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別添1

労働安全衛生法第28条第3項の規定に基づき厚生労働大臣が定める化学物質による健康障害を防止するための指針(平成24年10月10日 健康障害を防止するための指針公示第23号により廃止)

平成23年10月28日健康障害を防止するための指針公示第21号


 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第28条第3項の規定に基づき、厚生労働大臣が定める化学物質に
よる労働者の健康障害を防止するための指針を次のとおり公表する。


1  趣旨
  この指針は、労働安全衛生法第28条第3項の規定に基づき厚生労働大臣が定める化学物質(以下「対象
 物質」という。)又は対象物質を含有する物(対象物質の含有量が重量の1パーセント以下のものを除く。
 以下「対象物質等」という。)を製造し、又は取り扱う業務に関し、対象物質による労働者の健康障害の
 防止に資するため、その製造、取扱い等に際し、事業者が講ずべき措置について定めたものである。

2  対象物質(CAS登録番号)
  この指針において、対象物質(CAS登録番号)は、アントラセン(120-12-7)、2,3−エポキシ−1−
 プロパノール(556-52-5)、塩化アリル(107-05-1)、オルト−フェニレンジアミン及びその塩(95-54-5
 ほか)、キノリン及びその塩(91-22-5ほか)、1−クロロ−2−ニトロベンゼン(88-73-3)、クロロホル
 ム(67-66-3)、酢酸ビニル(108-05-4)、四塩化炭素(56-23-5)、1,4−ジオキサン(123-91-1)、1,
 2−ジクロルエタン(別名二塩化エチレン)(107-06-2)、1,4−ジクロロ−2−ニトロベンゼン(89-61
 -2)、2,4−ジクロロ−1−ニトロベンゼン(611-06-3)、1,2−ジクロロプロパン(78-87-5)、ジク
 ロロメタン(75-09-2)、N,N−ジメチルホルムアミド(68-12-1)、テトラクロルエチレン(別名パーク
 ロルエチレン)(127-18-4)、1,1,1−トリクロルエタン(71-55-6)、ノルマル−ブチル−2,3−エ
 ポキシプロピルエーテル(2426-08-6)、パラ−ジクロルベンゼン(106-46-7)、パラ−ニトロアニソール
 (100-17-4)、パラ−ニトロクロルベンゼン(100-00-5)、ヒドラジン及びその塩並びにヒドラジン一水和
 物(302-01-2ほか)、ビフェニル(92-52-4)、2−ブテナール(123-73-9)並びに1−ブロモ−3−クロロ
 プロパン(109-70-6)をいう。
  なお、CAS登録番号とは、米国化学会の一部門であるCAS(Chemical Abstracts Service)が運営・管
 理する化学物質登録システムから付与される固有の数値識別番号をいい、オルト−フェニレンジアミン
 及びその塩、キノリン及びその塩並びにヒドラジン及びその塩については、その代表的なもののみを例
 示している。

3 対象物質へのばく露を低減するための措置について
 (1) クロロホルム、四塩化炭素、1,4−ジオキサン、1,2−ジクロルエタン、ジクロロメタン、N,
  N−ジメチルホルムアミド、テトラクロルエチレン及び1,1,1−トリクロルエタン又はこれらをそ
  の重量の5パーセントを超えて含有するもの(以下「クロロホルム等」という。)を製造し、又は取り扱
  う業務のうち、有機溶剤中毒予防規則(昭和47年労働省令第36号。以下「有機則」という。)第1条第1項
  第6号に規定する有機溶剤業務については、労働者のクロロホルム等へのばく露の低減を図るため、設
  備の密閉化、局所排気装置の設置等すでに有機則において定める措置のほか、次の措置を講ずること。
  ア 事業場におけるクロロホルム等の製造量、取扱量、作業の頻度、作業時間、作業の態様等を勘案し、
   必要に応じ、次に掲げる作業環境管理に係る措置、作業管理に係る措置その他必要な措置を講ずるこ
   と。
   (ア) 作業環境管理
    [1] 使用条件等の変更
    [2] 作業工程の改善
   (イ) 作業管理
    [1] 労働者がクロロホルム等にばく露しないような作業位置、作業姿勢又は作業方法の選択
    [2] 呼吸用保護具、不浸透性の保護衣、保護手袋等の保護具の使用
    [3] クロロホルム等にばく露される時間の短縮
  イ クロロホルム等を作業場外へ排出する場合は、当該物質を含有する排気、排液等による事業場の汚
   染の防止を図ること。
  ウ 保護具については、同時に就業する労働者の人数分以上を備え付け、常時有効かつ清潔に保持する
   こと。また、労働者に送気マスクを使用させたときは、清浄な空気の取り入れが可能となるよう吸気
   口の位置を選定し、当該労働者が有害な空気を吸入しないように措置すること。
  エ 次の事項に係る基準を定め、これに基づき作業させること。
   (ア) 設備、装置等の操作、調整及び点検
   (イ) 異常な事態が発生した場合における応急の措置
   (ウ) 保護具の使用
 (2) パラ−ニトロクロルベンゼン又はパラ−ニトロクロルベンゼンをその重量の5パーセントを超えて含
  有するもの(以下「パラ−ニトロクロルベンゼン等」という。)を製造し、又は取り扱う業務については、
  労働者のパラ−ニトロクロルベンゼンへのばく露の低減を図るため、設備の密閉化、局所排気装置の設
  置等すでに特定化学物質障害予防規則(昭和47年労働省令第39号。以下「特化則」という。)において定
  める措置のほか、次の措置を講ずること。
  ア 事業場におけるパラ−ニトロクロルベンゼン等の製造量、取扱量、作業の頻度、作業時間、作業の
   態様等を勘案し、必要に応じ、次に掲げる作業環境管理に係る措置、作業管理に係る措置その他必要
   な措置を講ずること。
   (ア) 作業環境管理
    [1] 使用条件等の変更
    [2] 作業工程の改善
   (イ) 作業管理
    [1] 労働者がパラ−ニトロクロルベンゼンにばく露しないような作業位置、作業姿勢又は作業方
     法の選択
    [2] 呼吸用保護具、不浸透性の保護衣、保護手袋等の保護具の使用
    [3] パラ−ニトロクロルベンゼンにばく露される時間の短縮
  イ パラ−ニトロクロルベンゼン等を作業場外へ排出する場合は、当該物質を含有する排気、排液等に
   よる事業場の汚染の防止を図ること。
  ウ 保護具については、同時に就業する労働者の人数分以上を備え付け、常時有効かつ清潔に保持する
   こと。また、労働者に送気マスクを使用させたときは、清浄な空気の取り入れが可能となるよう吸気
   口の位置を選定し、当該労働者が有害な空気を吸入しないように措置すること。
  エ 次の事項に係る基準を定め、これに基づき作業させること。
   (ア) 設備、装置等の操作、調整及び点検
   (イ) 異常な事態が発生した場合における応急の措置
   (ウ) 保護具の使用
 (3) 対象物質等(クロロホルム等及びパラ−ニトロクロルベンゼン等を除く。以下(3)及び4において同じ。)
  を製造し、又は取り扱う業務については、労働者の対象物質へのばく露の低減を図るため、次の措置を
  講ずること。
  ア 事業場における対象物質等の製造量、取扱量、作業の頻度、作業時間、作業の態様等を勘案し、必
   要に応じ、危険性又は有害性等の調査等を実施し、その結果に基づいて、次に掲げる作業環境管理に
   係る措置、作業管理に係る措置その他必要な措置を講ずること。
   (ア) 作業環境管理
    [1] 使用条件等の変更
    [2] 作業工程の改善
    [3] 設備の密閉化
    [4] 局所排気装置等の設置
   (イ) 作業管理
    [1] 作業を指揮する者の選任
    [2] 労働者が対象物質にばく露しないような作業位置、作業姿勢又は作業方法の選択
    [3] 呼吸用保護具、不浸透性の保護衣、保護手袋等の保護具の使用
    [4] 対象物質にばく露される時間の短縮
  イ 上記アによりばく露を低減するための装置等の設置等を行った場合、次により当該装置等の管理を
   行うこと。
   (ア) 局所排気装置等については、作業が行われている間、適正に稼働させること。
   (イ) 局所排気装置等については、定期的に保守点検を行うこと。
   (ウ) 対象物質等を作業場外へ排出する場合は、当該物質を含有する排気、排液等による事業場の汚
    染の防止を図ること。
  ウ 保護具については、同時に就業する労働者の人数分以上を備え付け、常時有効かつ清潔に保持する
   こと。また、労働者に送気マスクを使用させたときは、清浄な空気の取り入れが可能となるよう吸気
   口の位置を選定し、当該労働者が有害な空気を吸入しないように措置すること。
  エ 次の事項に係る基準を定め、これに基づき作業させること。
   (ア) 設備、装置等の操作、調整及び点検
   (イ) 異常な事態が発生した場合における応急の措置
   (ウ) 保護具の使用

4 作業環境測定について
 (1) クロロホルム等を製造し、又は取り扱う業務のうち、有機則第1条第1項第6号に規定する有機溶剤業
  務については有機則に定めるところにより、パラ−ニトロクロルベンゼン等を製造し、又は取り扱う業
  務については特化則に定めるところにより、作業環境測定及び測定の結果の評価を行うこととするほか、
  作業環境測定の結果及び結果の評価の記録を30年間保存するよう努めること。
 (2) 対象物質等を製造し、又は取り扱う業務については、次の措置を講ずること。
  ア 屋内作業場について、対象物質の空気中における濃度を定期的に測定すること。なお、測定は作業
   環境測定士が実施することが望ましい。また、測定は6月以内ごとに1回実施するよう努めること。
  イ 作業環境測定(アントラセン、キノリン及び1,4−ジクロロ−2−ニトロベンゼンを製造し、又
   は取り扱う業務に係る作業環境測定を除く。)を行ったときは、当該測定結果の評価を行い、その結
   果に基づき施設、設備、作業工程及び作業方法等の点検を行うこと。これらの点検結果に基づき、必
   要に応じて使用条件等の変更、作業工程の改善、作業方法の改善その他作業環境改善のための措置を
   講ずるとともに、呼吸用保護具の着用その他労働者の健康障害を予防するため必要な措置を講ずるこ
   と。
  ウ 作業環境測定の結果及び結果の評価の記録(アントラセン、キノリン及び1,4−ジクロロ−2−
   ニトロベンゼンを製造し、又は取り扱う業務については、作業環境測定の結果の記録に限る。)を30
   年間保存するよう努めること。

5 労働衛生教育について
 (1) 対象物質等を製造し、又は取り扱う業務に従事している労働者に対しては速やかに、また、当該業務
  に従事させることとなった労働者に対しては従事させる前に、次の事項について労働衛生教育を行うこ
  と。
  ア 対象物質の性状及び有害性
  イ 対象物質等を使用する業務
  ウ 対象物質による健康障害、その予防方法及び応急措置
  エ 局所排気装置その他の対象物質へのばく露を低減するための設備及びそれらの保守、点検の方法
  オ 作業環境の状態の把握
  カ 保護具の種類、性能、使用方法及び保守管理
  キ 関係法令
 (2) 上記の事項に係る労働衛生教育の時間は総じて4.5時間以上とすること。

6 労働者の把握について
  対象物質等を製造し、又は取り扱う業務に常時従事する労働者について、1月を超えない期間ごとに次
 の事項を記録すること。
 (1) 労働者の氏名
 (2) 従事した業務の概要及び当該業務に従事した期間
 (3) 対象物質により著しく汚染される事態が生じたときは、その概要及び講じた応急措置の概要
  なお、上記の事項の記録は、当該記録を行った日から30年間保存するよう努めること。

7 危険有害性等の表示及び譲渡提供時の文書交付について
 (1) 対象物質等のうち、労働安全衛生法第57条及び第57条の2の規定の対象となるもの(以下「表示・通
  知対象物」という。)を譲渡又は提供する場合は、同条の規定に基づき、容器又は包装に名称等の表示
  を行うとともに、相手方に化学物質等安全データシート(以下「MSDS」という。)の交付等により名称等
  を通知すること。また、MSDSの交付等により表示・通知対象物の名称等を通知された場合は、同法第
  101条第2項の規定に基づき、通知された事項を作業場に掲示する等により労働者に周知すること。
  さらに、労働者に表示・通知対象物を取り扱わせる場合は、「化学物質等の危険有害性等の表示に関す
  る指針(平成4年労働省告示第60号)」(以下「表示指針」という。)第6条第2項の規定に基づき、容器又
  は包装に名称等の表示を行うこと。
 (2) 対象物質等のうち、労働安全衛生法第57条の2の規定の対象となるもの(以下「通知対象物」という。)
  を譲渡又は提供する場合は、同条の規定に基づき、相手方にMSDSの交付等により名称等を通知すること。
  また、MSDSの交付等により通知対象物の名称等を通知された場合は、同法第101条第2項の規定に基づき、
  通知された事項を作業場に掲示する等により労働者に周知すること。さらに、通知対象物を譲渡又は提
  供する場合は、表示指針第3条の規定に基づき、容器又は包装に名称等の表示を行うこと。また、労働
  者に通知対象物を取り扱わせる場合は、表示指針第6条第2項の規定に基づき、容器又は包装に名称等の
  表示を行うこと。
 (3) 対象物質等のうち、上記(1)及び(2)以外のもの(以下「表示・通知非対象物」という。)を譲渡又は
  提供する場合は、表示指針第2条及び第3条の規定に基づき、相手方にMSDSの交付等により名称等を通
  知するとともに、容器又は包装に名称等の表示を行うこと。また、労働者に表示・通知非対象物を取
  り扱わせる場合は、表示指針第6条第1項及び第2項の規定に基づき、容器又は包装に名称等を表示する
  とともに、MSDSを作成すること。さらに、表示・通知非対象物を労働者に取り扱わせる場合は、表示
  指針第7条第1項の規定に基づき、MSDSを作業場に掲示する等により労働者に周知すること。

8 既存の指針の廃止について
  本指針の公表に伴い、下記の指針を廃止する。
 (1) 四塩化炭素による健康障害を防止するための指針(平成3年8月26日付け健康障害を防止するための
  指針公示第1号)
 (2) 1,4−ジオキサンによる健康障害を防止するための指針(平成4年12月21日付け健康障害を防止す
  るための指針公示第2号)
 (3) 1,2−ジクロルエタン(平成5年6月25日付け健康障害を防止するための指針公示第3号)
 (4) パラ−ニトロクロルベンゼン(平成6年3月25日付け健康障害を防止するための指針公示第4号)
 (5) クロロホルム(平成7年9月22日付け健康障害を防止するための指針公示第5号)
 (6) テトラクロルエチレン(別名パークロルエチレン)(平成7年9月22日付け健康障害を防止するための
  指針公示第6号)
 (7) 酢酸ビニル(平成9年2月6日健康障害を防止するための指針公示第7号)
 (8) 1,1,1−トリクロルエタン(平成9年2月6日付け健康障害を防止するための指針公示第8号)
 (9) パラ−ジクロルベンゼン(平成9年2月6日付け健康障害を防止するための指針公示第9号)
 (10) ビフェニル(平成9年2月6日付け健康障害を防止するための指針公示第10号)
 (11) アントラセン(平成14年1月21日付け健康障害を防止するための指針公示第11号)
 (12) ジクロルメタン(平成14年1月21日付け健康障害を防止するための指針公示第12号)
 (13) N,N−ジメチルホルムアミド(平成17年6月14日付け健康障害を防止するための指針公示第14号)
 (14) 2,3−エポキシ−1−プロパノール(平成18年3月31日付け健康障害を防止するための指針公示第
  16号)
 (15) キノリン(平成18年3月31日付け健康障害を防止するための指針公示第17号)
 (16) 1,4−ジクロロ−2−ニトロベンゼン(平成18年3月31日付け健康障害を防止するための指針公示
  第18号)
 (17) ヒドラジン及びその塩並びにヒドラジン一水和物による健康障害を防止するための指針(平成18年
  3月31日付け健康障害を防止するための指針公示第19号)
 (18) 2−ブテナール(平成18年3月31日付け健康障害を防止するための指針公示第20号)