別添
基安労発0905第2号
平成25年9月5日
別紙の関係団体の長 殿
厚生労働省労働基準局
安全衛生部労働衛生課長

今夏の職場における熱中症予防対策の徹底について(続報)

 今夏の職場における熱中症の予防については、平成21年6月19日付基発第0619001号「職場における熱
中症の予防について」を基本対策とし、平成25年5月21日付け基安発0521第1号「平成25年の職場での熱
中症予防対策の重点的な実施について」を重点対策として推進しているところですが、気象庁の発表によ
ると、本年8月の天候は、12日に高知県四万十市江川崎で日最高気温を更新するなど、全国的に高温とな
りました。
 このため、8月末時点でみても、職場における熱中症を原因とした死亡災害が多発している状況ですが、
9月以降も気象庁が発表している8月31日から9月30日までの1か月予報では、暑い(平均気温が高い)確率
が全国各地で 40%以上と予報されており、引き続き、熱中症による労働災害が多発することが懸念され
ます(http://www.jma.go.jp/jp/longfcst/)。
 この様な状況を踏まえ、9月以降の熱中症による労働災害の発生を防止するため、上記の基本対策及び
重点対策に基づく熱中症予防対策について、より一層の取組を行っていただきますとともに、会員事業場
への周知等について、特段のご理解とご協力をお願いいたします。
 なお、本年8月末時点の職場における熱中症による死亡災害の状況等は下記のとおりです。
1 本年(平成25年)の職場における熱中症による死亡者数(速報値)は、8月末時点で29名に達し、記録的
 猛暑であった平成22年に準ずる状況です。
 (1) 業種別内訳
  建設業、製造業 各10名
  清掃業、警備業 各2名
  運輸交通業、陸上貨物取扱業、農業、林業、畜産業 各1名

 (2) 月旬別内訳
   5月中旬 1名、6月上旬 2名
   7月上旬 7名、7月中旬 7名、7月下旬 3名
   8月上旬 4名、8月中旬 3名、8月下旬 2名

 (3) 都道府県別内訳
  愛知県、三重県、兵庫県 各3名
  茨城県、神奈川県、京都府、愛媛県、長崎県 各2名
  群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、静岡県、岐阜県、和歌山県、広島県、熊本県、大分県 各1名
   (平成25年9月2日までの速報値。なお、平成22年の熱中症による死亡者数については、平成22年9
  月1日時点での速報値が33名、8月末までの確定値が46名。)

2 災害の概要(速報のため変更の可能性あり)
項番 業種 時間帯 災害の概要
1 鉄鋼業 5月 16時台

工場内の溶鉱炉付近で、清掃作業を行っていたが、溶鉱炉付近のため周囲より温度が高かったため、体調が急変し歩行もままならない状態となり、涼しい場所へ移動させ、応急処置を行い、救急搬送されたが死亡した。

2 警備業 6月 16時台

被災者は工事現場の交通誘導員として勤務していたが、昼頃から、 体調不良のため駐車した車の中で休憩していた。同僚が車に戻った際、被災者の意識が無かったため、救急車で搬送されたが収容先の病院で死亡が確認された。

3 鋳物業 6月 11時台

被災者は鋳物工場内で、ショットブラスト作業を担当していたが、 始動後の待機時間中、突然仰向けに倒れ、後頭部を強打し、頭蓋骨骨折で意識不明となった。救急車で病院に運ばれたが死亡した。

4 鉄鋼業 7月 17時台

被災者は製鋼工場において、溜まったスラブを解消するため本来自動運転である装入クレーンを手動運転し、スラブ処理をしていた。作業終了後、被災者からクレーンを降りる旨の連絡が入った。しかし、 戻らないため探したところ、クレーンの電気室に居た被災者を発見した。病院に搬送したが、翌日死亡した。

5 運輸交通業 7月 19時台

トラックで走行中、暑さで意識が朦朧とし、空地に停車した。病院に搬送されたが、4日後に死亡した。

6 金属製品製造業 7月 17時台

仕事を終えた後、会社の近くで倒れている所を通行人が発見、通報し救急搬送されたが、翌日死亡した。

7 輸送用機械等製造業 7月 18時台

前日は風邪で欠勤したが、当日は通常通り出勤し、体調にも特に問題ない様子で作業を行っていた。残業に入り、その時点では異常は見られなかったが、その後体調不良を訴え休憩スペースに自力で移動した。上司が様子を見に行ったところ、倒れて死亡している被災者を発見した。

8 食料品製造業 7月 17時台

屋内で他の労働者と温水が溜まっている貯水槽内に入れた和菓子のコンテナを手で洗浄する作業を実施していたが、突然うずくまり、意識不明の状況となった。救急車で搬送されたが回復せず、翌日死亡した。

9 農業 7月 16時台

被災者は白ネギ畑で作業を行っていたが、気分が悪くなり、病院に搬送されるも意識がなくなり、翌日死亡した。

10 建築工事業 7月 16時台

新築工事現場において給排水管の敷設工事を行っていたところ、被災者が熱中症と思われる症状により、現場内に倒れているところを発見され死亡が確認された。

11 輸送用機械製造業 7月 14時台

処理場内において廃棄物の分別作業中、場内を移動して歩いている途中でよろめいて座り込んだ。すぐに涼しい場所に移動させ水分補給をさせたところ意識が朦朧としてきたため、救急車で搬送したが翌朝死亡したもの。

12 産業廃棄物処理業 7月 15時台

被災者は廃棄物収集のために車両を運転中であったが、運転操作の 異変に助手席にいた同僚が気づき、運転を交替して、被災者は助手席に移したが、容態が悪化したため、病院に搬送した。数週間後に死亡 した。

13 土木・建築以外の建設業業 7月 11時台

電柱建替工事現場で、工事に必要な水を汲みに現場の近くの小川に行ったが、現場で電柱の建込作業が始まったため、現場の作業に参加しようと、小川から現場まで引き返していたところ、道の途中で倒れ、その後死亡した。

14 建築工事業 7月 13時台

住宅の屋上で断熱材の敷き込み作業中、被災者が転んだのを同僚が 見て、気分が悪いようであれば、休憩するよう声をかけた。その後、庇の上で意識を失っている被災者が発見された。救急車で病院に搬送したが死亡が確認された。

15 ビルメンテナンス業 7月 12時台

客室清掃作業中に、倒れ込み、宴会場で休憩していたが回復しなかったため、救急車で病院に運ばれたものの、その後死亡が確認された。

16 林業 7月 10時台

山中にある送電用鉄塔周辺の樹木の伐採を行っていたところ、突然倒れ呼吸停止の状態となった。すぐに救急措置が講じられたが、搬送先の病院にて死亡が確認された。

17 造船業 7月 16時台

被災者は船内においてダクトの取り付け作業を行っていたが、手足がふるえ、歩けない状態となり、冷房のきいた事務所内に運ばれ水分補給後、休憩してその後救急車で病院に搬送したが、救急車内で、心肺停止状態となり、病院において蘇生措置が行われたが、翌朝死亡し た。

18 陸上貨物取扱業 7月 16時台

被災者は請け負った事業場内で午後から物品の移転作業を行っていたが、被災者が体調不良を訴えたため、応接室で休憩させていたが、様子を見に行った者が異変を認め、病院に搬送されたが当日死亡した。

19 土木工事業 7月 18時台

資材運搬港設置工事において、工区内への鋼矢板の打ち込み作業の ため、クレーン船上で鋼矢板への玉掛け作業を行っていたが、被災者が倒れているところを発見され、病院へ搬送したが死亡した。

20 建築工事業 7月 14時台

電気配線工事を行っていたところ、天井裏から降りてきた際に「熱いな」と言葉を発し、壁にもたれるように倒れ意識不明となった。救急車で病院に搬送されたが死亡した。

21 土木工事業 8月 15時台

被災者は携帯基地局の建設現場において基礎コンクリート部分の配筋作業を行っていたが、作業を終え地上へ梯子で昇ってきた直後、体調不良を訴え座り込んでしまった。同僚が水と塩分を与え、現場監督が氷を買いに行ったが、監督が戻ってきたときには痙攣を起こしており、病院へ搬送されたが死亡した。

22 土木工事業 8月 17時台

被災者は荷揚場改修工事現場で型枠の組み立て作業を行っていた。 夕刻頃に体調が悪くなり、同僚が自宅に搬送するも意識がなくなり、その後病院に搬送されるが死亡が確認された。

23 機械器具製造業 8月 14時台

閉鎖した食品工場内にあった電線を運びやすい長さに切断する作業を炎天下にて3人で行っていたところ、被災者が倒れ、救急車で病院に搬送したが死亡した。

24 土木・建築以外の建設業 8月 16時台

芝畑において手作業での除草作業を行っていたところ、夕刻頃に倒れているところを発見された。その後病院に搬送され、入院していたが、死亡した。

25 警備業 8月 不明

被災者は、集合住宅新築工事の交通誘導を行っていたが、昼頃、現場を離れそのまま行方不明になり、数日後、数百メートル離れたマンション敷地内において遺体で発見された。

26 畜産業 8月 19時台

被災者は、鶏卵の出荷作業担当で、ラインの下に汚れ防止のために 置かれていたビニールを洗う作業をしていた。しゃがんでビニールを洗っていたとき、意識が無く前のめりになっていることに同僚が気付き、救急車で病院に搬送したが死亡した。

27 食料品製造業 8月 14時台

工場の製品保管倉庫内において、被災者を含め6名の労働者で袋詰 め及びダンボール梱包の作業を行っていたところ、昼食休憩後に作業を開始した時に被災者が気分が悪いと訴えたことから、同僚が食堂で休憩するように促したところ、駐車場に停めてあった自家用車の前で倒れているのが発見された。

28 土木工事業 8月 17時台

作業終了後、駐車場へ移動中に体調に変調を来して倒れたため、病 院に搬送したが、死亡が確認された。

29 機械器具設置工事業 8月 16時台

太陽光発電設備設置工事において、屋外に設置された太陽光パネル の取り付け状況の確認作業を行っていたところ、体調不良を起こし、救急車により病院に搬送され治療を受けたが翌日死亡した。


3 職場における熱中症対策関連情報は、厚生労働省の「職場における労働衛生対策」に掲載しておりま
 すのでご活用下さい。

  http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei02.html

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