健康管理手帳(じん肺)所持者に対する健康診断(追加)に当たっての留意事項について

基安労発第0120002号
平成15年1月20日
都道府県労働局長 殿
厚生労働省労働基準局安全衛生部
労働衛生課長

健康管理手帳(じん肺)所持者に対する健康診断(追加)に当たっての留意事項について

 じん肺法施行規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令(平成15年厚生労働省令第2号)の一部
施行に伴う健康管理手帳(じん肺)(以下「健康管理手帳」という。)所持者に対する健康診断の追加及
び健康管理手帳の様式改正については、平成15年1月20日付け基発第0120003号及び第0120004号により指
示されたところであるが、この事務処理に当たっては、下記事項に留意し、万全を期されたい。
1  健康管理手帳交付申請手続等に係る周知について
 (1) 事業者及び健康診断機関の団体等に対する周知について
   イ 事業者に対する周知
     事業者に対しては、離職が予定されている管理2又は管理3の労働者に健康管理手帳の交付申請
    方法等を説明するよう指導すること。
     また、事業者からじん肺法第12条又は第16条に基づきじん肺管理区分決定に係る手続があり、
    審査の結果、じん肺有所見者が認められた事業場の事業者に対しては、じん肺管理区分決定通知
    書を送付する際に、別途送付する2種類のリーフレットを同封する等により、今般の改正内容の
    周知に努めること。
   ロ 健康診断機関の団体等に対する周知
     健康診断機関の団体、医療関係団体、事業者団体、労働組合を始めとする関係諸団体の協力を
    得つつ、別途送付する2種類のリーフレットを活用し、健康管理手帳の交付要件に管理2が追加さ
    れたこと等今般の改正内容及び健康管理手帳の交付申請方法に関する周知に努めること。
     また、健康診断機関の団体及び医療関係団体に対しては、事業者からじん肺健康診断の依頼が
    あった場合には、傘下会員を通じて、じん肺健康診断を依頼した事業者及びじん肺健康診断受診
    者に、健康管理手帳の交付要件に管理2が追加されたこと等今般の改正内容及び健康管理手帳の
    交付申請方法について説明するよう協力を求めること。
 (2) 既に離職している者に対する周知について
    健康管理手帳の交付要件を満たす管理2又は管理3の者であって、既に離職している者に対しては、
   じん肺法第15条に基づくじん肺管理区分決定の随時申請時を活用し、健康管理手帳の交付申請方法
   等について周知すること。また、都道府県及び市町村の広報紙の活用についても配意すること。
 (3) その他
    中央労働災害防止協会安全衛生情報センターにおいては、法令通達等の安全衛生情報をインター
   ネット(ホームページ http://www.jaish.gr.jp)上でアクセスできる体制をとっているので、
   その活用についても幅広く周知すること。

2  委託医療機関の選定等について
 (1) 既に委託契約を締結している医療機関について
    粉じん作業に係る健康管理手帳所持者に対する健康診断の実施を既に委託している医療機関(以
   下「委託医療機関」という。)については、「胸部らせんCT検査」及び「喀痰(かくたん)細胞診」
   (以下「肺がんに関する検査」という。)が追加されたことを説明するとともに、肺がんに関する
   検査の実施が可能であること等を確認し、肺がんに関する検査を実施することができない委託医療
   機関については、昭和47年11月29日付け基発第762号の契約書の第4条に基づき、委託契約を解除す
   ること。また、肺がんに関する検査を実施することができる委託医療機関については、平成15年1
   月20日付け基発第0120004号により指示した健康診断実施項目及び当該健康診断費の単価を説明す
   ること。
 (2) 新たな委託医療機関の選定について
    今般、健康管理手帳の交付要件に管理2の者が追加されることに伴い、相当な健康診断受診者数
   の増加が予想されるので、必要に応じて、新たに適切な委託医療機関を選定するよう努めること。
    なお、新たに適切な委託医療機関を選定するに当たっては、地方じん肺診査医等の意見を参考に
   して、肺がんに関する検査を実施する意思と能力を有すること等を確認するのはもちろんのこと、
   平成8年7月23日付けで改正された昭和47年11月29日付け基発第762号(以下「762号通達」という。)
   の記の2についても留意すること。
 (3) 健康診断の実施時期等について
    健康診断の実施時期については、762号通達の記の1の(1)のなお書きに基づき、各局において、
   委託医療機関と協議の上、適切な時期に定めること。
    また、健康診断を実施する際には、「肺がんを併発するじん肺に関する症例資料集」を参考にす
   るよう指導すること。

3  既に健康管理手帳を交付している管理3の者に係る手続について
 (1) 新しい健康管理手帳の交付について
   平成15年1月20日前に管理3の者に対して交付された健康管理手帳(以下「旧手帳」という。)に
   ついては、今後、使用はできないこと。
    したがって、これらの者に対し、改正後の新たな健康管理手帳(以下「新手帳」という。)を交
   付する必要があるが、新手帳を交付する際には、旧手帳の裏表紙と新手帳の表表紙を固定し、合本
   すること。
    なお、新手帳は、管理2又は管理3の者の双方が使用できる様式となっていることに留意すること。
 (2) 合本の際の記入について
    上記(1)の合本の際には、旧手帳の5頁以降の健康診断を実施していない部分の欄について、斜
   線を引くとともに、新手帳の1頁の「氏名」、「性別」、「生年月日」及び「住所」並びに4頁の
   「じん肺の経過」欄に所定の事項を記入すること。

4  新手帳への記入について
   新手帳への記入方法については、基本的には、旧手帳への記入方法と同様であるが、次の事項に留意
 すること。
 (1) 4頁の「じん肺の経過」の「備考」欄の記入について
    新手帳については、じん肺管理区分ごとに健康診断実施項目が異なることから、当該健康管理手
   帳所持者のじん肺管理区分を明確にしておく必要がある。
    このため、じん肺管理区分が低位に変更された場合には、「じん肺の経過」の「備考」欄に、変
   更後のじん肺管理区分の決定年及び当該じん肺管理区分を記入すること。
 (2) 5頁以降の記入について
    新手帳については、当該健康管理手帳所持者のじん肺管理区分ごとに、健康診断実施項目が異な
   ることから、委託医療機関に対しては、管理3の者については、従来どおり、実施した健康診断項目
   の結果を記入するよう指導すること。
    一方、管理2の者については、健康診断を実施した「年月日」、「らせんCT」、「喀痰(かくたん)
   細胞診」、「かかっている合併症の名称」(この欄は必要に応じ記入)及び「医療機関の名称及び
   医師氏名」の欄のみを記入するよう指導すること。

5  健康管理手帳による健康診断実施報告書(じん肺)の記入について
   労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第57条に基づき、委託医療機関から都道府県労働局
  長に提出しなければならない改正後の様式第9号(健康管理手帳による健康診断実施報告書(じん肺))
  の用紙については、別途、各都道府県労働局へ送付することとしているが、別紙のとおり、「管理2
  の受診者用」のものと「管理3の受診者用」のものがあるので、委託医療機関に対して、当該用紙を
  じん肺管理区分に応じて使い分け、実施した健康診断項目の結果を記入するように指導すること。
様式第9号(別紙)
様式第9号(別紙)
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