労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令及び簡易ボイラー等構造規格の一部を改正する件の施行について

基発0218第2号
令和4年2月18日
都道府県労働局長 殿
厚生労働省労働基準局長

労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令及び簡易ボイラー等構造規格の一部を改正する件の施行について

 労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令(令和4年政令第43号。以下「改正政令」という。)及び簡
易ボイラー等構造規格の一部を改正する件(令和4年厚生労働省告示第41号。以下「改正告示」という。)
が令和4年2月18日に公布され、令和4年3月1日から施行されることとなった。その改正の趣旨、内容等に
ついては、下記のとおりであるので、その施行に遺漏なきを期されたい。
 併せて、本通達については、別添のとおり、別紙関係事業者等団体の長あて傘下会員事業者への周知等
を依頼したので了知されたい。
第1 労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令
 1 改正の趣旨
   ボイラーについては、その危険性の程度に応じ大きく3区分の規制が定められており、危険性が高
  く規制が厳しいものから順に、労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号。以下「令」という。)
  第1条第3号の「ボイラー」(同条第4号の「小型ボイラー」を除く。)、同条第4号の「小型ボイラー」、
  第13条第3項第25号のボイラー(以下「簡易ボイラー」という。)とされている。
   今般、規制改革実施計画(令和3年6月18日閣議決定)において、バイオマス燃料を活用したバイオマ
  スボイラー普及のため、バイオマスボイラーのうち、バイオマス温水ボイラーに係る規制区分を見直
  すこととされ、これを受け実施された専門家による検討の結果、一定の規格以下の木質バイオマス温
  水ボイラーについて、簡易ボイラーの区分の規制を適用することが妥当と評価された。
   これに基づき、一定の規格以下の木質バイオマス温水ボイラーを令第1条第3号の「ボイラー」から
  除外し、簡易ボイラーとする等、所要の改正を行ったものである。

 2 改正政令関係
  (1) 令第1条第3号関係
    同号の「ボイラー」から除外されるものとして、以下のものを追加したこと。
    ① ゲージ圧力0.1MPa以下の木質バイオマス温水ボイラーであって、伝熱面積が16m2以下のもの
    ② ゲージ圧力0.6MPa以下で、かつ、100℃以下で使用する木質バイオマス温水ボイラーで、伝
     熱面積が32m2以下のもの
    これにより、①及び②の木質バイオマス温水ボイラーは、(従前から簡易ボイラーであったもの
   を除き)新たに簡易ボイラーに区分されること。
    なお、木質バイオマス温水ボイラーとは、バイオマス(動植物に由来する有機物で、エネルギー
   源として利用することができるもの(原油、石油ガス、天然ガス及び石炭並びにこれから製造され
   る製品を除く。))のうち木竹に由来するものを燃料とするボイラーをいうこと。ただし、草花や稲
   わら等植物に由来する固体燃料を燃料とするボイラーも含むこと。
  (2) 令第13条第3項第25号関係
    令第13条第3項第25号に掲げられるボイラーは、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「法」
   という。)第42条に基づき、譲渡、貸与又は設置に当たって、厚生労働大臣が定める規格又は安全
   装置の具備が求められているところ、令第1条第3号の改正に伴い新たに簡易ボイラーとなった上記
   (1)の①及び②の木質バイオマス温水ボイラーについて、新たに令第13条第3項第25号に追加したこ
   と。
  (3) 経過措置(改正政令附則第2条関係)
    上記(1)の①及び②の木質バイオマス温水ボイラーのうち、改正政令による改正前の令(以下「旧
   令」という。)第1条第3号の「ボイラー」に該当するもの(旧令第1条第4号の「小型ボイラー」に該
   当するものを除く。)であって、改正告示による改正後の簡易ボイラー等構造規格(昭和50年労働省
   告示第65号。以下「新規格」という。)に適合しないもの(施行日において現に存し、又は製造に着
   手されているものに限る。)は、施行の日から1年を経過する日までの間、法第42条の譲渡制限等が
   適用されない。この場合、これらについては「ボイラー」とみなし、ボイラー構造規格(平成15年
   厚生労働省告示第197号)が適用されるほか、製造時等検査、取扱いの業務に係る就業制限その他
   「ボイラー」としての各規定が適用されること。
    また、上記(1)の①及び②の木質バイオマス温水ボイラーのうち、旧令第1条第4号の「小型ボイ
   ラー」に該当するものであって、新規格に適合しないもの(施行日において現に存し、又は製造に
   着手されているものに限る。)は、施行の日から1年を経過する日までの間、簡易ボイラーとしての
   法第42条の譲渡制限等は適用されない。この場合、これらについては「小型ボイラー」とみなし、
   小型ボイラー及び小型圧力容器構造規格(昭和50年労働省告示第84号)が適用されるほか、個別検定、
   取扱い業務に係る特別教育その他「小型ボイラー」としての各規定が適用されること。
    なお、上記経過措置の対象となるボイラーについて、施行の日から1年を経過する日までの間で
   あって新規格を具備するに至った時点、又は施行の日から1年を経過した時点で、上記経過措置の
   適用が無くなり、「簡易ボイラー」に該当することになること。
    当該経過措置の対象となるボイラーが、施行の日から1年を経過した日後も新規格を具備しない
   場合は、法第42条の規定により、譲渡等が制限されること。
    おって、旧令第1条第3号の「ボイラー」(同条第4号の「小型ボイラー」を除く。)であった木質
   バイオマス温水ボイラーが「簡易ボイラー」に該当するに至ったときは、ボイラー検査証を所轄労
   働基準監督署長に返還しなければならないこと。
  (4) その他
    温水ボイラーのうち、大気開放型であって、その内部の圧力が0.05MPaを超えることのないもの
   にあっては、いずれの区分のボイラーにも該当しないこと。

第2 簡易ボイラー等構造規格の一部を改正する件
 1 改正の趣旨
   の改正に伴い、上記第1の2の(1)の①及び②の木質バイオマス温水ボイラーが具備すべき規格を、
  簡易ボイラー等構造規格に追加する等の改正を行ったものである。
 2 改正告示関係
  (1) 第1条第3号関係
    上記第1の2の(1)の②の木質バイオマス温水ボイラーのうち、最高圧力が0.1MPaを超えるもの(新
   令第1条第3号ヘ及びトに掲げる貫流ボイラーを除く。)は、最高圧力の1.3倍の圧力又は最高圧力に
   0.1MPaを加えた圧力のいずれか大きい値の圧力により水圧試験を行って異状のないものでなければ
   ならないことを規定したものであること。
  (2) 第4条の2関係
    上記第1の2の(1)の②の木質バイオマス温水ボイラーは、100℃以下で使用されることを条件とし
   ていることから、当該条件を担保するために自動温度制御装置等を備えることを規定したものであ
   ること。
    「水温を摂氏百度以下とする自動温度制御装置」には、ボイラー本体内に温度計を設けるもの、
   温水の出口付近に温度計を設けるもの等があること。「水温が摂氏百度を超えた場合に直ちに摂氏
   百度以下とする冷却装置」には、冷却水供給用の機械式開閉弁を備えた熱交換器を装備するもの、
   ボイラー還り管に冷却水を直接供給するもの等があること。
  (3) 第4条の3関係
    「手動で燃料の供給を遮断することができるもの」としては、手動で燃料を供給する薪ボイラー
   等があること。
    「燃焼の状態等に係る異常」には、異常消火、炉内の温度の異常な上昇のほか、不着火、不完全
   燃焼が含まれること。
    「燃焼安全装置」には、燃料フィーダの停止又は燃料供給系統のバルブの閉止等により燃料の供
   給を遮断するとともに、燃料供給系統の異常温度上昇時に消火水を散水するもの等があること。
    「手動による操作をしない限り燃料の供給を再開できないもの」とは、少なくとも、復帰に係る
   一連の手順が手動で開始されるものをいい、燃料遮断に至った異常状態のリセットが手動で行われ、
   その後の点火に至るシーケンスが自動で進むものであることを妨げないこと。
    「手動による操作」とは、パソコン上での操作も含め、人を介して燃料の供給を再開する操作を
   いうこと。
  (4) 第6条関係
    上記第1の2の(1)の①の木質バイオマス温水ボイラー(ゲージ圧力0.1MPa以下で、かつ、伝熱面
   積4m2以下のものを除く。)は、燃料の種類を記載した銘板が取り付けられているものでなければな
   らないこと。
    上記第1の2の(1)の②の木質バイオマス温水ボイラー(新令第1条第3号ニに掲げる温水ボイラー並
   びに同号ヘ及びホに掲げる貫流ボイラーを除く。)は、燃料の種類及び最高使用温度を記載した銘
   板が取り付けられているものでなければならないこと。

第3 その他
  上記第1の2の(1)の②の木質バイオマス温水ボイラーを設置し、使用する事業者にあっては、当該木
 質バイオマス温水ボイラーの規模の大きさに鑑み、ボイラー及び圧力容器安全規則(昭和47年労働省令
 第33号。以下「ボイラー則」という。)第94条に準じ、当該ボイラーについて、その使用を開始した後、
 1年以内ごとに1回、定期に(1年を超える期間使用しないものの使用を再び開始する際に)自主検査を実
 施するとともに、その結果を記録し、これを3年間保存することが望ましいこと。
  また、当該事業者が当該ボイラーの取扱いの業務に労働者をつかせるときは、ボイラー則第92条に準
 じ、当該労働者に対し、当該業務に関する安全のための特別の教育を行うことが望ましいこと。


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