機械の包括的な安全基準に関する指針に基づく機械製造者への指導の実施について

基安安発0422第1号
平成22年4月22日
都道府県労働局労働基準部
安全主務課長
厚生労働省労働基準局
安全衛生部安全課長

機械の包括的な安全基準に関する指針に基づく機械製造者への指導の実施について

 標記については、平成22年2月19日付け基安発0219第1号「安全衛生業務の推進について」(以下「安全
衛生留意通達」という。)の記の4(1)において指示がなされたところであるが、平成22年度の当面の対応
として、その具体的な実施事項は下記のとおりであるので、当該事項に留意の上、効果的な業務の推進が
図られるようお願いする。
1 趣旨
  機械使用事業場における機械災害を防止するには、機械使用事業場における安全管理を徹底するのみ
 ならず、機械製造者の段階での機械のリスク低減措置を講じることが効果的であり、現在、「機械の包
 括的な安全基準に関する指針」(以下「機械包括安全指針」という。)の普及を図っているところである。
  機械包括安全指針に基づく指導については、安全衛生業務運営要領(平成15年3月12日付け基発第0312
 010号)において個別指導の対象としているところであるが、機械製造者に関する十分な情報がないため、
 労働基準監督署(以下「署」という。)において対象事業場を選定することが難しい状況にある。
  そこで、安全衛生留意通達の記の4(1)のとおり、実際に機械災害が発生した事案のうち、機械製造者
 の段階でリスク低減措置を講じることが効果的であると考えられるものについて、当該情報を機械製造
 者を所轄する労働局(以下「メーカー所轄局」という。)に情報提供することにより、メーカー所轄局内
 における対象事業場の適切な選定を図り、もって機械包括安全指針に基づく取組の促進を図るものであ
 ること。
 
2  対象機械
(1) 災害調査の結果、安全装置、覆い等を備えることなど、機械製造者の段階でリスク低減措置を講じる
 ことが再発防止対策に効果的であると考えられるものであって、機械包括安全指針に基づく指導が効果
 的であると考えられるものを対象((3)の事案を除く。)とすること。
(2) 対象機械としては、例えば、昭和46年2月20日付け基発第128号「機械、設備等の安全衛生の確保に
 ついて」(以下「128号通達」という。)のメーカー指導指針の3において示されたものがあること。
(3) なお、128号通達の欠陥機械に該当するものについては、従前の取扱いのとおりであること。

3  対象機械の把握及び情報提供
(1) 機械災害についての災害調査においては、労働安全衛生法令に基づく機械使用事業者の措置を確認す
 るのみならず、当該機械が上記2の対象となるか否かも確認すること。
(2) 上記2の対象機械を把握した労働局は、機械製造者への具体的かつ効果的な指導に資するため、災害
 発生事業場名を機械製造者へ通知することの可否を災害発生事業場に確認の上、別添様式を作成し、メ
 ーカー所轄局の安全主務課に情報を提供すること。

4  機械製造者への指導
(1) 前記3により情報提供のあった事案については、メーカー所轄局において指導対象候補事業場とし、
 事案に応じ、個別指導等により必要な指導等を行うこと。
(2) なお、(1)の指導等の際に、情報提供のあった別添様式を参照し、機械包括安全指針に基づく本質的
 安全設計方策等の措置を教示する等の指導を行うこと。
(3) また、機械災害の災害調査を行った所轄署において、機械製造者に対し機械の改善の検討等の指導が
 なされている場合には、メーカー所轄局による指導は要さないものであること。

5  本省への情報提供
  本省においても、必要に応じて関係業界に対する注意喚起等に活用するため、平成22年度中に本通知
 に基づき機械製造者へ指導を行った場合には、メーカー所轄局は、別添様式の「備考」欄に機械製造者
 への指導の概要を記載の上、当課まで送付すること。
  なお、本省に情報提供のあった事例については、取りまとめた上で各局に情報提供することとしてい
 るので申し添える。
 

(参考) 128号通達の別紙1の「メーカー指導指針」(抜粋)
        ※注記:3の(1)から(26)の中には機械以外のものも含まれている。

 メーカー段階における機械等の安全衛生を確保するため、機械等のメーカーに対して次の事項について
指導すること。(中略)
3  ユーザーが機械等の設置の際に設けなければならない次の安全装置等については、製造段階において
 設けるようにされたいこと。
(1) 機械等の動力しゃ断装置(安衛則第103条)
(2) 工作機械の切削屑処理装置、覆い等(安衛則第106条)
(3) 紙・布・ワイヤロープ等の巻取りロール等の覆い等(安衛刻第109条)
(4) 金属加工用等の帯のこ盤の歯およびのこ車の覆い等(安衛則第114条)
(5) 金属加工用等の丸のこ盤の歯の接触予防装置(安衛則第115条)
(6) バフ盤の覆い(安衛則第121条)
(7) 木材加工用帯のこ盤の歯およびのこ車の覆い等(安衛則第124条)
(8) 木材加工用帯のこ盤のスパイクつき送りローラ等の接触予防装置、覆いまたは急停止装置(安衛則
  第125条)
(9) 面取り盤の刃の接触予防装置(安衛則第127条)
(10) 遠心機械のふた(安衛則第138条)
(11) 粉砕機および混合機のふた等(安衛則第142条)
(12) 紙、布等を通すロール機の囲い等(安衛則第144条)
(13) 織機のシャットルガード(安衛則第145条)
(14) 伸線機の引抜きブロックおよびより線機のゲージの覆い(安衛則第146条)
(15) 射出成形機、鋳型造形機、型打ち機等加圧機械の安全装置(安衛則第147条)
(16) 車両系建設機械のヘッドガード(安衛則第153条)
(17) 車両系建設機械の安全ブロック等(安衛則第166条)
(18) くい打機およびくい抜機のウインチのブレーキ等(安衛則第178条)
(19) 動力車のブレーキ、設備および運転者席(安衛則第208条第210条)
(20) 人車の設備(安衛則第211条)
(21) 貨物自動車の昇降設備(安衛則第417条)
(22) ダンプトラックの安全ブロック等(安衛則第424条)
(23) フォークリフトのヘッドガード(安衛則第151条の17)
(24) 油圧式伐倒機のヘッドガード(安衛則第478条)
(25) 集材機および運材機(安衛則第499条第504条)
(26) エックス線装置の照射筒およびろ過板(電離則第10条第11条)
                                           (以下略)

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