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クレーン等安全規則 第二章 クレーン(第三条−第五十二条)

クレーン等安全規則 目次

第一節  製造及び設置

(製造許可)
第三条  クレーン(令第十二条第一項第三号のクレーンに限る。以下本条から第十条まで、第十六条及び
 第十七条並びにこの章第四節及び第五節において同じ。)を製造しようとする者は、その製造しようと
 するクレーンについて、あらかじめ、その事業場の所在地を管轄する都道府県労働局長(以下「所轄都
 道府県労働局長」という。)の許可を受けなければならない。ただし、すでに当該許可を受けているク
 レーンと型式が同一であるクレーン(以下この章において「許可型式クレーン」という。)については、
 この限りでない。
  前項の許可を受けようとする者は、クレーン製造許可申請書(様式第一号)にクレーンの組立図及び
  次の事項を記載した書面を添えて、所轄都道府県労働局長に提出しなければならない。
  一  強度計算の基準
  二  製造の過程において行なう検査のための設備の概要
  三  主任設計者及び工作責任者の氏名及び経歴の概要

(検査設備等の変更報告)
第四条  前条第一項の許可を受けた者は、当該許可に係るクレーン又は許可型式クレーンを製造する場合
  において、同条第二項第二号の設備又は同項第三号の主任設計者若しくは工作責任者を変更したときは、
  遅滞なく、所轄都道府県労働局長に報告しなければならない。

(設置届)
第五条  事業者は、クレーンを設置しようとするときは、労働安全衛生法(以下「法」という。)第八十八
 条第一項の規定により、クレーン設置届(様式第二号)にクレーン明細書(様式第三号)、クレーン
 の組立図、別表の上欄に掲げるクレーンの種類に応じてそれぞれ同表の下欄に掲げる構造部分の強度計
 算書及び次の事項を記載した書面を添えて、その事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長(以下
 「所轄労働基準監督署長」という。)に提出しなければならない。
  一  据え付ける箇所の周囲の状況
  二  基礎の概要
  三  走行クレーンにあつては、走行する範囲

(落成検査)
第六条  クレーンを設置した者は、法第三十八条第三項の規定により、当該クレーンについて、所轄労働
  基準監督署長の検査を受けなければならない。ただし、所轄労働基準監督署長が当該検査の必要がない
  と認めたクレーンについては、この限りでない。
  前項の規定による検査(以下この節において「落成検査」という。)においては、クレーンの各部分
  の構造及び機能について点検を行なうほか、荷重試験及び安定度試験を行なうものとする。ただし、天
  井クレーン、橋形クレーン等転倒するおそれのないクレーンの落成検査においては、荷重試験に限るも
  のとする。
  前項の荷重試験は、クレーンに定格荷重の一・二五倍に相当する荷重(定格荷重が二百トンをこえる
  場合は、定格荷重に五十トンを加えた荷重)の荷をつつて、つり上げ、走行、旋回、トロリの横行等の
  作動を行なうものとする。
  第二項の安定度試験は、クレーンに定格荷重の一・二七倍に相当する荷重の荷をつつて、当該クレー
  ンの安定に関し最も不利な条件で地切りすることにより行なうものとする。この場合において、逸走防
  止装置、レールクランプ等の装置は、作用させないものとする。
  所轄労働基準監督署長は、落成検査を行なう前一年以内に第八条第一項の仮荷重試験が行なわれた
  クレーンについては、落成検査の一部を省略することができる。
  落成検査を受けようとする者は、クレーン落成検査申請書(様式第四号)を所轄労働基準監督署長に
  提出しなければならない。この場合において、法第八十八条第一項ただし書の規定による認定(以下
 「認定」という。)を受けたことにより前条の届出をしていないときは、同条の明細書、組立図、強度
 計算書及び書面その他落成検査に必要な書面を添付するものとする。

(落成検査を受ける場合の措置)
第七条  落成検査を受ける者は、当該検査を受けるクレーンについて、荷重試験及び安定度試験のための
  荷及び玉掛用具を準備しなければならない。
  所轄労働基準監督署長は、落成検査のために必要があると認めるときは、当該検査に係るクレーンに
  ついて、次の事項を当該検査を受ける者に命ずることができる。
  一  安全装置を分解すること。
  二  塗装の一部をはがすこと。
  三  リベツトを抜き出し、又は部材の一部に穴をあけること。
  四  ワイヤロープの一部を切断すること。
  五  前各号に掲げる事項のほか、当該検査のため必要と認める事項
  落成検査を受ける者は、当該検査に立ち会わなければならない。

(仮荷重試験)
第八条  第三条第一項の許可を受けた者は、当該許可に係るクレーン又は許可型式クレーンについて、所
  轄都道府県労働局長が行なう仮荷重試験を受けることができる。
  仮荷重試験を受けようとする者は、クレーン仮荷重試験申請書(様式第五号)にクレーンの組立図を
  添えて、所轄都道府県労働局長に提出しなければならない。
  所轄都道府県労働局長は、仮荷重試験を行なつたクレーンについて、仮荷重試験成績表(様式第六号)
 を作成し、前項の仮荷重試験を受けた者に交付するものとする。

(クレーン検査証)
第九条  所轄労働基準監督署長は、落成検査に合格したクレーン又は第六条第一項ただし書のクレーンに
  ついて、同条第六項の規定により申請書を提出した者に対し、クレーン検査証(様式第七号)を交付す
 るものとする。
  クレーンを設置している者は、クレーン検査証を滅失し、又は損傷したときは、クレーン検査証再交
  付申請書(様式第八号)に次の書面を添えて、所轄労働基準監督署長に提出し、再交付を受けなければ
  ならない。
  一  クレーン検査証を滅失したときは、その旨を明らかにする書面
  二  クレーン検査証を損傷したときは、当該クレーン検査証
  クレーンを設置している者に異動があつたときは、クレーンを設置している者は、当該異動後十日以
  内に、クレーン検査証書替申請書(様式第八号)にクレーン検査証を添えて、所轄労働基準監督署長に
  提出し、書替えを受けなければならない。

(検査証の有効期間)
第十条  クレーン検査証の有効期間は、二年とする。ただし、落成検査の結果により当該期間を二年未満
  とすることができる。

(設置報告書)
第十一条 令第十三条第三項第十四号のクレーンを設置しようとする事業者は、あらかじめ、クレーン設
 置報告書(様式第九号)を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。ただし、認定を受けた事
 業者については、この限りでない。

(荷重試験等)
第十二条  事業者は、前条のクレーンを設置したときは、当該クレーンについて、第六条第三項の荷重試
  験及び同条第四項の安定度試験を行なわなければならない。

(走行クレーンと建設物等との間隔)
第十三条  事業者は、建設物の内部に設置する走行クレーン(クレーンガーダを有しないもの及びクレー
  ンガーダに歩道を有しないものを除く。)と当該建設物又はその内部の設備との間隔については、次に
  定めるところによらなければならない。ただし、第二号の規定については、当該走行クレーンに天がい
  (クレーンガーダの歩道の上に設けられたもので、当該歩道からの高さが一・五メートル以上のものに
  限る。)を取り付けるときは、この限りでない。
  一  当該走行クレーンの最高部(集電装置の部分を除く。)と火打材、はり、けた等建設物の部分又は
    配管、他のクレーンその他の設備で、当該走行クレーンの上方にあるものとの間隔は、〇・四メート
    ル以上とすること。
  二  クレーンガーダの歩道と火打材、はり、けた等建設物の部分又は配管、他のクレーンその他設備で、
    当該歩道の上方にあるものとの間隔は、一・八メートル以上とすること。

(建設物等との間の歩道)
第十四条  事業者は、走行クレーン又は旋回クレーンと建設物又は設備との間に歩道を設けるときは、そ
  の幅を〇・六メートル以上としなければならない。ただし、当該歩道のうち建設物の柱に接する部分に
  ついては、〇・四メートル以上とすることができる。

(運転室等と歩道との間隔)
第十五条  事業者は、クレーンの運転室若しくは運転台の端と当該運転室若しくは運転台に通ずる歩道の
  端との間隔又はクレーンガーダの歩道の端と当該歩道に通ずる歩道の端との間隔については、〇・三メ
  ートル以下としなければならない。ただし、労働者が墜落することによる危険を生ずるおそれのないと
  きは、この限りではない。

第二節  使用及び就業

(検査証の備付け)
第十六条  事業者は、クレーンを用いて作業を行なうときは、当該作業を行なう場所に、当該クレーンの
  クレーン検査証を備え付けておかなければならない。

(使用の制限)
第十七条  事業者は、クレーンについては、法第三十七条第二項の厚生労働大臣の定める基準(以下「厚
  生労働大臣の定める基準」という。)(クレーンの構造に係る部分に限る。)に適合するものでなけれ
 ば使用してはならない。

(設計の基準とされた負荷条件)
第十七条の二  事業者は、クレーンを使用するときは、当該クレーンの構造部分を構成する鋼材等の変形、
  折損等を防止するため、当該クレーンの設計の基準とされた荷重を受ける回数及び常態としてつる荷の
  重さ(以下「負荷条件」という。)に留意するものとする。

(巻過ぎの防止)
第十八条  事業者は、クレーンの巻過防止装置については、フツク、グラブバケツト等のつり具の上面又
  は当該つり具の巻上げ用シーブの上面とドラム、シーブ、トロリフレームその他当該上面が接触するお
  それのある物(傾斜したジブを除く。)の下面との間隔が〇・二五メートル以上(直働式の巻過防止装
  置にあつては、〇・〇五メートル以上)となるように調整しておかなければならない。

(巻過ぎの防止)
第十九条  事業者は、巻過防止装置を具備しないクレーンについては、巻上げ用ワイヤロープに標識を付
  すること、警報装置を設けること等巻上げ用ワイヤロープの巻過ぎによる労働者の危険を防止するため
  の措置を講じなければならない。

(安全弁の調整)
第二十条  事業者は、水圧又は油圧を動力として用いるクレーンの当該水圧又は油圧の過度の昇圧を防止
  するための安全弁については、定格荷重(ジブクレーンにあつては、最大の定格荷重)に相当する荷重
  をかけたときの水圧又は油圧に相当する圧力以下で作用するように調整しておかなければならない。た
  だし、第二十三条第二項の規定により定格荷重をこえる荷重をかける場合又は第十二条の規定により荷
  重試験若しくは安定度試験を行なう場合において、これらの場合における水圧又は油圧に相当する圧力
  で作用するように調整するときは、この限りでない。

(外れ止め装置の使用)
第二十条の二  事業者は、玉掛け用ワイヤロープ等がフツクから外れることを防止するための装置(以下
  「外れ止め装置」という。)を具備するクレーンを用いて荷をつり上げるときは、当該外れ止め装置を
  使用しなければならない。

(特別の教育)
第二十一条  事業者は、次の各号に掲げるクレーンの運転の業務に労働者を就かせるときは、当該労働者
  に対し、当該業務に関する安全のための特別の教育を行わなければならない。
  一  つり上げ荷重が五トン未満のクレーン
  二  つり上げ荷重が五トン以上の跨(こ)線テルハ
  前項の特別の教育は、次の科目について行わなければならない。
  一  クレーンに関する知識
  二  原動機及び電気に関する知識
  三  クレーンの運転のために必要な力学に関する知識
  四  関係法令
  五  クレーンの運転
  六  クレーンの運転のための合図
  労働安全衛生規則(昭和四十七年労働省令第三十二号。以下「安衛則」という。)第三十七条及び第
 三十八条並びに前二項に定めるもののほか、第一項の特別の教育に関し必要な事項は、厚生労働大臣が
 定める。

(就業制限)
第二十二条  事業者は、令第二十条第六号に掲げる業務については、クレーン・デリック運転士免許を
 受けた者でなければ、当該業務に就かせてはならない。ただし、床上で運転し、かつ、当該運転する者
 が荷の移動とともに移動する方式のクレーン(以下「床上操作式クレーン」という。)の運転の業務に
 ついては、床上操作式クレーン運転技能講習を修了した者を当該業務に就かせることができる。

(過負荷の制限)
第二十三条  事業者は、クレーンにその定格荷重をこえる荷重をかけて使用してはならない。
  前項の規定にかかわらず、事業者は、やむを得ない事由により同項の規定によることが著しく困難な
  場合において、次の措置を講ずるときは、定格荷重をこえ、第六条第三項に規定する荷重試験でかけた
  荷重まで荷重をかけて使用することができる。
  一  あらかじめ、クレーン特例報告書(様式第十号)を所轄労働基準監督署長に提出すること。
  二  あらかじめ、第六条第三項に規定する荷重試験を行ない、異常がないことを確認すること。
  三  作業を指揮する者を指名して、その者の直接の指揮のもとに作動させること。
  事業者は、前項第二号の規定により荷重試験を行なつたとき、及びクレーンに定格荷重をこえる荷重
  をかけて使用したときは、その結果を記録し、これを三年間保存しなければならない。

(傾斜角の制限)
第二十四条  事業者は、ジブクレーンについては、クレーン明細書に記載されているジブの傾斜角(つり
  上げ荷重が三トン未満のジブクレーンにあつては、これを製造した者が指定したジブの傾斜角)の範囲
  をこえて使用してはならない。

(定格荷重の表示等)
第二十四条の二  事業者は、クレーンを用いて作業を行うときは、クレーンの運転者及び玉掛けをする者
  が当該クレーンの定格荷重を常時知ることができるよう、表示その他の措置を講じなければならない。

(運転の合図)
第二十五条 事業者は、クレーンを用いて作業を行なうときは、クレーンの運転について一定の合図を定
  め、合図を行なう者を指名して、その者に合図を行なわせなければならない。ただし、クレーンの運転
  者に単独で作業を行なわせるときは、この限りでない。
  前項の指名を受けた者は、同項の作業に従事するときは、同項の合図を行なわなければならない。
  第一項の作業に従事する労働者は、同項の合図に従わなければならない。
(搭乗の制限)
第二十六条  事業者は、クレーンにより、労働者を運搬し、又は労働者をつり上げて作業させてはならな
  い。

(搭乗の制限等)
第二十七条  事業者は、前条の規定にかかわらず、作業の性質上やむを得ない場合又は安全な作業の遂行
  上必要な場合は、クレーンのつり具に専用のとう乗設備を設けて当該とう乗設備に労働者を乗せること
  ができる。
  事業者は、前項のとう乗設備については、墜落による労働者の危険を防止するため次の事項を行わ
  なければならない。
  一  とう乗設備の転位及び脱落を防止する措置を講ずること。
  二  労働者に要求性能墜落制止用器具(安衛則第百三十条の五第一項に規定する要求性能墜落制止用器
  具をいう。)その他の命綱(以下「要求性能墜落制止用器具等」という。)を使用させること。
  三  とう乗設備を下降させるときは、動力下降の方法によること。
  労働者は、前項の場合において要求性能墜落制止用器具等の使用を命じられたときは、これを使用し
 なければならない。

(立入禁止)
第二十八条  事業者は、ケーブルクレーンを用いて作業を行なうときは、巻上げ用ワイヤロープ若しくは
  横行用ワイヤロープが通つているシーブ又はその取付け部の破損により、当該ワイヤロープがはね、又
  は当該シーブ若しくはその取付具が飛来することによる労働者の危険を防止するため、当該ワイヤロー
  プの内角側で、当該危険を生ずるおそれのある箇所に労働者を立ち入らせてはならない。

(立入禁止)
第二十九条 事業者は、クレーンに係る作業を行う場合であつて、次の各号のいずれかに該当するときは、
  つり上げられている荷(第六号の場合にあつては、つり具を含む。)の下に労働者を立ち入らせてはな
  らない。
  一  ハッカーを用いて玉掛けをした荷がつり上げられているとき。
  二  つりクランプ一個を用いて玉掛けをした荷がつり上げられているとき。
  三  ワイヤロープ、つりチェーン、繊維ロープ又は繊維ベルト(以下第百十五条までにおいて「ワイヤ
    ロープ等」という。)を用いて一箇所に玉掛けをした荷がつり上げられているとき(当該荷に設けら
    れた穴又はアイボルトにワイヤロープ等を通して玉掛けをしている場合を除く。)。
  四  複数の荷が一度につり上げられている場合であつて、当該複数の荷が結束され、箱に入れられる等
    により固定されていないとき。
  五  磁力又は陰圧により吸着させるつり具又は玉掛用具を用いて玉掛けをした荷がつり上げられている
    とき。
  六  動力下降以外の方法により荷又はつり具を下降させるとき。

(並置クレーンの修理等の作業)
第三十条  事業者は、同一のランウエイに並置されている走行クレーンの修理、調整、点検等の作業を行
  なうとき、又はランウエイの上その他走行クレーンが労働者に接触することにより労働者に危険を生ず
  るおそれのある箇所において作業を行なうときは、監視人をおくこと、ランウエイの上にストツパーを
  設けること等走行クレーンと走行クレーンが衝突し、又は走行クレーンが労働者に接触することによる
  労働者の危険を防止するための措置を講じなければならない。

(運転禁止等)
第三十条の二  事業者は、天井クレーンのクレーンガーダの上又は橋形クレーンのクレーンガーダ、カン
  チレバ若しくは脚の上において当該天井クレーン若しくは橋形クレーン(以下この条において「天井ク
  レーン等」という。)又は当該天井クレーン等に近接する建物、機械、設備等の点検、補修、塗装等の
  作業(以下この条において「天井クレーン等の点検等の作業」という。)を行うときは、天井クレーン
  等が不意に起動することによる労働者の墜落、挟まれ等の危険を防止するため、当該天井クレーン等の
  運転を禁止するとともに、当該天井クレーン等の操作部分に運転を禁止する旨の表示をしなければなら
  ない。ただし、天井クレーン等の点検等の作業を指揮する者を定め、その者に天井クレーン等の点検等
  の作業を指揮させ、かつ、天井クレーン等のクレーンガーダ、カンチレバ又は脚の上において天井クレ
  ーン等の点検等の作業に従事する労働者と当該天井クレーン等を運転する者との間の連絡及び合図の方
  法を定め、当該方法により連絡及び合図を行わせるときは、この限りでない。

(暴風時における逸走の防止)
第三十一条  事業者は、瞬間風速が毎秒三十メートルをこえる風が吹くおそれのあるときは、屋外に設置
  されている走行クレーンについて、逸走防止装置を作用させる等その逸走を防止するための措置を講じ
  なければならない。

(強風時の作業中止)
第三十一条の二  事業者は、強風のため、クレーンに係る作業の実施について危険が予想されるときは、
  当該作業を中止しなければならない。

(強風時における損壊の防止)
第三十一条の三  事業者は、前条の規定により作業を中止した場合であつてジブクレーンのジブが損壊す
  るおそれのあるときは、当該ジブの位置を固定させる等によりジブの損壊による労働者の危険を防止す
  るための措置を講じなければならない。

(運転位置からの離脱の禁止)
第三十二条  事業者は、クレーンの運転者を、荷をつつたままで、運転位置から離れさせてはならない。
  前項の運転者は、荷をつつたままで、運転位置を離れてはならない。

(組立て等の作業)
第三十三条  事業者は、クレーンの組立て又は解体の作業を行なうときは、次の措置を講じなければなら
  ない。
  一  作業を指揮する者を選任して、その者の指揮のもとに作業を実施させること。
  二  作業を行なう区域に関係労働者以外の労働者が立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を見やすい箇
    所に表示すること。
  三  強風、大雨、大雪等の悪天候のため、作業の実施について危険が予想されるときは、当該作業に労
    働者を従事させないこと。
  事業者は、前項第一号の作業を指揮する者に、次の事項を行わせなければならない。
  一  作業の方法及び労働者の配置を決定し、作業を指揮すること。
  二  材料の欠点の有無並びに器具及び工具の機能を点検し、不良品を取り除くこと。
  三  作業中、要求性能墜落制止用器具等及び保護帽の使用状況を監視すること。

第三節  定期自主検査等

(定期自主検査)
第三十四条  事業者は、クレーンを設置した後、一年以内ごとに一回、定期に、当該クレーンについて自
  主検査を行なわなければならない。ただし、一年をこえる期間使用しないクレーンの当該使用しない期
  間においては、この限りでない。
  事業者は、前項ただし書のクレーンについては、その使用を再び開始する際に、自主検査を行なわな
  ければならない。
  事業者は、前二項の自主検査においては、荷重試験を行わなければならない。ただし、次の各号のい
  ずれかに該当するクレーンについては、この限りでない。
  一  当該自主検査を行う日前二月以内に第四十条第一項の規定に基づく荷重試験を行つたクレーン又は
    当該自主検査を行う日後二月以内にクレーン検査証の有効期間が満了するクレーン
  二  発電所、変電所等の場所で荷重試験を行うことが著しく困難なところに設置されており、かつ、所
    轄労働基準監督署長が荷重試験の必要がないと認めたクレーン
  前項の荷重試験は、クレーンに定格荷重に相当する荷重の荷をつつて、つり上げ、走行、旋回、トロ
  リの横行等の作動を定格速度により行なうものとする。

(定期自主検査)
第三十五条  事業者は、クレーンについて、一月以内ごとに一回、定期に、次の事項について自主検査を
  行なわなければならない。ただし、一月をこえる期間使用しないクレーンの当該使用しない期間におい
  ては、この限りでない。
  一  巻過防止装置その他の安全装置、過負荷警報装置その他の警報装置、ブレーキ及びクラツチの異常
    の有無
  二  ワイヤロープ及びつりチエーンの損傷の有無
  三  フツク、グラブバケツト等のつり具の損傷の有無
  四  配線、集電装置、配電盤、開閉器及びコントローラーの異常の有無
  五  ケーブルクレーンにあつては、メインロープ、レールロープ及びガイロープを緊結している部分の
    異常の有無並びにウインチの据付けの状態
  事業者は、前項ただし書のクレーンについては、その使用を再び開始する際に、同項各号に掲げる事
  項について自主検査を行なわなければならない。

(作業開始前の点検)
第三十六条  事業者は、クレーンを用いて作業を行なうときは、その日の作業を開始する前に、次の事項
  について点検を行なわなければならない。
  一  巻過防止装置、ブレーキ、クラツチ及びコントローラーの機能
  二  ランウエイの上及びトロリが横行するレールの状態
  三  ワイヤロープが通つている箇所の状態

(暴風後等の点検)
第三十七条  事業者は、屋外に設置されているクレーンを用いて瞬間風速が毎秒三十メートルをこえる風
  が吹いた後に作業を行なうとき、又はクレーンを用いて中震以上の震度の地震の後に作業を行なうとき
  は、あらかじめ、クレーンの各部分の異常の有無について点検を行なわなければならない。

(自主検査等の記録)
第三十八条 事業者は、この節に定める自主検査及び点検(第三十六条の点検を除く。)の結果を記録し、
  これを三年間保存しなければならない。

(補修)
第三十九条  事業者は、この節に定める自主検査又は点検を行なつた場合において、異常を認めたときは、
  直ちに補修しなければならない。

第四節  性能検査

(性能検査)
第四十条  クレーンに係る法第四十一条第二項の性能検査(以下「性能検査」という。)においては、ク
  レーンの各部分の構造及び機能について点検を行なうほか、荷重試験を行なうものとする。
第三十四条第四項の規定は、前項の荷重試験について準用する。

(性能検査の申請等)
第四十一条  クレーンに係る性能検査(法第五十三条の三において準用する法第五十三条の二第一項の規
 定により労働基準監督署長が行うものに限る。)を受けようとする者は、クレーン性能検査申請書(
 式第十一号
)を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。 (性能検査を受ける場合の措置) 第四十二条 第七条の規定(同条第一項中安定度試験に関する部分を除く。)は、前条のクレーンに係る 性能検査を受ける場合について準用する。 (検査証の有効期間の更新) 第四十三条 登録性能検査機関(法第四十一条第二項に規定する登録性能検査機関をいう。以下同じ。)  は、クレーンに係る性能検査に合格したクレーンについて、クレーン検査証の有効期間を更新するも  のとする。この場合において、性能検査の結果により二年未満又は二年を超え三年以内の期間を定め  て有効期間を更新することができる。 (労働基準監督署長が性能検査の業務を行う場合における規定の適用) 第四十三条の二 法第五十三条の三において準用する法第五十三条の二第一項の規定により労働基準監督  署長がクレーンに係る性能検査の業務の全部又は一部を自ら行う場合における前条の規定の適用につい  ては、同条中「登録性能検査機関」とあるのは「所轄労働基準監督署長又は登録性能検査機関」とする。 第五節 変更、休止、廃止等 (変更届) 第四十四条 事業者は、クレーンについて、次の各号のいずれかに掲げる部分を変更しようとするときは、  法第八十八条第一項の規定により、クレーン変更届(様式第十二号)にクレーン検査証及び変更しよ  うとする部分(第五号に掲げるものを除く。)の図面を添えて、所轄労働基準監督署長に提出しなけれ  ばならない。 一 クレーンガーダ、ジブ、脚、塔その他の構造部分 二 原動機 三 ブレーキ 四 つり上げ機構 五 ワイヤロープ又はつりチエーン 六 フツク、グラブバケツト等のつり具 (変更検査) 第四十五条 前条第一号に該当する部分に変更を加えた者は、法第三十八条第三項の規定により、当該ク  レーンについて、所轄労働基準監督署長の検査を受けなければならない。ただし、所轄労働基準監督署  長が当該検査の必要がないと認めたクレーンについては、この限りでない。 第六条第二項から第四項までの規定は、前項の規定による検査(以下この節において「変更検査」と いう。)について準用する。 変更検査を受けようとする者は、クレーン変更検査申請書(様式第十三号)を所轄労働基準監督署長 に提出しなければならない。この場合において、認定を受けたことにより前条の届出をしていないとき  は、同条の検査証及び図面その他変更検査に必要な書面を添付するものとする。 (変更検査を受ける場合の措置) 第四十六条 第七条の規定は、変更検査を受ける場合について準用する。 (検査証の裏書) 第四十七条 所轄労働基準監督署長は、変更検査に合格したクレーン又は第四十五条第一項ただし書のク レーンについて、当該クレーン検査証に検査期日、変更部分及び検査結果について裏書を行なうものと する。 (休止の報告) 第四十八条 クレーンを設置している者がクレーンの使用を休止しようとする場合において、その休止し ようとする期間がクレーン検査証の有効期間を経過した後にわたるときは、当該クレーン検査証の有効期 間中にその旨を所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。ただし、認定を受けた事業者について は、この限りでない。 (使用再開検査) 第四十九条 使用を休止したクレーンを再び使用しようとする者は、法第三十八条第三項の規定により、 当該クレーンについて、所轄労働基準監督署長の検査を受けなければならない。 第六条第二項から第四項までの規定は、前項の規定による検査(以下この節において「使用再開検査」 という。)について準用する。 使用再開検査を受けようとする者は、クレーン使用再開検査申請書(様式第十四号)を所轄労働基準 監督署長に提出しなければならない。 (使用再開検査を受ける場合の措置) 第五十条 第七条の規定は、使用再開検査を受ける場合について準用する。 (検査証の裏書) 第五十一条 所轄労働基準監督署長は、使用再開検査に合格したクレーンについて、当該クレーン検査証 に検査期日及び検査結果について裏書を行なうものとする。 (検査証の返還) 第五十二条 クレーンを設置している者が当該クレーンについて、その使用を廃止したとき、又はつり上 げ荷重を三トン未満(スタツカー式クレーンにあつては、一トン未満)に変更したときは、その者は、 遅滞なく、クレーン検査証を所轄労働基準監督署長に返還しなければならない。