法令 安全衛生情報センター:ホームへ
ホーム > 法令・通達(検索) > 法令・通達

石綿障害予防規則の施行について(令和2年10月28日 基発1028第1号により廃止)

改正履歴
                                       基発第0318003号
                                       平成17年3月18日


都道府県労働局長 殿


                                    厚生労働省労働基準局長


               石綿障害予防規則の施行について
           (令和2年10月28日 基発1028第1号により廃止)


 石綿障害予防規則(平成17年厚生労働省令第21号。以下「石綿則」という。)は、平成17年2月24日に公
布され、同年7月1日から施行されることとなった。
 石綿則は、石綿を含有する建材を使用した建築物等の解体等の作業が今後増加することが予想されるこ
と等から、これらの作業における石綿ばく露防止対策等の徹底を図るため、これまで特定化学物質等障害
予防規則(昭和47年労働省令第39号。以下「特化則」という。)において規制していた事項と併せて、労働
安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「法」という。)に基づく新たな単独の規則として制定したもので
ある。
 ついては、下記による施行に遺憾なきを期されたい。
 なお、石綿則と改正前の特化則(以下「旧特化則」という。)との関係は別紙1のとおりである。


                        記


第1 制定の趣旨
  石綿による健康障害の予防については、これまで法、旧特化則等に基づき必要な措置を講じることと
 してきたところである。このうち、石綿を含有する製品の製造等に係る規制については、平成7年に石
 綿のうち有害性の高いアモサイト(茶石綿)及びクロシドライト(青石綿)を含有する製品の製造等が禁止
 され、さらに平成16年10月1日にクリソタイル(白石綿)等の石綿を含有する石綿セメント円筒等の製品
 の製造等が禁止されたことにより、国内の石綿使用量が大幅に減少したところである。
  一方、1970年代後半から1980年代にかけて輸入された石綿の多くは、これまで建材として建築物に使
 用されており、今後この時期に建築された建築物等の解体等の作業が増加することが予想される。
  このため、今後の石綿ばく露防止対策等は、建築物等の解体等の作業が中心となり、事業者が講ずべ
 き措置の内容が特化則に定める他の化学物質に係るものとは大きく異なることとなることから、新たに
 建築物等の解体等の作業における石綿ばく露防止対策等の充実を図った単独の規則を制定し、石綿によ
 る健康障害の予防対策の一層の推進を図ることとしたものである。

第2 旧特化則から変更した主要な事項
 1 事業者は、石綿を含有する製品の使用状況等を把握し、当該製品を計画的に石綿を含有しない製品
  に代替するよう努めなければならないこととしたこと。(第1条第2項関係)
 2 建築物又は工作物の解体、破砕等の作業(以下「解体等の作業」という。)において、石綿等の使用
  状況が不明であるために必要な措置が講じられていないことによる石綿による健康障害を防止する観
  点から、あらかじめ石綿等の使用の有無を目視、設計図書等により調査し、その結果を記録するとと
  もに、当該調査の結果、石綿等の使用の有無が明らかとならなかったときは、石綿等の使用の有無を
  分析により調査し、その結果を記録しなければならないこととしたこと。
   ただし、石綿等が吹き付けられていないことが明らかである場合において、石綿等が使用されてい
  るものとみなして法及びこれに基づく命令に規定する措置を講ずるときは、分析による調査は必要な
  いこととしたこと。(第3条関係)
 3 石綿等が使用されている建築物又は工作物の解体等の作業については、第3条の事前調査の結果を踏
  まえて作業計画を作成し、当該作業計画により作業を行わなければならないこととしたこと。(第4条
  関係)
 4 石綿等が使用されている保温材、耐火被覆材等の除去作業のうち、石綿等の粉じんを著しく発散す
  るおそれがある作業(以下「保温材等の除去作業」という。)その他これに類する作業を行うときは、
  あらかじめ、石綿ばく露防止のための措置の概要等を記載した作業届を所轄労働基準監督署長に提出
  しなければならないこととしたこと。(第5条関係)
 5 保温材等の除去作業について、当該作業場所に当該作業に従事する労働者以外の者の立入りを原則
  として禁止し、及びその旨の表示をしなければならないこととしたこと。
   また、特定元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者の作業が、保温材等の除去作業と同
  一の場所で行われるときは、当該保温材等の除去作業の開始前までに、関係請負人に当該作業の実施
  について通知するとともに、作業の時間帯の調整等必要な措置を講じなければならないこととしたこ
  と。(第7条関係)
 6 第3条の事前調査を適切に実施するためには、発注者が有している設計図書等に記載された石綿等の
  使用状況等の情報を請負人に提供することが有効であることから、建築物又は工作物の解体等の作業
  を行う仕事の発注者は、当該仕事の請負人に対し、建築物又は工作物における石綿等の使用状況等を
  通知するよう努めなければならないこととしたこと。(第8条関係)
 7 建築物又は工作物の解体等の作業を行う仕事の注文者は、石綿等の使用の有無の調査、解体等の作
  業等の方法、費用、工期等について、法及びこれに基づく命令の規定の遵守を妨げるおそれのある条
  件を付さないよう配慮しなければならないこととしたこと。(第9条関係)
 8 労働者を就業させる建築物に吹き付けられた石綿等が損傷、劣化等によりその粉じんを発散させ、
  労働者がその粉じんにばく露するおそれがあるときは、当該石綿等の除去、封じ込め、囲い込み等の
  措置を講じなければならないこととしたこと。また、建築物貸与者についても、建築物の共用部分に
  ついて同様の措置を講じなければならないこととしたこと。(第10条関係)
 9 旧特化則において、作業場所の隔離、送気マスク等の使用等の措置を講じた場合には、石綿等を吹
  き付ける作業に労働者を従事させることができることとしていたが、これらの条件を削除し、当該作
  業に労働者を従事させることを全面的に禁止することとしたこと。(第11条関係)
 10 旧特化則において、石綿等の切断等の作業について、石綿等を湿潤な状態にし、労働者に呼吸用保
  護具、作業衣等を使用させることとしていたが、これらの作業において発散した石綿等の粉じんの掃
  除の作業についても同様の措置を講じさせることとしたこと。(第13条及び第14条関係)
 11 石綿等が使用されている建築物又は工作物の解体等の作業に係る業務を特別教育の対象としたこと。
  (第27条及び附則第10条関係)
 12 事業者は、特定石綿等を常時、製造し、又は取り扱う作業場及び休憩室の床を水洗等によって容易
  に掃除できる構造のものとしなければならないこととし、当該床等については、水洗する等粉じんの
  飛散しない方法によって、毎日1回以上、掃除を行わなければならないこととしたこと。(第29条及び
  第30条関係)
 13 旧特化則において、特別管理物質に係る作業の記録及び特殊健康診断個人票については、特別管理
  物質を製造し、又は取り扱う作業に常時従事する労働者が当該作業に従事することとなった日から30
  年間保存することとしていたが、これを当該記録をした日から30年間保存することとしたこと。(第3
  5条第41条及び附則第12条関係)
 14 使用された保護具等に付着した石綿等の粉じんが作業場外に飛散することにより、他の労働者が石
  綿等にばく露するおそれがあることから、使用された保護具等を他の衣服等から隔離して保管すると
  ともに、廃棄のために容器等に梱包したときを除き、付着した物を除去した後でなければ作業場外に
  持ち出すことを禁止することとしたこと。(第46条関係)

第3 細部事項
1 第1章 総則
 (1)第1条関係
  ア 第1項は、労働者が石綿にばく露され健康障害を受けることを予防するため、石綿則に定める措
   置を講じることはもとより、作業方法の確立、関係施設の改善、作業環境の整備、健康管理の徹底
   等の実情に即した適切な対策を積極的に講ずべきことを規定したものであること。
  イ 第1項の「その他必要な措置」には、製品中の石綿使用量を減らすこと等があること。
  ウ 第1項の「労働者の危険の防止の趣旨に反しない限り」とは、石綿にばく露される労働者の人数
   並びにばく露される期間及び程度を最小限度にすることを重視するあまり、例えば取り外した建材
   を保持する労働者の人数を制限したため、労働者が建材の重量に耐えられず建材を落下させ、負傷
   する等労働者の安全の確保に支障が生ずることのないように留意すべきことを定めたものであるこ
   と。
  エ 第2項は、石綿による重篤な健康障害のおそれを低減するためには、現段階で石綿を含有しない
   製品への代替が可能であるものはもとより、それ以外の石綿含有製品についても、早急に技術開発、
   実証試験等を推進し、着実に石綿を含有しない製品への代替化を図る必要があることから、施設、
   設備等における石綿含有製品の使用状況を把握し、当該施設、設備等の検査、修理、改造、更新等
   の機会を捉え、計画的に石綿を含有しない製品への代替化を図ることについて規定したものである
   こと。
    なお、石綿含有製品については、国民の安全確保の観点から代替化が困難なものを除き製造等を
   禁止していることを踏まえ、石綿を新たな製品に使用してはならないこと。
 (2)削除

2 第2章 石綿等を取り扱う業務等に係る措置
 (1)第3条関係
  ア 第1項の「建築物又は工作物」とは、すべての建築物及び煙突、サイロ、鉄骨架構、上下水道管
   等の地下埋設物、化学プラント等の土地に固定されたものをいうこと。また、「建築物」には、建
   築物に設ける給水、排水、換気、暖房、冷房、排煙の設備等の建築設備が含まれるものであること。
  イ 第1項の「解体、破砕等」の「等」には、改修が含まれるものであること。なお、「改修」とは、
   建材を全面的に取り替える等の作業をいい、小規模な作業を含むものではないこと。
  ウ 第1項の「設計図書」とは、建築物、その敷地又は工作物に関する工事用の図面及び仕様書のこ
   とであること。
  エ 第1項の「設計図書等」の「等」には、施工記録、維持保全記録、第8条に基づく発注者からの情
   報が含まれるものであること。
  オ 第2項の「石綿等の使用の有無を分析により調査」するとは、石綿等がその重量の0.1%を超えて
   含有するか否かについて分析を行うものであり、その方法については別途示すこととしていること。
    なお、吹付け材の除去作業等発じんが多い作業については、できるだけ石綿等の含有率について
   も分析し、ばく露防止措置を講ずる際の参考とすることが望ましいこと。
  カ 第2項ただし書は、本来は石綿等の使用の有無を分析調査し、石綿等が使用されていることが明
   らかとなった場合に必要な措置を講ずべきものであるが、石綿等が吹き付けられていないことが明
   らかである場合において、石綿等が使用されているものとみなして必要な措置を行うことにより、
   分析調査を行うよりも費用負担が軽減される場合があることから規定したものであること。
    この場合、みなすか否かについては、第1項の調査を行った結果を踏まえて事業者が判断するも
   のであり、同項の調査結果と併せて記録することが望ましいこと。
  キ 第1項の調査を行った建築物又は工作物について石綿等の使用の有無が明らかとならなかった吹
   付け材及び吹付け材以外の建材が混在する場合、吹付け材については除去作業における発じんが著
   しく多いため、必ず分析により石綿等の使用の有無を調査する必要があること。吹付け材以外の建
   材については石綿等が使用されているものとみなして法及びこれに基づく命令に規定する措置を講
   ずるときは、分析による調査は実施する必要がないものであること。
  ク 第1項の調査については、「建築物石綿含有建材調査者講習登録規程」(平成30年厚生労働省・国
   土交通省・環境省告示第1号)第2条第2項の講習を修了した特定建築物石綿含有建材調査者及び建築
   物石綿含有建材調査者並びに日本アスベスト調査診断協会に登録された者等石綿に関し一定の知見
   を有し、的確な判断ができる者が行うこと。
 (2)第4条関係
  ア 事業者が解体等の作業に係る作業手順、注意事項等を記載した計画書を作成している場合におい
   て、第2項各号に掲げる事項を含むときは、別途本条に基づく作業計画を定める必要はないもので
   あること。また、当該計画には、周辺環境への対応、解体廃棄物の適切な処理についても含めるこ
   とが望ましいこと。
  イ 施工中に事前調査では把握していなかった石綿を含有する建材等が発見された場合には、その都
   度作業計画の見直しを行うこと。
  ウ 解体等の作業の実施に当たっては、作業環境中の石綿の濃度の測定及び評価に基づく作業環境管
   理を行うことが望ましいこと。なお、作業環境管理については、別途示す屋外作業場における作業
   環境管理に係る手法等に基づき行うこと。
 (3)第5条関係
  ア 第1項の「保温材、耐火被覆材等」の「等」には、断熱材が含まれるものであること。
  イ 第1項の「石綿等の粉じんを著しく発散させるおそれのあるもの」とは、以下に掲げる保温材、
   耐火被覆材等が張り付けられた建築物又は工作物の解体等の作業をいうこと。
  (ア)「石綿等が使用されている保温材」とは、石綿保温材並びに石綿を含有するけい酸カルシウム保
   温材、けいそう土保温材、バーミキュライト保温材、パーライト保温材及び配管等の仕上げの最終
   段階で使用する石綿含有塗り材をいうものであること。
  (イ)「石綿等が使用されている耐火被覆材」とは、石綿を含有する耐火被覆板及びけい酸カルシウム
   板第二種をいうものであること。
  (ウ)石綿等が使用されている断熱材とは、屋根用折版石綿断熱材及び煙突石綿断熱材をいうものであ
   ること。
  ウ 第1項の「これに類する作業」とは、吹き付けられた石綿等の除去作業のうち、労働安全衛生規
   則(昭和47年労働省令第32号。以下「安衛則」という。)第90条第5号の2に掲げるもの以外のもの
   (吸音用吹付け石綿等)をいうものであること。
  エ 第2項は、法第88条第4項に基づく建築物又は工作物の解体等の作業と、石綿等が使用されている
   保温材、耐火被覆材等の除去作業を併せて行う場合には、二重に届出を行う必要がないこととする
   ものであるが、同項に基づく計画において当該除去作業に係る石綿ばく露防止のための措置の概要
   を記載しなければならないものであること。
 (4)第6条関係
  ア 吹き付けられた石綿等を除去する作業を行う場合は、石綿等の粉じんの発生量が多く、このよう
   な作業場所に隣接した場所で作業を行う労働者が当該粉じんにばく露するおそれがあるため、それ
   以外の作業を行う場所から隔離すべきことを規定したものであること。
  イ 吹き付けられた石綿等には、石綿をその重量の0.1%を超えて含有するロックウール吹付け材、
   バーミキュライト吹付け材及びパーライト吹付け材が含まれるものであること。
  ウ 削除  
  エ 天井裏に吹き付けられた石綿等の除去に伴い、あらかじめ当該石綿等の下に施工されている天井
   板(石綿を含有しないものを含む。)の除去作業を行う場合には、当該天井板の上面に長年にわたり
   堆積した石綿等の粉じんが飛散すること、又は天井裏に吹き付けられた石綿等が損傷を受けること
   により石綿等の粉じんが発散することがあるので、当該作業においても本条に基づき作業場所を隔
   離する必要があること。
 (5)第7条関係
  ア  立入禁止の対象となる作業場所とは、作業場内において当該作業が行われている個々の作業場所
      をいうものであり、必ずしも壁、天井等により区画される区域までをいうものではないこと。  
  イ 保護具等を使用した者は立入禁止の対象としていないが、みだりに当該作業場所で他の作業を行
   うべきではないこと。
 (6)第8条関係
  ア 「発注者」とは、建築物又は工作物の所有者、管理者等で、当該建築物又は工作物の解体等の作
   業を行う仕事を他の者から請け負わないで注文している者をいうこと。
  イ 本条は、発注者が石綿等の使用の状況等に係る情報を有している場合に通知するよう努めなけれ
   ばならないものであり、情報を有していない場合まで通知を求める趣旨ではないこと。
 (7)第10条関係
  ア 「吹き付けられた石綿等」には、天井裏等通常労働者が立ち入らない場所に吹き付けられた石綿
   等で、建材等で隔離されているものは含まないものであること。
  イ 第1項の「除去」とは、吹き付けられた石綿等又は張り付けられた保温材、耐火被覆材等をすべ
   て除去して、他の石綿を含有しない建材等に代替する方法をいうこと。この方法は吹き付けられた
   石綿等又は張り付けられた保温材、耐火被覆材等からの粉じんの発散を防止するための方法として、
   もっとも効果的なものであり、損傷、劣化の程度の高いもの(脱落・繊維の垂れ下がりが多いもの
   等)、基層材との接着力が低下しているもの(吹付け層が浮き上がっているもの等)、振動や漏水の
   あるところに使われているもの等については、この方法によることが望ましいこと。
  ウ 第1項の「封じ込め」とは、吹き付けられた石綿等又は張り付けられた保温材、耐火被覆材等の
   表面に固化剤を吹き付けることにより塗膜を形成すること、又は吹き付けられた石綿等又は張り付
   けられた保温材、耐火被覆材等の内部に固化剤を浸透させ、石綿繊維の結合力を強化することによ
   り吹き付けられた石綿等又は張り付けられた保温材、耐火被覆材等からの発じんを防止する方法を
   いうこと。
  エ 第1項の「囲い込み」とは、石綿等が吹き付けられている又は張り付けられた保温材、耐火被覆
   材等を使用した天井、壁等を石綿を含有しない建材で覆うことにより、石綿等の粉じんを室内等に
   発散させないようにする方法をいうこと。
  オ 「除去」以外の措置を講じた場合には、その施工記録等の情報を設計図書等と合わせて保存する
   ことが望ましいこと。
  カ 石綿等が吹き付けられている又は張り付けられた保温材、耐火被覆材等を使用したことが明らか
   となった場合には、吹き付けられた石綿等又は張り付けられた保温材、耐火被覆材等の損傷、劣化
   等により石綿等の粉じんにばく露するおそれがある旨を労働者に対し情報提供することが望ましい
   こと。
 (8)第12条関係
  ア 第1項は、屋内作業場の一定した箇所から、特定石綿等の粉じんが発散する場合に、その粉じん
   による作業場内の空気の汚染及び健康障害を防止するため、その発散源に局所排気装置又はプッシ
   ュプル型換気装置を設置すべきことを規定したものであり、第2項は第1項ただし書に相当する場合
   における全体換気装置の設置その他必要な措置を規定したものであること。
  イ 第1項の「設置が著しく困難なとき」には、種々の場所に短期間ずつ出張して行う作業の場合又
   は発散源が一定していないために技術的に設置が困難な場合があること。
  ウ 第1項の「臨時の作業」とは、その事業において通常行っている作業のほかに一時的必要に応じ
   て行う作業をいうこと。
    したがって、一般的には、作業時間が短時間の場合が少なくないが、必ずしもそのような場合の
   みに限られる趣旨ではないこと。
  エ 本規則において、「屋内作業場」には、作業場の建家の側面の半分以上にわたって壁、羽目板、
   その他のしゃ蔽物が設けられておらず、かつ粉じんがその内部に滞留するおそれがない作業場は含
   まれないこと。
  オ 第2項の「湿潤な状態にする等」の「等」には、短期間出張して行う作業又は臨時の作業を行う
   場合における適切な保護具の使用が含まれること。
 (9)第13条関係
  ア 本条は、屋内、屋外の作業場を問わず第1項第1号から第5号までに規定する作業を行う場合には、
   石綿等の粉じんの発散を防止するため、原則として湿潤な状態にしなければならないこととしたも
   のであること。
  イ 第1項の「著しく困難なとき」には、湿潤な状態とすることによって石綿等の有用性が著しく損
   なわれるときが含まれること。また、掃除の作業において床の状況等により湿潤な状態とすること
   によってかえって掃除することが困難となるおそれのあるときが含まれるものであること。
  ウ 第1項第3号及び第4号の「粉状の石綿等」には、繊維状の石綿等が含まれ、樹脂等で塊状、布状
   等に加工され発じんのおそれのないものは含まれないものであること。
  エ 第2項は、石綿等の切りくず等を放置することにより、切りくず等から石綿等の粉じんが発生す
   ることを防止するため、ふたのある容器を備えなければならないこととしたものであること。
 (10)第14条関係
  ア 第13条第1項各号の作業はいずれも石綿等の粉じんの発生量が多いものであることから、労働者
   のばく露防止の徹底を図るため、同条の措置に加えて、呼吸用保護具、作業衣等の使用を義務付け
   るものであること。
  イ 呼吸用保護具は作業に応じて有効なものを選択すること。
  ウ 作業衣は粉じんの付着しにくいものとすること。
 (11)第15条関係
   本条は、石綿等の製造又は取扱いを行う作業場について、関係者以外の者がみだりに立ち入らない
  よう措置し、その旨を表示すべきことを規定したものであること。

3 第3章 設備の性能等
 (1)第16条関係
  ア 本条は、第12条第1項の規定により設ける局所排気装置又はプッシュプル型換気装置に関し、有
   効な稼働効果を確保するための構造上の要件及び能力について規定したものであること。
  イ 第1項第1号は、局所排気装置のフードが適切な位置に設けられていないためにその効果がしばし
   ば減少することがあるので、その効果を期するために必要なフードの設置位置について規定したも
   のであること。
  ウ 第1項第1号の「発散源にできるだけ近い位置に設ける」とは、局所排気装置の吸引効果は、フー
   ド開口面と発散源との間の距離の二乗に比例して低下することから、フードが十分に機能するよう
   フード開口面を発散源に近づけることをいうこと。
  エ 第1項第1号の「外付け式フード」とは、フード開口部が発散源から離れている方式のフードをい
   うこと。
  オ 第1項第1号の「レシーバー式フード」とは、外付け式フードと類似しているが、発散源からの熱
   上昇気流等による一定方向への気流に対して開口部がその気流を受ける方向にあるものをいうこと。
  カ 第1項第2号及び第2項第1号は、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置のダクトの配置が不良
   のために、ダクトが長くなりすぎたり、ベンドが多くなったりして圧力損失(抵抗)が増大し、その
   結果、より大きな能力のファンが必要となること、又は稼働中に粉じんが堆積して著しく局所排気
   装置若しくはプッシュプル型換気装置の能力が低下することがしばしばあるので、装置の効果を期
   するために必要なダクトの構造について規定したものであること。
  キ 第1項第2号及び第2項第1号の「適当な箇所」としては、ベンドの部分又は粉じんが堆積しやすい
   箇所があること。
  ク 第1項第2号及び第2項第1号の「掃除口が設けられている等」の「等」には、ダクトを差込み式に
   して容易に取り外しすることができる構造にすることが含まれること。
  ケ 第1項第3号及び第2項第2号は、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置からの汚染空気が作業
   場内に排出されることを防ぐために規定したものであること。
  コ 第1項第3号及び第2項第2号の「排気口」には、第18条により除じんした後の排気を排出する排気
   口が含まれること。
  サ 第1項第4号は、局所排気装置の具備すべき能力について定めたものであるが、局所排気装置が、
   そのフードの周囲の所定位置において特定石綿等の粉じんの濃度を一作業直の時間中に平均して、
   常態として、それぞれ厚生労働大臣が定める値(抑制濃度)を超えないようにすることのできる能力
   のものであるべきことを規定したものであること。
    なお、この厚生労働大臣が定める値は、別途告示で示されるものであること。
  シ 第2項第3号は、プッシュプル型換気装置の具備すべき能力について定めたものであること。
 (2)第17条関係
  ア 第1項は、第12条第1項により設置した局所排気装置又はプッシュプル型換気装置について、特定
   石綿等の製造又は取扱いの作業に労働者が従事している間稼働させるべきことを規定したものであ
   ること。
    また、第2項は、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置の構造及び能力が適切であっても、
   例えば窓を開放したり、換気扇を近接させたりすることによる気流の乱れによりフードの吸い込み
   を悪くし、その結果、装置の効果を低下させることがあるので、このような周囲の環境変化による
   悪影響を防止するための必要な措置を規定したものであること。
  イ 第2項の「バッフル」とは、邪魔板ともいい、発散源付近の吸込み気流を外部の気流等からの影
   響から遮断するため設ける衝立等をいうこと。
  ウ 第2項の「換気を妨害する気流を排除する等」の「等」には、風向板を設けて気流の方向を変え
   ること又は開放された窓を閉じることが含まれること。
  エ 第2項の「有効に稼働させる」とは、別途示される告示に規定する稼働要件を満たしていること
   をいうこと。
 (3)第18条関係
  ア 本条は特定石綿等の粉じんをそのまま大気中に放出すると、作業環境を汚染して労働者に健康障
   害を及ぼすおそれがあるのみならず、環境汚染の原因となるので、その放出源である局所排気装置
   若しくはプッシュプル型換気装置のダクト又は製造設備の排気筒について有効な除じん方式の除じ
   ん装置を設けること、及びそれを有効に維持稼働させることを規定したものであること。
  イ 第1項にいう除じん方式は、全体の除じん過程における主たる除じんの方式をいうものであり、
   除じん方式の選択は、次の例のように行うものであること。
  (ア)約50マイクロメートル以下の対象粉じんにつき、粒径分布(重量法による頻度分布)の図を作成す
   る。
  (イ)(ア)により作成した粒径分布の曲線においてピークを示す点が横軸において、5マイクロメート
   ル未満、5マイクロメートル以上20マイクロメートル未満又は20マイクロメートル以上のどこに位
   置するかを見て、該当する粒径に対応する除じん方式を本項の表から求めるものとする。
  ウ 第1項の「ろ過除じん方式」とは、ろ層に粉じんを含有する気体を通して、粉じんをろ過捕集す
   る原理によるものをいい、バグフィルタ(ろ布の袋)によるものとスクリーンフィルタ(ろ布の幕)に
   よるものとがあること。
  エ 第1項の「電気除じん方式」とは、高電圧の直流のコロナ放電を利用して、粉じんを荷電し、電
   気的引力により捕集する原理によるものをいうこと。
  オ 第1項の「スクラバによる除じん方式」とは、水等の液体を噴射又は起泡し、粉じんを含有する
   気体中の粉じんを加湿凝集させて捕集する原理によるものをいい、一般に湿式又は洗浄式除じん方
   式といわれているものであること。
  カ 第1項の「マルチサイクロンによる除じん方式」とは、2個以上のサイクロン(粉じんを含有する
   気体を円筒内で旋回させ、その遠心力で外方に分離される粉じんを落下させるもの)を並列に接続
   したものであり、サイクロン系としては高性能を有するものであること。
    サイクロンを2個又は4個接続したものは、通常それぞれダブルサイクロン、テトラサイクロンと
   いわれ、これらはマルチサイクロン方式のものに含まれるが、単体サイクロンは、これに含まれな
   いものであること。
  キ 第2項は、粉じん濃度が高い場合又は粒径の大きい粉じんが多い場合において、第1項の除じん装
   置の効果を期待するためには、事前に粉じんを含有する気体中の粉じんを一部除去しておく必要が
   あるため規定されたものであること。
  ク 第2項の「前置き除じん装置」には、重力沈降室、ルーバ等の慣性除じん装置、サイクロン等が
   あること。
  ケ 第3項は、除じん装置について、捕集粉じんの取除き(ダスト抜き)、破損の修理、除じん効果の
   確認等をしばしば行う等によって所定の性能を維持しながら稼働させることを規定したものである
   こと。
  コ プッシュプル型換気装置に除じん装置を設けるときは、吸込側フードから吸引された粉じんを含
   む空気を除じんするためのものであることから、排気側に設けること。

4 第4章 管理
 (1)第19条関係
  ア 「作業場ごとに石綿作業主任者を選任し」については、必ずしも単位作業室ごとに選任を要する
   ものでなく、第20条各号に掲げる事項の遂行が可能な範囲ごとに選任し配置すれば足りること。
  イ 「選任」にあたっては、その者が第20条各号に掲げる事項を常時遂行することができる立場にあ
   る者を選任することが必要であること。
  ウ 「特定化学物質等作業主任者技能講習」については、特化則第52条に規定されているものである
   こと。
 (2)第20条関係
  ア 第1号の「作業の方法」については、専ら、石綿による健康障害の予防に必要な事項に限るもの
   であり、例えば、湿潤化、隔離の要領、立入禁止区域の決定等があること。
  イ 第2号の「その他労働者が健康障害を受けることを予防するための装置」には、全体換気装置、
   密閉式の構造の製造装置等があること。
  ウ 第2号の「点検する」とは、関係装置について、第12条及び第16条から第18条までに規定する健
   康障害の予防措置に係る事項を中心に点検することをいい、その主な内容としては、装置の主要部
   分の損傷、脱落、異常音等の異常の有無、局所排気装置その他の排出処理のための装置等の効果の
   確認等があること。
 (3)第22条関係
  ア 本条は、法第45条及び令第15条第9号の規定により、定期に自主検査を行わなければならないこ
   ととされた第21条各号に掲げる装置について検査すべき事項を、装置の種類に応じて定めたもので
   あること。
  イ 第1項第1号ホの「吸気及び排気の能力」については、別途示される定期自主検査指針によって換
   気中の特定石綿の濃度の測定を実施することによる検査の実施が必要であるが、この方法によるこ
   とが困難な場合は、局所排気装置の性能が確保されている場合の測定位置における制御風速をあら
   かじめ測定により明らかにしておき、検査の場合、風速を測定し、前記風速と比較することにより
   局所排気装置の性能の有無を検査しても差し支えないこと。
  ウ 第1項第1号へ及び第2号ヘの「必要な事項」とは、ダンパーの調節、排風機の注油状態等をいう
   こと。
  エ 第1項第2号ホの「送気、吸気及び排気の能力」の検査に当たっては、別途示される告示に規定さ
   れる要件を満たしていることを確認しなければならないこと。
  オ 第1項第3号ニの「処理能力」については、除じん処理の効果を確認するための測定が必要である
   こと。
  カ 第1項第3号ホの「必要な事項」には、除じん装置の性能が低下した場合における排気量の調整等
   を含むこと。
 (4)第26条関係
  ア 本条は、定期自主検査又は点検を行った結果、異常を認めた場合は、補修その他の措置を講ずべ
   きことを規定したものであり、これらの措置が講ぜられない限り当該設備については稼働させては
   ならないものであること。
  イ 「その他の措置」とは、補修には至らない程度のものであって、当該設備の有効稼働を保持する
   ために必要な措置をいうこと。
 (5)第27条関係
   安衛則第37条の規定により、特別教育の科目の全部又は一部について十分な知識及び技能を有して
  いると認められる労働者については、当該科目についての特別教育を省略することができるが、具体
  的には次の者が含まれるものであること。
  ア 特定化学物質等作業主任者技能講習修了者(平成18年3月31日までに修了した者に限る。)及び
   石綿作業主任者
  イ 他の事業場において当該業務に関し、既に特別の教育を受けた者
  ウ 昭和63年3月30日付け基発第200号通達に基づく石綿除去現場の管理者に対する労働衛生教育を受
   けた者
 (6)第28条関係
  ア 本条は、特定石綿等の製造又は取扱いを常時行う場合に、その作業場所以外の場所に休憩室を設
   け、その休憩室について特定石綿等の粉じんによる汚染を予防するための措置を講ずべきことを規
   定したものであること。
  イ 第1項の「作業場以外の場所」には、作業場のある建家の内部の場所であって作業場所と確実に
   区画されている場所を含むこと。
 (7)第29条関係
  ア 本条は、石綿含有製品の製造、加工事業場等の特定石綿等を常時、製造し、又は取り扱う作業場
   が対象となるものであり、建築物又は工作物の解体等の作業場は該当しないものであること。
  イ 「水洗等」の「等」には、超高性能(HEPA)フィルター付きの真空掃除機が含まれること。
  ウ 「容易に掃除できる構造」には、水が流れやすいように傾斜をつけ、溝を設け、平滑にする等が
   あること。
 (8)第30条関係
  ア 「床等」の「等」には、窓枠、棚が含まれること。
  イ 「水洗する等」の「等」には、超高性能(HEPA)フィルター付きの真空掃除機を用いる方法が含ま
   れること。
 (9)第31条関係
  ア 本条は、石綿等の製造又は取扱いの作業を労働者に行わせる場合には、洗眼、洗身その他必要な
   洗浄設備等を設けるべきことを規定したものであること。
  イ 「洗身の設備」とは、シャワー、入浴設備等の体に付着した石綿等を洗うための設備をいうこと。
  ウ 「更衣設備」とは、更衣用のロッカー又は更衣室をいい、汚染を拡げないため作業用の衣服等と
   通勤用の衣服等とを区別しておくことができるものであること。
 (10)第32条関係
  ア 本条は、石綿等の運搬又は貯蔵の場合における堅固な容器又は確実な包装の使用及びこれらの容
   器、包装への必要な表示、並びに保管上の措置等について規定したものであること。
  イ 第1項の措置は、塊状であって、そのままの状態では発じんのおそれがないものについては、適
   用されない趣旨であること。
  ウ 第2項の「取扱い上の注意事項」については、石綿等の取扱いに際し健康障害を予防するため、
   特に留意すべき事項を具体的に表示する必要があること。
 (11)第34条関係
  ア 第4号については取扱いの実態に応じ、保護具の名称を具体的に掲示すること。
  イ 掲示方法については、昭和47年労働省告示第123号「有機溶剤中毒予防規則第24条第2項の規定に
   基づき、同条第1項の規定により掲示すべき事項の内容及び掲示方法を定める告示」第4号に準ずる
   等見やすいものとすることが望ましいこと。
 (12)第35条関係
  ア 本条は、石綿等を製造し、又は取り扱う作業場において、常時当該作業に従事する労働者につい
   ては、その作業の記録及び事故等による汚染の概要を記録し、これを保存させておくことにより、
   第36条の作業環境測定の結果の記録、第37条の作業環境測定結果の評価の記録及び第41条の健康診
   断の結果の記録と併せて、石綿等によるばく露状況を把握し、健康管理に資することとしたもので
   あること。
  イ 削除
  ウ 第3号の「著しく汚染される事態」とは、設備の故障等により石綿等の粉じんを多量に吸入した
   場合等があること。
  エ 第3号の「その概要」とは、ばく露期間、濃度等の汚染の程度、汚染により生じた健康障害等を
   いうこと。
  オ 削除

5 第5章 測定
 (1)第36条関係
  ア 本条は、特定石綿等の製造又は取扱いが常時行われる屋内作業場について、その作業環境中の特
   定石綿の気中濃度を定期的に測定すること、並びにその測定結果についての記録及びその保存につ
   いて規定したものであること。
  イ 第2項第4号の「測定条件」とは、使用した測定器具の種類、測定時の気温、湿度、風速及び風向、
   局所排気装置等の稼働状況、製造装置の稼働状況、作業の実施状況等測定結果に影響を与える諸条
   件をいうこと。
 (2)第38条関係
  ア 第1項の「直ちに」とは、施設、設備、作業工程又は作業方法の点検及び点検結果に基づく改善
   措置を直ちに行う趣旨であるが、改善措置については、これに要する合理的な時間については考慮
   されるものであること。
  イ 第2項の測定及び評価は、第1項の規定による措置の効果を確認するために行うものであるから、
   措置を講ずる前に行った方法と同じ方法で行うこと、すなわち作業環境測定基準及び作業環境評価
   基準に従って行うことが適当であること。
  ウ 第3項の「労働者に有効な呼吸用保護具を使用させる」のは、第1項の規定による措置を講ずるま
   での応急的なものであり、呼吸用保護具の使用をもって当該措置に代えることができる趣旨ではな
   いこと。なお、局部的に濃度の高い場所があることにより第3管理区分に区分された場所について
   は、当該場所の労働者のうち、濃度の高い位置で作業を行うものにのみ呼吸用保護具を着用させる
   こととして差し支えないこと。
  エ 第3項の「健康診断の実施その他労働者の健康の保持を図るため必要な措置」については、作業
   環境測定の評価の結果、労働者に著しいばく露があったと推定される場合等で、産業医等が必要と
   認めたときに行うべきものであること。

6 第6章 健康診断
 (1)第40条関係
  ア 第1項の「当該業務への配置替えの際」とは、その事業場において、他の業務から本条に規定す
   る受診対象業務に配置転換する直前をいうものであること。
  イ 第2項の「常時従事させたことのある労働者で、現に使用しているもの」とは、その事業場にお
   いて過去に常時従事させた労働者であってその事業場に在職している者をいい、退職者までを含む
   趣旨ではないこと。
  (2)第41条関係
  ア 「健康診断個人票(様式第2号)」の裏面の「業務の経歴」欄には、石綿に係る経歴のほか、有機
   溶剤中毒予防規則(昭和47年労働省令第36号)、鉛中毒予防規則(昭和47年労働省令37号)、四アルキ
   ル鉛中毒予防規則(昭和47年労働省令第38号)、特化則電離放射線障害防止規則(昭和47年労働省
   令第41号)及びじん肺法(昭和35年法律第30号)のそれぞれに掲げる業務に係る経歴についても該当
   があれば明記すること。
  イ 「健康診断個人票」については、様式第2号に掲げる項目が充足されていれば、これと異なる様
   式のものであっても差し支えないこと。
 (3)第42条関係
  ア 医師からの意見聴取は労働者の健康状況から緊急に法第66条の5第1項の措置を講ずべき必要があ
   る場合には、できるだけ速やかに行われる必要があること。
  イ 意見聴取は、事業者が意見を述べる医師に対し、健康診断の個人票の様式の「医師の意見欄」に
   当該意見を記載させ、これを確認することとすること。
 (4)第43条関係
  「健康診断結果報告書」は、第40条により定期的に行った健康診断の結果について、所轄労働基準監
  督署長に遅滞なく(健康診断完了後おおむね1ヶ月以内に)提出するものとすること。

7 第7章 保護具
 (1)第44条関係
   本条の「呼吸用保護具」とは、送気マスク等給気式呼吸用保護具(簡易救命器及び酸素発生式自己
   救命器を除く。)、防じんマスク並びに面体形及びフード形の電動ファン付き呼吸用保護具をいい、
   これらのうち、防じんマスク及び電動ファン付き呼吸用保護具については、国家検定に合格したも
   のであること。
 (2)第45条関係
   「有効」とは、各部の破損、脱落、弛(たる)み、湿気の付着、変形、耐用年数の超過等保護具の
  性能に支障をきたしている状態でないことをいうこと。
 (3)第46条関係
   第2項の「付着した物を除去」する方法は、衣類ブラシ、真空掃除機で取り除く方法、作業場内で
  洗濯する方法等汚染の程度に応じ適切な方法を用いること。また、汚染のひどいものは廃棄物として
  処分すること。

8 第8章 製造許可等
 (1)第47条関係
  ア 本条は、法第55条ただし書の規定により、製造等禁止石綿等を試験研究のため製造し、輸入し、
   又は使用する場合の手続について規定したものであること。
  イ 法第55条ただし書の規定による製造は、試験研究する者が直接行うべきものであり、他に委託し
   て製造することは認められないこと。ただし、輸入に当たり、輸入事務の代行を商社等が行うこと
   は差し支えないが、商社等があらかじめ製造等禁止石綿等を輸入しておき、試験研究者の要請によ
   って提供することは認められず、したがって、輸入する場合も試験研究に必要な最小限度の量であ
   ることが必要であること。
 (2)第48条関係
   第1号の「作業の性質上著しく困難である場合」とは、製造等禁止石綿等を製造するにあたって、
  その量が少量であるため、工業的な製造設備を設けることが困難であることから、製造装置の密閉化
  ができず、手動によって操作しなければならない場合をいうものであること。

9 附則
 (1)附則第1条関係
   この省令は平成17年7月1日から施行すること。
 (2)附則第2条関係
   平成17年7月1日において現に行われている建築物又は工作物の解体等の作業については、第4条、
  第5条第1項及び第27条第1項の規定は適用しないこと。
 (3)附則第3条関係
   平成17年7月1日において現に旧特化則第38条の7第2項各号に掲げる措置を講じて特定石綿等を吹き
  付ける作業に労働者を従事させている事業者は、第11条の規定にかかわらず、当該作業に労働者を従
  事させることができること。
 (4)附則第4条関係
   平成17年7月1日において現に事業者がその作業場について旧特化則第6条第1項の認定を受けている
  場合は、第12条の規定は適用しないこと。この場合において、当該認定に係る旧特化則第6条第4項及
  び第5項の規定の適用については、なお従前の例によること。
 (5)附則第5条関係
   平成17年7月1日において現に存する特定石綿等を常時、製造し、又は取り扱う作業を行う作業場の
  床であって、不浸透性の材料で造られたものについては、第29条の規定は適用しないこと。
 (6)削除
 (7)附則第7条関係
   平成17年7月1日前に旧特化則の規定によりされた処分、手続その他の行為は、石綿則の相当規定に
  よりされた処分、手続その他の行為とみなすこと。
 (8)附則第8条関係
   施行の際に現にある改正前の様式による用紙は、当分の間、加除修正等により使用することができ
  ること。
 (9)附則第9条関係
   石綿則の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例によること。
 (10)その他
   石綿則の制定に伴い、安衛則等について改正を行ったものであること。
  ア 特別管理物質に係る作業の記録及び特殊健康診断個人票については、特別管理物質を製造し、又
   は取り扱う作業に常時従事する労働者が当該作業に従事することとなった日から30年間保存するこ
   ととしていたが、これを当該記録をした日から30年間保存することとしたこと。(附則第12条関係)
  イ その他所要の改正を行ったものであること。(附則第10条から第15条まで関係)

第4 その他
 1 根拠条文及び罰則
   石綿則は、法に基づく省令であり、一部の規定を除き罰則の適用があるものである。石綿則中の各
  規定の根拠条文及び罰則は、別紙2のとおりであること。
 2 関係通達の改正
   (1)昭和46年5月24日付け基発第399号「特定化学物質等障害予防規則の施行について」関係
    同通達の一部を次のように改正する。
    IVの2の(2)中「石綿、」を削る。
    Vの15の(3)中「、素材としての石綿」を削る。
    VIの4の(3)中「、石綿」を削る。
   (2)昭和50年10月1日付け基発第573号「特定化学物質等障害予防規則の一部を改正する省令の施行
    について」関係
    同通達の一部を次のように改正する。
    IIの24及び25を次のように改める。
    24及び25 削除
    IIの34の(5)のチを次のように改める。
    チ 削除
   (3)昭和58年7月18日付け基発第383号「特定化学物質等障害予防規則第6条第1項の規定による認定
    の基準及び同規則等の規定により設ける局所排気装置の性能の判定要領について」関係
    同通達の一部を次のように改正する。
    1の(1)のロの表中
      
    
表
      
    
表
に改める。
   (4)平成7年2月20日付け基発第76号「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令及び労働安全衛     生規則及び特定化学物質等障害予防規則の一部を改正する省令の施行について」関係     同通達の一部を次のように改正する。     第3のIIの3から8を次のように改める。     3から8まで 削除