「建築物等の解体等の作業での労働者の石綿ばく露防止に関する技術上の指針」の制定について

基発0509第10号
平成24年5月9日
都道府県労働局長 殿
厚生労働省労働基準局長

「建築物等の解体等の作業での労働者の石綿ばく露防止に関する技術上の指針」の制定について

 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「安衛法」という。)第28条第1項の規定に基づき、「建築
物等の解体等の作業での労働者の石綿ばく露防止に関する技術上の指針」(以下「石綿指針」という。)を
制定し、平成24年5月9日付け官報にその名称及び趣旨を別添1のとおり公示したところである。
 ついては、貴職におかれては、下記に留意の上、石綿指針を閲覧に供するとともに、石綿障害予防規則
(平成17年厚生労働省令第21号。以下「石綿則」という。)の遵守と併せ、石綿指針に定める留意事項の遵
守を事業者等に対して指導し、建築物等の解体等の作業での石綿ばく露防止対策に遺漏なきを期されたい。
 なお、関係事業者団体に対しては、別添2により石綿指針に定める留意事項を遵守することの周知につ
いて要請したので了知されたい。
第1 制定の趣旨及び内容
  建築物等の解体等の作業を行う労働者への石綿のばく露による健康障害の予防については、安衛法石綿則等に基づき必要な措置を講ずるよう事業者を指導してきたところである。
  しかし、平成23年度に建築物等の解体等の作業を行う現場で厚生労働省及び環境省が実施した気中石
 綿濃度モニタリング(測定)の結果では、石綿等の除去等の作業のために設置した隔離された作業場所(以
 下「隔離空間」という。)の外部に石綿等の粉じんが漏洩した事案が複数報告されている。また、解体等
 の作業に先立つ石綿等の有無等の事前調査が不十分であったため、適切な石綿ばく露防止措置が講じられ
 なかった事案も発生している。特に、平成23年3月に発生した東日本大震災の被災地では、建築物等の解
 体等の作業が今後も多数行われることが想定され、このような基本的な事項が徹底されていないことによ
 り石綿等の飛散及び労働者等へのばく露を生じさせる可能性も懸念される。
  このため、改めて事業者に対しての指導を安衛法の体系の下で効果的に実施すべく、有識者による「
 建築物解体時の石綿ばく露低減方策に係る検討会」(平成23年度石綿解体工事従事者へ向けた石綿粉じん
 の有害性調査事業)の報告書(平成24年3月)で示された技術的事項を踏まえ、事前調査並びに石綿等の飛
 散及びばく露防止のための工学的対策を中心に、石綿指針を制定することとした。

第2 細部事項
 1 事前調査(石綿指針の2)について
  (1) 目視、設計図書等による調査(石綿指針の2-2)について
   ア 石綿指針の2-1-2の(1)中「石綿に関し一定の知見を有し、的確な判断ができる者」には、
    「建築物石綿含有建材調査者講習登録規程」(平成25年7月30日公示)により国土交通省に登録さ
    れた機関が行う講習を修了した建築物石綿含有建材調査者、石綿作業主任者技能講習修了者のう
    ち石綿等の除去等の作業の経験を有する者及び日本アスベスト調査診断協会に登録された者が含
    まれること。
  (2) 分析による調査(石綿指針の2-3)について
   ア 石綿指針の2-3の(1)中「十分な経験及び必要な能力を有する者」には、公益社団法人日本作業
    環境測定協会が実施する「石綿分析技術の評価事業(石綿分析に係るクロスチェック事業)」によ
    り認定されるAランク又はBランクの認定分析技術者、一般社団法人日本環境測定分析協会が実施
    する「アスベスト偏光顕微鏡実技研修修了者」や「アスベスト偏光顕微鏡インストラクター」が
    あること。
     なお、「石綿含有の分析」とは、定性分析、含有率の分析のみならず試料の採取や分析用試料
    の作製を含むものであり、分析機関に委託して実施する場合は、その全てを分析機関に行わせる
    ことが望ましいこと。除去等の作業を請け負った事業者等が建材等からの試料の採取を実施した
    上で、それ以外の分析の業務を分析機関に委託する場合には、試料の採取は、(1)に掲げる者に行
    わせるとともに、分析結果報告書に試料採取者の情報を記録すること。
   イ 石綿指針の2-3の(3)中「表面にとどまらず下地近くまで採取すること」とあるのは、多層の吹
    き付けが行われていた場合に表面と内部とで石綿の含有の有無等が異なる場合があるためである
    こと。 
   ウ 石綿指針の2-3の(4)中「これと同等以上の精度を有する分析方法」とは、平成18年8月21日付
    け基発第0821002号「建材中の石綿含有率の分析方法について」の記の2に示す方法であること。
  (3) 調査結果の記録及び掲示(石綿指針の2-4)について
   石綿指針の2-4の(2)の調査結果の記録の掲示について、別紙に示すモデル様式があるので参考とす
   ること。
 2 吹き付けられた石綿等の除去等に係る措置(石綿指針の3)について
  (1) 隔離等の措置(石綿指針の3-1)について
   石綿指針の3-1の(6)のイ中「照度を確保」について、建材等の表面の状態が確認できる程度以上の
   照度を確保すること。
  (2) 集じん・排気装置の稼働状況の確認、保守点検等(石綿指針の3-2)について
   ア 石綿指針の3-2の(1)中「隔離空間の内部の負圧化が適切に行われていること」の定期的な確認
    については、少なくとも1日に1回行うこと。
     また、「石綿等の粉じんの漏洩が生じていないこと」の定期的な確認については、集じん・排
    気装置の設置時及びフィルタ(1次フィルタ、2次フィルタ又はHEPAフィルタ)の交換の都度、フィ
    ルタ及びパッキンが適切に取り付けられていること等について目視により行うこと。
   イ 石綿指針の3-2の(3)中「保守点検を定期的に行うこと」については、集じん・排気装置の設置
    時及び少なくとも1日に1回、フィルタ及びパッキンが適切に取り付けられていること、異常音が
    ないこと等について点検すること。
   ウ 石綿指針の3-2の(4)中「集じん・排気装置の取扱い及び石綿による健康障害の防止に関して、
    知識及び経験を有する者」には、石綿作業主任者技能講習修了者のうち石綿等除去等作業の経験
    を有する者があること。
   エ 石綿等の除去等の作業を一時中断し、集じん・排気装置を停止させている間は、作業を行う労
    働者の退出後に出入口を密閉し、石綿等の粉じんの漏洩を防止すること。

第3 その他
 1 参考情報
  建築物等の石綿等の除去等の作業に係る参考情報としては、次の1及び2に示すものがあること。
  (1) 環境省「建築物の解体等に係る石綿飛散防止マニュアル2011」
  (2) 建設業労働災害防止協会「新版 建築物等の解体等工事における石綿粉じんへのばく露防止マニュ
   アル」
 2 関係通達の改正
  平成17年3月18日付け基発第0318003号「石綿障害予防規則の施行について」の第3の2の(1)のクを次
  のように改める。
   ク 第1項の調査については、石綿作業主任者技能講習修了者のうち石綿等の除去等の作業の経験を
    有する者、日本アスベスト調査診断協会に登録されたアスベスト診断士等石綿に関し一定の知見
    を有し、的確な判断ができる者が行うこと。

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