用いる。
3  被験物質
  (1)  投与方法
        最初の被験物質への暴露後(誘発期間)、過敏症の状態が誘発されたかどうかを調べるため、最
      後の誘発暴露後2週間、動物は被験物質への惹起(じゃっき)暴露を受ける。感作性を、惹起(じゃ
      っき)暴露に対する皮膚反応を調べることによって決定する。
        処置部の被毛を取り除き次により投与を行う。
      イ  誘導
        (イ)  0日−処理群
              背部の正中線の両側に、次のような1対の皮内投与を行う。
            [1]  0.1mlのフロイント完全アジュバント(以下「FCA」という。)
            [2]  0.1mlの適切な担体中の被験物質
            [3]  0.1mlのFCA中の被験物質
                  ただし[1]と[2]は、互いに接近して、頭部の近くに行い、[3]は試験領域の尾部に向
                って行う。
        (ロ)  0日−対照群
              上記と同じ部位に、次のような皮内投与を1対行う。
            [1]  0.1mlのFCA
            [2]  0.1mlの担体のみ
            [3]  0.1mlのFCA中の担体
        (ハ)  7日−処理群
              試験領域の体毛を再び除き、適切な担体(適切なときは液体を直接適用できる)中の被験
            物質を濾(ろ)紙上に塗布し、試験領域にはり付け、48時間適切な包帯で接触して固定する。
        (ニ)  7日−対照群
              試験領域の体毛を再び除き、担体だけを同様に試験領域にはり付け、48時間適切な包帯
            で接触して固定する。
      ロ  惹起(じゃっき)
        (イ)  21日
              処理群及び対照群の動物腹側部の体毛を除き、被験物質を含むパッチ又はチャンバーを、
            処置動物の左腹側部にはり付け、担体を含むパッチ又はチャンバーを右腹側部にはる(惹起
            (じゃっき)適用開始)。
        (ロ)  23日及び24日
              パッチ又はチャンバーを除去し、その後21時間後、惹起(じゃっき)部位を必要ならば清浄
            にして毛を剃(そ)る。3時間後(惹起(じゃっき)適用開始後48時間)及びその後24時間後の
            皮膚反応を観察し記録する。
              最初の惹起(じゃっき)で得られた結果を明確にするため、必要な場合、第2の惹起(じゃ
            っき)を新規担体対照群と共に、第1回の惹起(じゃっき)後約1週間行う。
4  観察等
  (1)  観察期間
        誘導期間中、予想される刺激の影響を調べるために皮膚観察を行う。惹起(じゃっき)暴露後、48
      及び72時間において皮膚反応を記録する。
  (2)  結果の処理
        データは各観察における個々の動物の発赤、浮腫(ふしゅ)等の皮膚反応を、表形式で要約する。

別添2
化学物質等の有害性評価基準(表)