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労働安全衛生法第66条の5第2項の規定に基づく健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針について


 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第66条の5第2項の規定に基づき、健康診断結果に基づき事業者
  が講ずべき措置に関する指針の一部を改正する指針を次のとおり定め、平成18年4月1日から適用する。
  
    健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針の一部を改正する指針
                                   
 労働安全衛生法第66条の5第2項の規定に基づき、健康診断結果措置指針公示第1号(平成8年10月1日)
として公表した健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針の一部を次のように改正する。

 1を次のように改める。
1 趣旨
  産業構造の変化、働き方の多様化を背景とした労働時間分布の長短二極化、高齢化の進展等労働者を
 取り巻く環境は大きく変化してきている。その中で、脳・心臓疾患につながる所見を始めとして何らか
 の異常の所見があると認められる労働者が5割近くに及ぶ状況にあり、仕事や職場生活に関する強い不
 安、悩み、ストレスを感じる労働者の割合も年々増加している。さらに、労働者が業務上の事由によっ
 て脳・心臓疾患を発症し突然死等の重大な事態に至る「過労死」等の事案が増加する傾向にあり、社会
 的にも大きな問題となっている。
  このような状況の中で、労働者が職業生活の全期間を通して健康で働くことができるようにするため
 には、事業者が労働者の健康状態を的確に把握し、その結果に基づき、医学的知見を踏まえて、労働者
 の健康管理を適切に講ずることが不可欠である。そのためには、事業者は、健康診断(労働安全衛生法
 (昭和47年法律第57号)第66条の2の規定に基づく深夜業に従事する労働者が自ら受けた健康診断(以
 下「自発的健診」という。)及び労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)第26条第2項第1号の規
 定に基づく二次健康診断(以下「二次健康診断」という。)を含む。)の結果、異常の所見があると診
 断された労働者について、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について聴取した医師又は歯
 科医師(以下「医師等」という。)の意見を十分勘案し、必要があると認めるときは、当該労働者の実
 情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少、昼間勤務への転
 換等の措置を講ずるほか、作業環境測定の実施、施設又は設備の設置又は整備、当該医師等の意見の衛
 生委員会若しくは安全衛生委員会(以下「衛生委員会等」という。)又は労働時間等設定改善委員会
(労働時間等の設定の改善に関する特別措置法(平成4年法律第90号)第7条第1項に規定する労働時間等設
 定改善委員会をいう。以下同じ。)への報告その他の適切な措置を講ずる必要がある(以下、事業者が
 講ずる必要があるこれらの措置を「就業上の措置」という。)。
  また、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)の趣旨を踏まえ、健康診断の結果等の個
 々の労働者の健康に関する個人情報(以下「健康情報」という。)については、特にその適正な取扱い
 の確保を図る必要がある。
  この指針は、健康診断の結果に基づく就業上の措置が、適切かつ有効に実施されるため、就業上の措
 置の決定・実施の手順に従って、健康診断の実施、健康診断の結果についての医師等からの意見の聴取、
 就業上の措置の決定健康情報の適正な取扱い等についての留意事項を定めたものである。
 2の(3)のロ中「機会を提供することが適当である。」を「機会を提供することが適当である。また、
過去に実施された労働安全衛生法第66条の8及び第66条の9の規定に基づく医師による面接指導等の結果に
関する情報を提供することも考えられる。」に改める。
 2の(4)のロを次のように改める。
  ロ 衛生委員会等への医師等の意見の報告等
    衛生委員会等において労働者の健康障害の防止対策及び健康の保持増進対策について調査審議を行
    い、又は労働時間等設定改善委員会において労働者の健康に配慮した労働時間等の設定の改善につ
    いて調査審議を行うに当たっては、労働者の健康の状況を把握した上で調査審議を行うことが、よ
    り適切な措置の決定等に有効であると考えられることから、事業者は、衛生委員会等の設置義務の
    ある事業場又は労働時間等設定改善委員会を設置している事業場においては、必要に応じ、健康診
    断の結果に係る医師等の意見をこれらの委員会に報告することが適当である。
     なお、この報告に当たっては、労働者のプライバシーに配慮し、労働者個人が特定されないよう
    医師等の意見を適宜集約し、又は加工する等の措置を講ずる必要がある。
     また、事業者は、就業上の措置のうち、作業環境測定の実施、施設又は設備の設置又は整備、作
    業方法の改善その他の適切な措置を決定する場合には、衛生委員会等の設置義務のある事業場にお
    いては、必要に応じ、衛生委員会等を開催して調査審議することが適当である。
 2の(5)のイ中「一般健康診断」を「健康診断」に改め、2の(5)のロ中「行うこと。」を「行うほか、
その円滑な実施に向けて、健康保険組合その他の健康増進事業実施者(健康増進法(平成14年法律第103
号)第6条に規定する健康増進事業実施者をいう。)等との連携を図ること。」に改め、2の(5)のハ中
「特定化学物質等障害予防規則」を「特定化学物質障害予防規則」に改め、2の(5)のニを次のように改
める。
  ニ 健康情報の保護
    事業者は、雇用管理に関する個人情報の適正な取扱いを確保するために事業者が講ずべき措置に関
   する指針(平成16年厚生労働省告示第259号)に基づき、健康情報の保護に留意し、その適正な取扱
   いを確保する必要がある。就業上の措置の実施に当たって、関係者に健康情報を提供する必要がある
   場合には、その健康情報の範囲は、就業上の措置を実施する上で必要最小限とし、特に産業保健業務
   従事者(産業医、保健師等、衛生管理者その他の労働者の健康管理に関する業務に従事する者をいう。)
   以外の者に健康情報を取り扱わせる時は、これらの者が取り扱う健康情報が利用目的の達成に必要な
   範囲に限定されるよう、必要に応じて健康情報の内容を適切に加工した上で提供する等の措置を講ず
   る必要がある。
 2の(5)に次のように加える。
  ホ 健康診断結果の記録の保存
    事業者は、労働安全衛生法第66条の3及び第103条の規定に基づき、健康診断結果の記録を保存しな
   ければならない。記録の保存には、書面による保存及び電磁的記録による保存があり、電磁的記録に
   よる保存を行う場合は、厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等
   における情報通信の技術の利用に関する省令(平成17年厚生労働省令第44号)に基づき適切な保存を
   行う必要がある。また、健康診断結果には医療に関する情報が含まれることから、事業者は安全管理
   措置等について「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を参照することが望ましい。
    また、二次健康診断の結果については、事業者にその保存が義務付けられているものではないが、
   継続的に健康管理を行うことができるよう、保存することが望ましい。
    なお、保存に当たっては、当該労働者の同意を得ることが必要である。