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労働基準法施行規則別表第1の2第8号の規定に基づき、労働大臣の指定する疾病を定める告示等について

基発第66号
昭和56年2月2日
各都道府県労働基準局長 殿
労働省労働基準局長

労働基準法施行規則別表第1の2第8号の規定に基づき、労働大臣の指定する疾病を定める告示等について

 昭和56年労働省告示第7号(労働基準法施行規則(昭和22年厚生省令第23号)別表第1の2第8号の規定に基
づき労働大臣の指定する疾病を定める告示)(別添参照)が、昭和56年2月2日に公布され、同日から適用さ
れることとなった。また、サイザル麻の粉じんによる気管支肺疾患の取扱いについて明らかにすることと
した。ついては、下記の事項に留意のうえ、事務処理に遺憾なきを期されたい。
第1 趣旨
   今般、昨年6月のILO総会におけるILO第121号条約(業務災害の場合における給付に関する条約)付表
  Iの「職業病リスト」の改正を踏まえ、「労働基準法施行規則第35条定期検討のための専門委員会」
  において定期的検討の一環として業務上の疾病の範囲に関する検討を行った結果、別表第1の2第8号
  の労働大臣の定める疾病として「超硬合金の粉じんを飛散する場所における業務による気管支肺疾患」
  を新たに定めるとともに、サイザル麻の粉じんによる気管支肺疾患が別表第4号6に定める疾病に含ま
  れることを明らかにすることとしたものである。

第2 「超硬合金の粉じんを飛散する場所における業務による気管支肺疾患」について
 1 要旨
   超硬合金の粉じんにさらされる環境下において業務に従事することにより発生する気管支肺疾患を
  業務上の疾病として定めたものである。
 2 解説
  (1) 「超硬合金」とは、炭化タングステン等とコバルトを混合し、焼結して得られる合金をいい、切
   削工具の刃先、ダイス等に使用される。
  (2) 「超硬合金の粉じん」とは、超硬合金を製造する工程(参考参照)において発生する粉じんで、そ
   の成分は炭化タングステン等の金属炭化物(炭化タングステンの他に、その用途により、炭化チタ
   ン、炭化タンタル等が添加されることがある。)とコバルトとが混合したものである。なお、超硬
   合金を研磨する工程において発生する粉じんも、同成分である限り、これに該当する。
  (3) 「飛散する場所における業務」としては、炭化タングステン等の金属炭化物とコバルトを混合す
   る業務、超硬合金組成粒を加圧し半焼結したものを成型加工する業務、焼結後の超硬合金を研磨す
   る業務等がある。
    なお、超硬合金工具等を用いて金属等の切削、加工等を行う業務では、超硬合金の粉じんが飛散
   するおそれはまずないものと考えられる。
  (4) 「気管支肺疾患」には、次の2つの型が認められている。
   イ 間質性肺疾患
     初期の段階での特徴は、咳、労作時の呼吸困難及び心悸亢進で、進行した症例では肺基底部に
    ラ音(注1)が聴取され、又バチ指(注2)が見られる。この進行した段階では、間質性肺線維症へと
    進展することがあり、胸部エックス線像及び肺機能検査からは、「じん肺」に似た臨床像が見ら
    れる。
   ロ 外因性の喘息様気管支炎
     感作型(主にアレルギー性)の喘息を伴う咳の発作が偶発的に発生するもので、作業から離脱す
    ると軽快し、作業に復帰すると再発する。
     (注1)ラ音:気管、気管支、肺胞又は肺空洞内に分泌物や血液等が停滞し、空気と混じって気泡
          を作りあるいは潰れるとき等に発する音で、吸気時に聴こえることが多い。
     (注2)バチ指:心臓疾患、胸部臓器疾患等においてみられる手指末端の肥大

第3 サイザル麻の粉じんによる気管支肺疾患について
   サイザル麻はシザル麻とも呼ばれ、東アフリカやブラジル等で、生産されており、我が国には漁網
  用ロープ、ワイヤー類の芯、じゅうたんの基布等の製造用として輸入されているものである。
   サイザル麻の粉じんによる気管支肺疾患については、落綿等の粉じんによる呼吸器疾患と同様のも
  のと考えられるので、昭和53年3月30日付け基発第186号による労働基準法施行規則別表第1の2第4号6
  の解説中「落綿等」の「等」の中には、サイザル麻が含まれることとして取り扱うこと。



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