(別紙)
基発0329第9号
平成24年3月29日
(別添の機械を製造する関係団体の長)
(別添の機械を製造する関係団体の長) 殿
厚生労働省労働基準局長

労働安全衛生規則の一部を改正する省令及び「機械譲渡者等が行う
機械に関する危険性等の通知の促進に 関する指針」について

 労働基準行政の推進につきましては、日頃より格別のご協力を賜り厚く御礼申し上げます。
 さて、機械による労働災害は、休業4日以上の災害全体の約4分の1を占めており、死亡災害や身体に障
害を残す重篤な災害も少なくないため、依然として労働災害防止上の重要な課題となっています。
 労働安全衛生法第28条の2第1項の規定に基づく事業者による危険性又は有害性等の調査等を促進するこ
とにより機械による労働災害を防止するため、機械に関する危険性等の通知の促進を図ることとしたとこ
ろですが、それに関する労働安全衛生規則の一部を改正する省令(平成24年厚生労働省令第9号。以下「一
部改正省令」という。)が平成24年1月27日に公布され、同年4月1日から施行されるとともに、一部改正省
令よる改正後の労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。以下「則」という。)の規定に基づき「機械
譲渡者等が行う機械に関する危険性等の通知の促進に関する指針」(平成24年厚生労働省告示第132号。以
下「指針」という。)が平成24年3月16日に告示され、同年4月1日より適用されます。
 つきましては、一部改正省令及び指針の趣旨等は下記のとおりですので、機械による労働災害の一層の
防止を図るため、貴協会におかれましても、傘下の関係事業者に対し、本改正省令及び指針の周知・普及
について、特段の御配慮を賜りますようお願いいたします。
T 一部改正省令関係(一部改正省令による改正後の則第24条の13関係)
第1 改正の趣旨
   機械による労働災害を防止するために、機械の設計、製造、改造又は輸入を行う者は平成19年7月31
  日付け基発第0731001号「機械の包括的な安全基準に関する指針」(以下「機械包括安全指針」という。)
  により機械の製造段階において、機械の危険性等の調査及びその結果に基づく保護方策を行うとともに、
  機械を譲渡又は貸与される者に対し機械の使用上の情報を提供するよう努めるべきことを周知してきた
  が、本条は、機械に関する危険性等の通知を機械譲渡者等の努力義務とするとともに、その通知を促進
  するために厚生労働大臣は必要な指針を公表できることとしたものであること。

第2 細部事項
 1 機械に関する危険性等の通知(則第24条の13関係)
  (1) 本条第1項第2号から第5号の事項は、機械包括安全指針に基づき機械の危険性等の調査を実施し、
   保護方策を講じた後に残る残留リスク情報及びその他の必要な情報に関するものであること。
  (2) 機械単独ではなく、複数の機械が一つの機械システムとして使用される場合には、当該機械システ
   ムの取りまとめを行う機械譲渡者等は、個々の機械の危険性等の情報を入手し、機械を組み合わせる
   ことにより新たに出現する危険性等に対して調査し、その結果に基づく保護方策を実施した上で、残
   留リスク情報等について通知する必要があること。
  (3) 中古の機械について、それまで機械を使用していた者が機械を改造している場合は、機械譲渡者等
   はその内容も調査し、通知する必要があること。
  (4) 本条第1項第5号の「その他参考となる事項」には、次の事項が含まれること。
   [1] 保護方策が必要となる機械の運用段階
   [2] 作業に必要な資格・教育(ただし、必要な場合に限る。)
   [3] 機械の使用者が実施すべき保護方策
   [4] 取扱説明書の参照部分
   
U 指針関係
第1 指針の趣旨
   本指針は、一部改正省令による改正後の則第24条の13第2項の規定に基づき、機械譲渡者等が行う機
  械の譲渡又は貸与を受ける相手方事業者への機械の危険性等の通知を促進するために必要な、通知の方
  法及び留意事項を示したものであること。

第2 細部事項
1 第2条関係
 (1) 本指針における「機械」は、機械包括安全指針の第1の3の(1)の「機械」の定義によること。また、
  「一般消費者の生活の用に供するもの」には、例えば、事業場で使用される家庭用電気機械器具があ
  ること。
 (2) 第2項の本指針の対象とする作業の範囲は、譲渡又は貸与された機械を使用する事業者が行う全ての
  作業をいい、当該機械の製造者が実施する作業は対象としないこと。また、「保守等」の「等」には、
  機械を使用する事業者が機械の設置、解体の作業を行う場合は、これが含まれること。
2 第3条関係
 (1) 第1項第1号及び第2号に関する知識は、機械包括安全指針の第2に示される「機械の製造等を行う者
  の実施事項」に関する知識が該当すること。
 (2) 第1項により、機械譲渡者等が自ら機械に関する危険性等の通知の作成を行うに当たっては、当該機
  械の設計、製造及び取扱説明書を作成する部署等が連携し、通知の作成のための組織的な体制を構築す
  ること。
 (3) 第2項第1号の残留リスクマップについては、次の事項に留意するとともに別添1の様式例を参考とす
  ること。
  [1] 機械の全体図が示されていること。
  [2] 機械に関する危険性等の通知の作成を行う者が想定した全ての残留リスクの情報が[1]の全体図に
   記載されていること。
  [3] 残留リスク一覧に記載する各情報と関連付ける記号又は番号が[1]の全体図に記載されていること。
  [4] 機械上の箇所が特定されない残留リスクについては、全体図近傍に別枠を設けて記載すること。
  [5] 機械を使用する事業者が保護方策を講じない場合に発生しうるリスク(危険性又は有害性によって
   生ずるおそれのある負傷又は疾病の重篤度及び発生する可能性の度合)の概要(危険、警告、注意等の
   分類)については、本文書のみで容易に認識できるようにすることが望ましいこと。この場合、分類
   の定義について冒頭等に記載すること。
 (4) 第2項第2号の残留リスク一覧については、次の事項に留意するとともに別添2の様式例を参考とする
  こと。
  [1] 機械に関する危険性等の通知の作成を行う者が想定した全ての残留リスクの情報と機械を使用する
   事業者が実施すべき全ての保護方策の情報が記載されていること。
  [2] 次の事項が一覧性のある表等にまとめられていること。なお、次の項目の順番は任意であるが、機
   械を使用する事業者が理解しやすいよう配慮すること。
   ア 残留リスクマップに記載された機械の全体図の中で、保護方策が必要となる箇所を特定する記号
    又は番号
   イ 保護方策が必要となる機械の運用段階及び作業内容
   ウ 機械を使用する事業者が保護方策を実施しない場合のリスク及び危害(負傷又は疾病)の内容
   エ 作業に必要な資格・教育(必要な場合に限る。)
   オ 機械を使用する事業者が実施すべき保護方策
   カ 取扱説明書の参照部分
 (5) 第3項について、残留リスクマップの中に残留リスク一覧の内容を記載する場合は、別添3の様式例
  を参考とすること。この場合、残留リスク一覧を別途通知する必要はないこと。
 (6) 残留リスクマップ及び残留リスク一覧は、原則として取扱説明書の冒頭等、機械を使用する事業者
  の認識しやすい箇所に記載すること。また、機械を使用する事業者が活用しやすいようにする方法と
  して、取扱説明書内に記載するほか、当該取扱説明書とは別に文書や電子データにより提供すること
  等があること。
 (7) 第4項の機械に関する危険性等の通知の時期については、機械を使用する事業者が、労働安全衛生法
  第28条の2第1項の規定による機械に係る危険性等の調査を実施するのに支障のないように、十分前もっ
  て行うことが望ましいこと。
 (8) 第5項第1号について、機械譲渡者等は、通知の内容について、機械を使用する事業場における安全
  衛生管理に関する責任部署に直接説明することが望ましいこと。
 (9) 第5項第2号の記録の保存について、その保存期間は機械の耐用年数等を考慮の上、決定すること。
3 第4条関係
   本条において第3条第2項の通知をしたこととみなされる相手方事業者は、譲渡又は貸与された機械の
  改造を行わず、又は当該機械が通知内容と異なる改造がなされていない場合に当該機械を別の相手方事
  業者に譲渡又は貸与する者が該当すること。なお、譲渡又は貸与された機械に改造を行った後、又は当
  該機械が通知の内容と異なる改造がなされている場合に当該機械を別の相手方事業者に譲渡又は貸与す
  るときには、第3条第1項の機械譲渡者等が自ら機械に関する危険性等の通知の作成を行う者になるもの
  であること。

第3 その他の配慮すべき事項
 1 追加的な情報の提供について
   機械を使用する事業者が労働安全衛生法第28条の2第1項の規定による危険性等の調査を実施するた
  めに必要な場合は、機械の製造者等は、則第24条の13第1項に掲げる事項以外の事項であっても、次の
  事項に配慮しつつ、機械を使用する事業者との協議により追加的な情報を提供することが望ましいこ
  と。
 (1) 機械の設計・製造段階において、本質的安全設計方策が施された危険源の情報については、機械を
  使用する事業者等が改造を行う際の危険性等の調査等に必要な場合があることから、その要求により
  追加的な情報として提供することが適当であること。また、機械の製造者等が残留リスクと判断した
  根拠についても、機械を使用する事業者等がその判断の適否を確認する必要があれば、同様の要求に
  より追加的な情報として提供することが適当であること。
 (2) 機械を使用する事業者にとって必要な情報が、機械の製造者等の企業秘密に係る情報である場合や
  機械の製造者等での負担が過大となる場合には、適切な代償や守秘義務を講じる等、当事者間の契約
  等に基づき提供することが適当であること。
 2 機械の使用者から当該機械の製造者に対する機械災害情報の提供の促進について
   機械を使用する事業場において発生した機械による災害の情報は、当該機械の製造者による機械の
  改善に役立つものであるため、機械の製造者においては、機械を使用する事業者に対して機械の災害
  情報の提供を求めることが望ましいこと。
   また、機械を使用する事業者から機械の製造者に対する機械災害情報の積極的な提供が、機械の製
  造者による機械の改善に不可欠なものであるため、機械を使用する事業者は、機械災害が発生し、再
  発防止対策を検討する場合には、必要に応じ当該機械の製造者に対して当該災害情報の提供を行うこと。
 

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