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別添2
基安安発0313第3号
基安労発0313第4号
基安化発0313第4号
平成29年3月13日
別記の団体の長 殿
厚生労働省労働基準局安全衛生部
安全課長
労働衛生課長
化学物質対策課長

平成29年度の建設業における安全衛生対策の推進に係る協力要請について

 平素より労働安全衛生行政の推進に御理解と御協力を賜り厚く御礼申し上げます。
 さて、厚生労働省では、平成29年度の労働安全衛生対策の推進に当たり、下記の事項に重点を置いた取
組を進めることとしています。
 つきましては、了知の上、別紙一覧に記載された関係通達等に御配意いただき、会員への周知等に特段
の御配慮を賜りますよう御協力をよろしくお願いいたします。
1 足場等からの墜落・転落防止対策
 (1) 平成27年7月に施行された改正労働安全衛生規則(以下「安衛則」という。)で規定された足場等か
  らの墜落防止措置について周知徹底を図るとともに、足場からの墜落・転落災害防止総合対策推進要
  綱に基づく対策の実施を指導する。
 (2) 足場の組立て等作業主任者の選任及び職務の徹底等安衛則の遵守の徹底を図る。
 (3) 十分な敷地を確保できる場合は一側足場ではなく本足場を設置するよう指導する。
 (4) 足場の組立て等に当たっては、手すり先行工法の積極的な採用を促進する。

2 その他の墜落・転落災害防止対策
 (1) ハーネス型安全帯の普及促進のためのパンフレットを活用して、ハーネス型安全帯の普及促進を図
  る。また、「墜落防止用の個人用保護具に関する規制のあり方に関する検討会」を開催し、その結論
  を踏まえ、ハーネス型安全帯の一層の普及を図る。
 (2) 橋梁工事の現場に対し労働安全衛生関係法令の遵守徹底を指導する。
 (3) 屋根改修工事や太陽光パネル取付工事等において足場の設置が困難な場合には、適切な安全帯取付
  設備を設置して安全帯の使用を徹底するよう指導する。
 (4) 休業4日以上の墜落・転落災害においては、「はしご等」を起因物とするものが約3割を占めている
  ことから、今後発送予定のはしご等からの墜落・転落災害の防止に関するリーフレットを活用し、は
  しご等からの墜落・転落災害の防止について周知、指導を行う。

3 建設工事関係者連絡会議の運営
  「建設工事関係者連絡会議の設置について」(平成26年4月11日基安発0411第1号)に基づき、都道府県
 単位及び地区単位の建設工事関係者連絡会議を都道府県労働局及び労働基準監督署において開催し、施
 工の安全衛生に配慮した発注、安全衛生経費の確保、統括安全衛生管理の徹底のための相互パトロール、
 安全衛生教育等について協議し、実行する。
  このとき、公共工事においては工期末である年度末に死亡災害が多く発生する傾向があることから、
 発注者に対しては安全衛生に配慮する観点からも計画的な発注及び工期の平準化について配慮を求める。
 併せて、「建設工事従事者の安全と健康の確保の推進に関する法律」(平成28年法律第111号)及び建設業
 者に指導する各種ガイドライン等についても周知するとともに、新たに示した職長・安全衛生責任者の
 能力向上教育に準じた教育の参加勧奨、ハーネス型安全帯の普及促進等について、公共工事発注機関等
 に協力を求める。

4 建設業労働安全衛生マネジメントシステムの普及
  コスモス導入企業の災害の減少率が建設業全体の減少率より13ポイント大きいデータがあることを踏
 まえ(下記アドレス参照)、建設事業者の的確な安全衛生管理活動を推進するため、建設業労働安全衛生
 マネジメントシステムの普及促進を図る。普及に当たっては、上記3の建設工事関係者連絡会議等の機
 会を捉え、活用を図る。
 http://www.kensaibou.or.jp/activity/pdf/cohsms/COHSMS_result.pdf

5 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会対策
 (1) 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向けて、競技施設の建設や首都圏を中
  心としたインフラ整備、再開発等の建設投資が増大することが見込まれるが、これらに対し、現場の
  作業に習熟した労働者、現場管理者が不足する等により、労働災害が増加することも懸念される。こ
  のため、労働災害発生状況のほか、建設需要の動向や建設業関連職種の有効求人倍率の状況も勘案し、
  指導を徹底する。
 (2) 委託事業において、首都圏を対象にした新規入職者等に対する安全衛生教育及び建設現場に対する
  専門家の技術指導を実施する。
 (3) 加えて、新国立競技場等の大会施設工事の安全衛生対策については、関係省庁、発注機関及び建設
  業団体で構成する「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会大会施設工事安全衛生対策協
  議会」を厚生労働省本省において運営し、大会施設工事が今後の快適で安全な建設工事のモデルとな
  るように安全衛生対策を徹底する。

6 職長等及び安全衛生責任者の能力向上教育に準じた教育の普及
  「建設業における職長等及び安全衛生責任者の能力向上教育に準じた教育について」(平成29年2月20
 日基発0220第3号)に基づき、平成29年度以降、安全衛生教育機関において職長等及び安全衛生責任者の
 能力向上教育に準じた教育が実施される見込みであるので、対象者に当該教育を受講させるよう、機会
 を捉えて発注者及び事業者に対し周知するとともに、参加勧奨について要請を行う。また、当該教育の
 対象者が所属する事業場には、対象者に当該教育を実施し、又は安全衛生教育機関が実施する教育に参
 加させるよう勧奨を行う。

7 建設工事従事者教育の徹底
  「建設工事に従事する労働者に対する安全衛生教育について」(平成15年3月25日基安発第0325001号)
 に基づき、建設現場で働く労働者が守らなければならない労働安全衛生法令の遵守事項等の基本的事項
 についての教育の推進を図る。また、建設工事関係者連絡会議において、発注者等にも周知し、関係者
 の参加を勧奨する。

8 建設工事における安全衛生経費の確保対策
 (1) 建設工事における安全衛生経費の確保について、平成27年6月に厚生労働省と国土交通省の連名で
  作成したパンフレットを活用し、経費の積算に当たっては労働災害防止のために必要な経費を盛り込
  むことについて、建設事業者及び発注者に対して、建設工事関係者連絡会議等の場を活用し、周知、
  要請する。
 (2) 委託事業により、建設事業者を対象にした安全衛生経費の項目、見積り方法等を分かりやすく解説
  する啓発ガイドブックを作成し、説明会を開催する。

9 転倒災害防止対策(「STOP!転倒災害プロジェクト」)
  引き続き転倒災害の防止を図るため、「今後の転倒災害防止対策の推進について」(平成28年1月13日
 基安発0113第5号)に基づき、「STOP!転倒災害プロジェクト」に沿って転倒災害防止ための周知、指導
 を行うとともに、転倒災害を発生させた事業場に対して自主点検の実施及び報告書の提出を求めること
 により、再発防止に係る意識づけ及び改善措置の実施を促進する。

10 交通労働災害防止対策
  建設業の死亡災害に占める交通事故の割合は近年増加しており、特に現場と事務所間の往復における
 死亡者数が過半数を占めていることから、「交通労働災害防止のためのガイドライン」(平成20年4月3
 日基発第0403001号)」、「交通の方法に関する教則(国家公安委員会告示)」等の周知徹底を図る。

11 熱中症対策
  「「STOP!熱中症クールワークキャンペーン」の実施について」(平成29年3月10日付け基安発0310第
 2号)に基づき、建設事業者等に対して、WBGT値の把握及び低減対策の実施、休憩場所の確保や熱への順
 化を考慮した作業計画の策定、定期的な水分・塩分の摂取徹底、健康診断結果を用いた就業上の措置、
 作業開始前の健康状態の確認、作業を管理する者や労働者に対する労働衛生教育の実施等について周知、
 指導する。

12 じん肺予防対策
  平成25から29年度を期間とする「第8次粉じん障害防止総合対策」の重点事項として、①アーク溶接
 作業と岩石等の裁断等作業に係る粉じん障害防止対策、②金属等の研磨作業に係る粉じん障害防止対策、
 ③ずい道等建設工事における粉じん障害防止対策、④離職後の健康管理を掲げており、引き続きこれら
 の対策を推進する。

13 外国人建設就労者等の労働災害防止対策
 (1) 「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」(平成28年11月28日法律第
  89号)が制定されたことを踏まえ、新たに創設された「外国人技能実習機構」をはじめとする関係団
  体等とも連携の上、外国人労働者(外国人建設就労者受入事業及び外国人技能実習制度による受入れ
  外国人を含む。)を雇用する事業場に対し、「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適
  切に対処するための指針」に示す安全衛生教育の実施、労働災害防止のための日本語教育等の実施、
  労働災害防止に関する標識・掲示等について周知、指導する。
 (2) 外国人建設就労者については、厚生労働省と国土交通省の連名で作成したパンフレット「外国人建
  設就労者の労働災害の防止のために」を活用して周知徹底を図る。なお、外国人建設就労者について
  は、委託事業において、外国人建設就労者及びその使用者を対象とした安全衛生に係る研修会を開催
  する。

14 石綿健康障害予防対策
 (1) 建築物解体等作業を行う事業者への対応について、特に、石綿に関し一定の知見を有し、的確な判
  断ができる者が事前調査を行うこと、事前調査の結果に関する掲示、石綿含有成形板の手ばらし、隔
  離空間からの石綿漏えい防止措置の徹底について指導する。
 (2) 建築物解体等作業の発注者への対応について、今後発出予定の改訂石綿飛散漏洩防止対策徹底マニ
  ュアルの内容等について建設工事関係者連絡会議等の場も活用し、発注者に対して積極的に周知、要
  請する

15 各種ガイドライン等の周知徹底等
 (1) ずい道等建設工事における災害防止については、「山岳トンネル工事の切羽における肌落ち災害防
  止対策に係るガイドライン」(平成28年12月26日基発1226第1号)及び今後発出予定の「シールドトン
  ネル工事に係る安全対策ガイドライン」について周知、指導する。なお、「ずい道等建設工事におけ
  る粉じん対策に関するガイドライン」についても、改正を検討しており、別途通達する予定であるの
  で、発出後に周知、指導する。
 (2) 「斜面崩壊による労働災害の防止対策に関するガイドライン」(平成27年6月29日基安安発0629第1
  号)等に基づき、掘削工事現場を指導するとともに、建設工事関係者連絡会議等の機会を捉えて発注
  者等に対しても周知徹底を図る。また、「斜面の点検者に対する安全教育実施要領」(平成27年6月29
  日基安安発0629第4号)に基づく教育を受けた者が点検者となるよう、併せて指導する。
 (3) のり面保護工事等を行う事業者に対する集団指導や個別指導等の機会を捉え、安衛則に基づきロー
  プ高所作業における危険の防止措置について周知、指導を行う。

16 建設工事の現場等における荷役災害防止対策
  建設工事の現場等において、荷役作業に従事する陸上貨物運送事業の労働者が死亡する労働災害が多
 発していることから、事業者が参集する機会を捉え、パンフレット等を活用し、荷役ガイドラインに基
 づく荷主等(荷主、配送先及び元請事業者等)としての取組の必要性を説明するとともに、荷役作業場所
 の確認等の実施について要請する。

17 化学物質による健康障害防止対策
 (1) 塗料等の掻き落とし作業について、鉛等有害物の有無等により工事に要する安全衛生経費は大きく
  変わることから、発注者に対し、有害物の有無等に応じた必要な安全衛生経費の積算等、必要な対応
  を行うよう求める。
 (2) 通風の不十分な場所における内燃機関の使用による一酸化炭素中毒が、公共工事も含め一定数見ら
  れることから、必要に応じて建設工事関係者連絡会議等の場を活用し、周知する。
 (3) 建設業においても、塗装など多くの化学物質を用いていることから、化学物質に係るリスクアセス
  メント等を実施するよう周知・指導する。

18 東日本大震災及び熊本地震に関連する安全衛生対策
 (1) 東日本大震災について、地方自治体及び国の出先機関の発注情報等により復旧・復興工事の情報を
  把握し、工事の進捗状況に応じて、住宅建築工事、除染工事、生活基盤の復旧工事、建築物等の解体
  工事等について、集団指導、パトロール、個別指導等を組み合わせることにより引き続き効果的・効
  率的な指導を実施する。熊本地震については、建築物等の解体工事が当面大規模に実施される見込み
  であることから、これらの工事に加え、住宅等建築工事等について、安全衛生が確保されるよう指導
  を徹底する。
 (2) 建築工事については、建築確認申請を受け付ける市町村、委託事業により設置される東日本大震災
  ・熊本地震復旧復興工事労災防止支援センター、木造家屋等低層住宅建築工事安全対策協議会等と連
  携を図りつつ、必要な指導等を行う。
 (3) 木造家屋建築工事に対する指導に当たっては、「木造家屋等低層住宅建築工事における労働災害防
  止対策の推進について」(平成8年11月11日基発第660号の2)に基づき、足場先行工法等による工事の
  実施、安全衛生管理体制の整備等について指導する。墜落・転落災害防止対策については、1及び2を
  踏まえ実施する。
 (4) 鉄骨・鉄筋コンクリート造家屋建築工事については、墜落・転落災害防止対策に重点を置くととも
  に、クレーン等作業、土工事、杭工事等の安全対策の徹底を図る。
 (5) 除染工事や生活基盤の復旧工事等に対する指導に当たっては、特に、重機による災害、墜落・転落
  災害、土砂崩壊災害等重篤な災害につながりやすい労働災害の防止を図る。このうち道路復旧工事等
  では、「斜面崩壊による労働災害の防止対策に関するガイドライン」で定められた各種措置の実施に
  ついて、建設工事関係者連絡会議や「東日本大震災復旧・復興工事関係者連絡会議」等の場を活用し、
  関係発注機関等の取組を促進する。
 (6) 復旧・復興工事等における上下水道やガス、電気等のインフラ整備に伴う小規模な溝掘削工事にお
  いては、土砂崩壊災害を防止するため、引き続き、関係発注機関等に対して「土止め先行工法」の更
  なる普及に努めるよう働きかける。
 (7) 「東日本大震災復旧・復興工事関係者連絡会議及び工事エリア別協議組織の設置について」(平成
  23年10月21日基安発1021第2号)に基づき、エリア別協議組織の円滑な運営に資するよう、復旧・復興
  工事の進捗状況に応じ、適切な時期に県単位の連絡会議を開催する。
 (8) 復旧・復興工事において新規参入者等に対する安全衛生教育が確実に実施されるよう指導すると
  ともに、委託事業において実施する新規参入者等、専門工事業者の安全衛生管理担当の責任者等、中
  小総合工事業者の管理監督者等に対する安全衛生教育の活用を図る。

19 建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律の施行
  平成29年3月16日から施行される建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律(平成28年
 法律第111号)の内容について建設業者等に周知する。
  同法第8条に基づく建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する基本計画を国土交通省と連
  携して策定し、関連施策を総合的かつ計画的に推進する。




 
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