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ダンプトラックの荷台の降下防止について

改正履歴


  標記については、昭和46年以来、荷台昇降装置に欠陥のあるダンプトラックに対し、欠陥機械の通報制
度によりユーザーはもとよりメーカーに対しても強力に安全措置についての行政指導を行ってきたところ
であり、昭和47年労働安全衛生法の施行に際しては、労働安全衛生規則(第424条)によりその規制を図
ったところである。
  さらに、同規則の徹底を期すため、メーカーにおいてダンプトラックに安全ブロック等を付した上で譲
渡するよう指導してきたが、未だに荷台が不意に降下することによる死亡災害が絶えない現状にかんがみ、
本省及び通商産業省よりメーカーの団体である(社)日本自動車工業会及び(社)日本自動車車体工業会に対
し、ダンプトラックの荷台昇降操作レバーが安全にロックされ(規則第424条第1項ただし書参照)かつ
安全ブロックが容易に操作できる(規則第424条第1項本文参照)ようその本質安全化についての検討方
を要請したところである。
  これに対し、今般、別添のとおり同工業会会長より検討結果の報告があったので、その内容を検討した
ところ、現段階においては適切と判断されるので、当面、事業者に対し、所有するダンプトラックにつき
可能な限りかかる本質安全化の措置を講ずるよう指導されたい。

(別  添)
51自技発第122号
車体発51第115号
昭和51年4月12日
    労働省労働基準局
        局長  藤縄正勝  殿
    通商産業省機械産業情報局
        局長  熊谷善二  殿
社団法人  日本自動車工業会              
会長  豊田英二  
社団法人  日本自動車車体工業会        
会長  青木正信  

ダンプトラックの荷台の降下防止について

拝啓、愈々ご清栄の段大慶に存じ上げます。
先般、ご要請のありました標記について、両工業会にて慎重に検討しました結果、別添の「ダンプ荷台降
下防止対策専門委員会」の報告書の内容のとおりに実施することにしたのでご報告します。
敬  具  

ダンプトラックの荷台降下防止対策検討報告書

目      次
1.まえがき
2.専門委員会の編成と開催の経過
3.災害事例と原因分析
4.荷台降下防止対策の具体案
5.まとめ
添付資料
    1.労働省、通産省通達
        基発第530号、50機局第431号
    2.ダンプ荷台降下による死亡災害事例

昭和51年3月

ダンプ荷台降下防止対策専門委員会

1.まえがき
    ダンプトラックの全国保有台数は約47万台であって、土砂等を運搬するダンプ車がその大半を占めて
  いるが、塵芥、粉粒体、液体等を運搬するトラックの中には箱型またはタンク型の荷台をダンプさせて
  積荷を排出する構造のものもある。
    これらのダンプトラックの使用過程において荷台を適当な角度までダンプさせて点検、整備等のため
  運転者または作業員がダンプした荷台の直下に身体を入れて作業しているとき、何らかの原因により急
  に荷台が降下して身体をはさまれ死亡する災害が発生している。
    災害発生件数としては少ないと云えるが、事故が発生すると死亡に至るいわゆる強度率の高い災害で
  あることから、労働省および通産省においては数年前からこのような災害の防止対策を進めてきたが、
  ダンプトラックの保有台数の増加にともない災害件数は減少しないまま現在に至っている。
    すなわち、昭和47年労働安全衛生法の施行にともない、労働安全衛生規則が改正せられて事業者およ
  び作業に従事する労働者に対して安全ブロックまたは安全支柱等の使用が義務づけられた。その後昭和
  48年3月には「メーカー段階における機械等の安全衛生の確保について」という労働省労働基準局長通
  達により、ダンプトラックの安全ブロック等はユーザーが使用開始の際に設けなければならないものと
  して、メーカーの製造段階において取付けるよう指導された。
    ダンプトラックのメーカーとしては、昭和46年12月、その所属団体である(社)日本自動車工業会と
  (社)日本自動車車体工業会が共同してダンプ荷台降下防止に関する対策を協議の結果、安全ブロックを
  車両に整備することを自主的に実施することを申し合わせ、安全支柱の使用を含めてコーション・プレ
  ートおよび取扱説明書等によりその使用方をユーザーおよび作業員に徹底するよう努め現在に至ってい
  る。
    しかしながら、近年発生した災害件数は前述のように必ずしも減少の傾向が見られず、安全ブロック
  が車両に装備されているにも拘らず、使用されなかった事例が多いことから、安全ブロック以外の有効
  な手段により事故の発生を防止する対策の必要が感じられ、昭和50年9月9日付をもって労働省労働基
  準局長および通産省機械情報産業局長の連名により、ダンプトラックの荷台の降下防止対策について検
  討するよう(社)日本自動車工業会および(社)日本自動車車体工業会に対して要請があった。
  (別添資料1)
    両工業会は、この要請にもとづき協議の結果、「ダンプ荷台降下防止対策専門委員会」(以下「専門
  委員会」という)を編成してこの問題を検討することを決定し、昭和50年10月15日専門委員会が発足し
  た。
    この報告書は専門委員会においてダンプトラックの荷台降下防止対策に関する実用性のある具体的方
  法について検討した結果をまとめたものである。
2.専門委員会の編成と開催の経過
    専門委員会は次表の委員により編成され、次のとおり開催された。
    開催年月日    開催場所
  第1回  昭和50・10・15  日本自動車工業会
  第2回  昭和50・12・11  同    上
  第3回  昭和51・ 2・13  同    上
  なお、専門委員会に提案する具体案を立案するため代表委員による予備会議が次のように開催された。
    開催年月日  開催場所
          昭和50・11・11  日本自動車工業会
          昭和50・11・12  (株)  金剛製作所
          昭和50・12・23  日本自動車車体工業会
          昭和51・  1・30  同    上
  ダンプ荷台降下防止対策委員会名簿(省略)
3.災害事例と原因分析
    第1回専門委員会においては、安全ブロック等の安全対策の現況の確認と今後の専門委員会運営の方
  針、日程等が審議されたが、対策を検討する上に過去の災害事例を調査する必要を感じ労働省に依頼し
  たところ別添資料2のとおり、昭和48年および昭和49年の2年間のダンプ荷台降下による死亡災害事例
  が提出された。
    この事例につき、その原因分析の結果は次のとおりである。
  (1)  直接原因の分析(図)
  (2)  災害発生状況の分析(図)
  (3)  考  察
      (a)  災害事例は昭和48年に発生したもので14件、昭和49年に発生したもの16件、合計30件の死亡
          災害のみで、負傷災害については全国的にまとまったものがない。
      (b)  安全ブロック、安全支柱は使用されていなかったと考えられる。安全ブロック等が使用され
          ていたため死亡をまぬがれた事例はかなりあると思われる。
      (c)  災害発生状況から見ると、保守点検作業中の発生がほとんどであることから、一般的な状況
          分析を試みると次のようになる。(図)
          [1]  安全ブロック等を使用した場合も使用しなかった場合も、ダンプ荷台が降下しなかった
              場合は災害は発生しない。
                また荷台が降下しても危うく災害をまぬがれたか、または軽微な災害で済んだ場合もあ
              ると考えられる。
          [2]  安全ブロックを正しく使用していれば荷台が降下の状態になっても、災害が発生すると
              は考えられないが、車両に適合しない間に合せの安全ブロックを使用したような特殊のケ
              ースでは発生は皆無とは云えない。
          [3]  発生災害率から見ると、ダンプトラックの全国保有数47万台として保守点検回数を毎月
              1回としても1年間に564万回となり、これに対し災害発生の件数は年間平均15件であ
              るので、災害発生率としては極めて低いものである。
      (d)  災害発生の直接原因、すなわち荷台がなぜ降下したか明らかなもの8件の内訳は、誤って
            リンケージに触れたもの5件、誤操作によるもの3件となっている。一般のダンプトラック
            の操作系統は図1のような構造になっており、ダンプレバーは通常運転室内に設けられてい
            る。したがって作業者が単独の場合、誤ってダンプレバーに触れることは考えられないので
            荷台の下で作業中に誤ってリンケージ部に身体の一部が触れたため、リンケージが動いて油
            圧切換弁のスプールが「下げ」の方向に作動して荷台が降下したものと考えられる。
              誤操作の場合も、ダンプレバーを誤操作した場合は第三者による過失がある筈で、本人の
            誤操作である場合は、リンケージまたは切換弁のスプール部を操作すれば「上げ」「下げ」
            できることを知っていて操作したものと考えられる。
      (e)  災害事例の73%は直接原因が不明であるが、荷台降下の原因は次のいずれかであると考えら
          れる。
          [1]  誤ってリンケージ部に接触
          [2]  誤った操作
          [3]  シリンダ、切換弁、チェックバルブ等油圧系内部のオイルリーク(油漏れ)による自然
              降下
          [4]  配管の破損等による作動油の外部漏洩

                上記のうち[3]油圧系内部のオイルリークによる自然降下については、メーカー完成時
              点においてJISD6501「ダンプトラック性能試験方法」にもとづき確認しており、一般的に
              は最大積載量に相当する荷重をかけて荷台を10°ダンプしたとき5分間の荷台先端の降量
              は標準型ダンプトラックで15mm以内である。(図2)

                使用過程でシリンダピストンの摩耗等による耐圧不良があっても空車時であれば、油圧
              系内部のオイルリークによる自然降下速度は遅いので災害発生のケースは少ない。[4]作
              動油の外部漏洩がある場合、少量のときは視認し難いが荷台降下速度は遅く、大量のとき
              は早くなって危険であるが容易に発見できるので、故障車として整備工場へ搬入修理され
              るであろう。
                [3]および[4]による災害事例は報告されておらず、実際にあっても、ごくわずかな件数
              であると考えられる。したがって直接原因が不明なものも、直接原因が明らかなものと同
              様に、[1]誤ってリンケージに触れたもの、[2]誤った操作によるもののいづれかがその大
              部分を占めるものと推定される。
      (f)  災害事例の中に積車時の事故と考えられる事例が若干あり、荷を積んだままダンプ中にダン
          プ機構が故障したため点検中発生したものと推定されるが、ダンプ構造の故障の原因はいろい
          ろあり、画一的対策は困難であると考えられる。
            以上の考察にもとづき総合的に判断して、リンケージ部に触れても切換弁のスプールが容易
          に作動しないような対策を講じることが、災害を減少させる有効な手段であるといえる。
4.荷台降下防止対策の具体案
    第2回専門委員会において荷台降下防止対策の具体案が提案され、災害事例の分析結果と各方式の利
  害得失を検討の結果、実用性のある次の7方式がとりまとめられた。
    ここに提案された具体案は代表委員による予備会議で実車を確認の上立案され空車状態を対象とした
  ものであって、7方式それぞれの構造および形状はいろいろ考えられるが、代表的な1例を図3から図
  9に示す。
    尚将来これ以外の安全確実な方式を見出すことを拘束するものではない。
  (1)  荷台降下防止対策案(表)
  (2)  荷台降下防止対策案の説明 
       上記7方式はその構造および取扱い方法の共通性からA−1ボデーロック、A−2安全ブロック 
     およびA−3安全棒の3方式をAグループとし、B−4レバーロック、B−5切換弁ロックおよび 
     B−6切換弁リモートコントロールをBグループとし、安全支柱はC−7とした。

    A(荷台直接支持対策)グループの特徴
     [1]  ダンプした荷台を直接支持するための作業者が目で確認できるので、定められた通り使用され 
        ればもっとも確実で安心感がもてる方法である。
     [2]  災害事例から、車両に装備されていても作業者が使用しないことが考えられるが、自動的に着 
        脱できる構造にすることは極めて困難である。
     [3]  一定のダンプ角度でしか使用できないことが欠点である。

    B(操作系統対策)グループの特徴
     [1]  ダンプ操作系統に関する対策であって作業者の身体の1部がリンケージに触れても、油圧切換 
        弁が「下げ」方向に移動するのを防止できる。
     [2]  間接的対策であるため、作業者が安全性を目で確かめることができないが、操作は比較的容易 
        である。
     [3]  Aグループの対策と異なり任意のダンプ角度で使用できるが、油圧系統の故障に対しては効果 
        が期待できない。
     C−7(安全支柱)の特徴
     [1]  ダンプ構造の分解修理、シリンダのオイル交換等、整備工場で行われる重整備時に必要であっ 
        て、安全ブロック等が使用できないときに有効である。
     [2]  車両には装備できないので、整備工場に常備しておくことが望ましい。 
  (3) 荷台降下防止対策に対する検討 
      専門委員会での検討の過程において述べられた主な意見は次のとおりである。 
     [1]  各メーカーが製造するシャシおよびダンプ装置の構造、形状等に相異があるので1つの方式を 
        選定し統一して実施することは困難であって、メーカーの車型または架装型式ごとに最も適合し 
        た方式を採用するのがよい。
     [2]  Bグループの中からいづれか1つの方式を採用すれば、現行の安全ブロックの装着は廃止して 
        もよいと考えられるが、操作系統の対策だけでは、油圧系統の故障が生じたとき荷台降下を防止 
        できない。作業者に安心感を与えられないなどの不安がある。
     [3]  2方式(例えばA−2安全ブロックとB−4レバーロック)を併設すれば、作業者がいづれか 
        1つだけを使用しても災害防止の効果が期待できる。
     [4]  積車状態において故障が生じた場合は、積荷の落下の危険性、荷重条件の相異等を考慮すると 
        安全確実な方法を見出すことが困難であるため、必ず積荷を降ろした空車状態で点検整備を行う 
        ようコーションプレート、取扱説明書等で明示する必要がある。 
     [5]  安全装置が設けられても作業者がそれを使用しなければ効果がないので、メーカーならびに監 
        督官庁はユーザーに対するPRが必要である。
5.ま と め 
    専門委員会は4回の予備会議と3回の委員会を開催して審議の結果、次の結論を得た。 
  (1)  荷台降下防止対策案にもとづき、AグループおよびBグループからそれぞれ1つを任意に選択し 
      併用できるようメーカーが製造段階で装備する。
  (2)  重整備を行うときは、C−7安全支柱を使用するようコーションプレートおよび取扱説明書に明 
      示する。
  (3)  Aグループのブロック等の強度は空車状態の荷台を支持できる十分な強度を有するものとし、使 
      用個数については規定しない。
  (4)  図10の例によるコーションプレートを車両の運転室内の見易い箇所に取付ける。 
  (5)  製造段階における実施時期は、昭和52年4月を目途として可及的すみやかに実施するものとする。 
  (6)  適用車種は、荷台をダンプする装置を有する小型車および普通車とする。 

(添付資料1)

基発 第530号
50機局第431号
昭和50年9月9日 

社団法人 日本自動車工業会会長 社団法人 

日本自動車車体工業会会長 殿 労働省労働基準局長 
通商産業省機械情報産業局長 

ダンプトラックの荷台の降下防止について 

  標記については、労働安全衛生規則にその規制がなされておりますが、その徹底を期する見地から、昭 
和47年以降、ダンプトラックに安全ブロックを付した上で出荷するよう関係メーカーに要望してきたとこ 
ろであります。 
  しかしならが、未だに荷台が不意に降下することによる災害が後を絶たない現状にかんがみ、貴会とし 
てダンプトラックの荷台昇降操作レバーが確実にロックされ、かつ、安全ブロックが容易に操作できるよ 
う、ダンプトラックの本質安全化について早急に検討していただくよう要請いたします。 

(別添資料2)
ダンプ荷台降下による死亡災害事例(昭和49年)(表) 

ダンプ荷台降下による死亡災害事例(昭和48年)(表)