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労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行及び電気機械器具防爆構造
規格及び昭和四十七年労働省告示第七十七号の一部を改正する告示の適用
について

改正履歴

                                        基発第0925001号
                                        平成20年9月25日


都道府県労働局長 殿


                                     厚生労働省労働基準長



        労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行及び電気機
        械器具防爆構造規格及び昭和四十七年労働省告示第七十七
        号の一部を改正する告示の適用について



 労働安全衛生規則の一部を改正する省令(平成20年厚生労働省令第32号)及び電気機械器具防爆構造規
格及び昭和四十七年労働省告示第七十七号の一部を改正する告示(平成20年厚生労働省告示第88号。以下
「改正告示」という。) は、平成20年3月13日に公布され、同年10月1日から施行及び適用されることとな
った。
 今回の改正は、国際電気標準会議(International Electrotechnical Commission)が制定した国際規
格(以下「IEC規格」という。)と国内法令との整合化を図ること等を目的としたものであり、その主な
内容は、下記のとおりである。
 ついては、下記事項に留意の上、関係者への周知徹底を図るとともに、その運用に遺漏なきを期された
い。
 なお、防爆構造電気機械器具に係る登録型式検定機関に対しては別添1により、社団法人日本電機工業
会、社団法人日本照明器具工業会、社団法人日本電気計測器工業会、社団法人日本電気協会、社団法人日
本電気制御機器工業会、社団法人日本電設工業協会、石油連盟、社団法人日本化学工業協会及び石油化学
工業協会に対しては別添2により、それぞれ通知したので申し添える。

                       記

第1 改正の要点
 1 電気機械器具の防爆性能の見直し(労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号第280条関係)
   引火性の物の蒸気(以下「蒸気」という。)又は可燃性ガス(以下「ガス」という。)が爆発の危
  険のある濃度に達するおそれのある箇所において使用することができる電気機械器具の防爆構造につ
  いては、現行の蒸気又はガスの種類に加え、爆発の危険のある濃度に達するおそれに応じた防爆性能
  を有するものでなければならないものとしたこと。
 2 危険箇所の区分、新たな防爆構造の制定(電気機械器具防爆構造規格(昭和44年労働省告示第16号)
  関係)
 (1)ガス又は蒸気が爆発の危険のある濃度に達するおそれのある箇所についてそのおそれの度合に応
   じて三つに区分したこと。また、当該区分に応じて使用可能な電気機械器具の防爆構造を定めたこ
   と。
 (2)IEC規格との整合化を図るため、「樹脂充てん防爆構造」及び「非点火防爆構造」について新たに
   構造規格を定めたこと。

第2 細部事項
 1 労働安全衛生規則第280条関係
   通風等による爆発又は火災の防止の措置を講じても、なお、蒸気又はガスが爆発の危険のある濃度
  に達するおそれのある箇所において使用する電気機械器具については、現行の蒸気又はガスの種類に
  加え、爆発の危険のある濃度に達するおそれに応じた防爆性能を有するものでなければならないもの
  としたこと。
   「爆発の危険のある濃度に達するおそれのある箇所」は、蒸気又はガスの爆発性雰囲気の生成頻度
  及び持続時間により改正告示による改正後の電気機械器具防爆構造規格(以下「新構造規格」という。)
  第1条第15号から第17号までのとおり「特別危険箇所」、「第一類危険箇所」及び「第二類危険箇所」
  の三つに区分されるものであること。
   「当該蒸気又はガスに対しその種類及び爆発の危険のある濃度に達するおそれに応じた防爆性能を
  有する防爆構造電気機械器具」とは、新構造規格第2条各号の区分に応じ、それぞれ各号に定められた
  防爆構造を有する電気機械器具をいうものであること。

 2 新構造規格関係
 (1)第1条第8号関係
    「樹脂充てん防爆構造」とは、電気機械器具の点火源となるおそれがある部分を熱硬化樹脂等の
   樹脂の中に囲むことにより、ガス又は蒸気に点火しないようにした構造をいうものであること。
 (2)第1条第9号関係
    「非点火防爆構造」とは、電気機械器具を構成する部分が点火源となるおそれがない構造、点火源
   となるおそれがある部分を保護することによりガス又は蒸気に点火しない構造等他の防爆構造と原理
   は同じであるが、ガス又は蒸気からの保護方法を簡易なものとしたもの等をいうものであること。
 (3)第1条第15号から第17号まで関係
    「特別危険箇所」、「第一類危険箇所」及び「第二類危険箇所」とは、JISC60079-10(爆発性雰囲
   気で使用する電気機械器具−第10部:危険区域の分類)に定める「危険度0区域(Zone0)」、「危険
   度1区域(Zone1)」及び「危険度2区域(Zone2)」に、それぞれ相当する箇所をいうものであり、
   分類の方法については、JISC60079-10によること。
    また、これらは旧労働省産業安全研究所が定めた「工場電気設備防爆指針(ガス蒸気防爆 1979)」
   (以下「旧ガス蒸気防爆指針」という。)における「0種場所」、「1種場所」及び「2種場所」にそれ
   ぞれ相当するものであること。
 (4)第1条第23号関係
    「耐トラッキング性」とは、固体絶縁材料の表面に発生する導電路に係る絶縁性能のことをいい、
   JISC2134(固体絶縁材料の保証及び比較トラッキング指数の測定方法)に定める測定方法による指数
   等で示されるものをいうものであること。
 (5)第2条関係
    「特別危険箇所」、「第一類危険箇所」及び「第二類危険箇所」のそれぞれの危険箇所において
   使用できる電気機械器具の防爆構造について定めたものであること。
    なお、旧ガス蒸気防爆指針において、危険箇所ごとに使用できる電気機械器具を示しており、これ
   は本条に示すものと同じものであることから、これまで旧ガス蒸気防爆指針に基づいて設置し、使用
   されている電気機械器具については、労働安全衛生規則第280条の規定に適合するものであること。
 (6)第4条第2項関係
   ア 改正告示の適用日において、既に機械等検定規則(昭和47年労働省令第45号第6条の規定による
    新規検定又は同令第10条の規定による更新検定(以下「型式検定」という。)に合格している本質
    安全防爆構造の電気機械器具については、型式検定合格証の「使用条件」の欄に「対象ガス又は蒸
    気が常時、長時間、又はしばしば存在するおそれのある場所では使用しないこと。」又は「対象ガ
    ス又は蒸気が、常時又は長時間存在するおそれのある場所では使用しないこと。」と記載されてい
    るものをibと、それ以外のものをiaとして取り扱うこと。
     なお、当該電気機械器具の「使用条件」については、当該電気機械器具に「使用条件の要点」を
    標示した銘板が取り付けられており、これにより確認することができるものであること。
   イ 改正告示の適用日において、既に新構造規格第5条に定める国際規格に基づき製造され、型式検定
    に合格した本質安全防爆構造については、ia又はibに区分されており、これらの区分は第4条第2項
    第1号のの記号に対応する防爆構造の種類と同じものとして取り扱うことができるものであること。
     なお、これらの区分は型式検定合格証の「防爆構造の種類」欄及び銘板により確認することがで
    きるものであること。
 (7)第4条第3項関係
    「厚生労働省労働基準局長が認める方法」とは、樹脂充てん防爆構造の電気機械器具にあっては
   JISC60079-18(爆発性雰囲気で使用する電気機械器具−第18部:樹脂充てん防爆構造“m”)の10に定
   める表示の方法、非点火防爆構造の電気機械器具にあってはJISC60079-15(爆発性雰囲気で使用する
   電気機械器具−第15部:タイプ“n”防爆構造)の35に定める表示の方法に適合するものであること。
 (8)第9条第2号関係
    「容器の内部における爆発による火炎が当該容器の外部に逸走するおそれがないもの」とは、新構
   造規格第7条及び第8条のスキ及びスキの奥行きに係る接合面が次のいずれかに該当するものであること。
   ア 当該接合面の表面の中心線平均粗さが6.3マイクロメートルを超えないもの
   イ 改正告示による改正前の電気機械器具防爆構造規格(以下「旧構造規格」という。)第9条第2号に
    適合しているもの
 (9)第27条関係
    本条の規定に適合する「沿面距離」及び「絶縁空間距離」とは、旧独立行政法人産業安全研究所が
   定める「工場電気設備防爆指針(ガス蒸気防爆 2006)(以下「新ガス蒸気防爆指針」という。)の
   2540の定めによるもの、又は旧構造規格第27条の規定に適合するものであること。
 (10)第33条第1号関係
    「端子箱の内部にじんあい、水等が容易に侵入しないもの」とは、安全増防爆構造の端子箱の接合
   面が次のいずれかに該当するものであること。
   ア 当該接合面の奥行きが10ミリメートル以上であり、当該接合面の表面の中心線平均粗さが6.3マ
    イクロメートル以下であり、かつ、当該接合面が常に十分な圧力で押しつけられているもの
   イ 当該端子箱が小型のものである場合においては、当該接合面の奥行きが6ミリメートル以上であ
    り、当該接合面の表面の中心線平均粗さが3.2マイクロメートル以下であり、かつ、当該接合面が
    常に十分な圧力で押しつけられているもの
   ウ 旧構造規格第33条第1号に適合しているもの
 (11)第43条第2項関係
    「故障」とは、電気機械器具の部品、複数の充電部分の分離状態、絶縁状態、又は部品間の接続
   に生じた不具合をいうものであること。
    本質安全防爆構造の電気機械器具は、生じた故障の数が二つの状態であってもガス若しくは蒸気に
   点火するおそれがないもの又は生じた故障の数が一つのみの状態であってもガス若しくは蒸気に点火
   するおそれがないものでなければならないこと。
    なお、新構造規格第2条において、前者は「特別危険箇所」においても使用できるものとされたが、
   後者は「特別危険箇所」では使用できないものとされたものであること。
 (12)第49条関係
    本条の規定に適合する「沿面距離」及び「絶縁空間距離」とは、新ガス蒸気防爆指針の2652に定め
   るもの、又は旧構造規格第49条の規定に適合するものであること。
 (13)第53条関係
    樹脂充てん防爆構造の電気機械器具は、生じた故障の数が二つの状態であってもガス又は蒸気に
   点火するおそれがないもの又は生じた故障の数が一つのみの状態であってもガス又は蒸気に点火する
   おそれがないものでなければならないこと。
    なお、新構造規格第2条において、前者は「特別危険箇所」においても使用できるものとされたが、
   後者は「特別危険箇所」では使用できないものとされたものであること。
 (14)第55条関係
   ア 適切な厚さを有する」とは、JISC60079-18の7.4に定める充てん樹脂の厚さに適合するものであ
    ること。
   イ 「吸水性がなく」とは、JISC60079-18の8.1に定める吸水試験に適合するものであること。
   ウ 「熱安定性を有する」とは、JISC60079-18の8.2.3に定める熱安定性試験に適合するものである
    こと。
 (15)第56条関係
    「発火するおそれがない」とは、樹脂充てん防爆構造の電気機械器具の最高表面温度(当該電気
   機械器具が仕様の範囲内の最も苛酷な条件の下で使用された場合に、周囲のガス又は蒸気に点火する
   おそれのある当該電気機械器具の各構成部分の表面が到達する温度のうち最も高い温度をいう。以下
   同じ。)が、ガス又は蒸気の最低発火温度より低いことをいうものであること。ただし、全表面積が
   10平方センチメートルを超えない電気機械器具の部品であって、当該部品の表面温度が次に定める値
   だけ当該電気機械器具の最高表面温度よりも高い温度であってもガス又は蒸気に点火するおそれがな
   いと認められる場合には、当該部品の表面温度はその温度の範囲内で当該電気機械器具の最高表面温
   度を超えることができるものであること。
   ア T1、T2及びT3 50度
   イ T4、T5及びT6 25度
    なお、「温度等級」とは、次の表の最高表面温度の範囲の欄に対応する温度等級をいうものである
   こと。
最高表面温度の範囲(単位 度) 温度等級
300を超え450以下 T1
200を超え300以下 T2
135を超え200以下 T3
100を超え135以下 T4
85を超え100以下 T5
85以下 T6
 (16)第57条関係
    「保護装置」は、JISC60079-18の6.2に定める保護デバイスに適合するものでなければならない
   こと。
 (17)第58条関係
    「ガス又は蒸気が電気機械器具に侵入しない構造」とは、JISC60079-18の7.6に定める外部配線
   接続部に適合するものであること。
 (18)第59条関係
    本条の規定に適合する「非点火防爆構造の電気機械器具」とは、JISC60079-15の4.2に定める規
   格に適合するものであること。
 (19)第60条関係
    「発火するおそれがない」とは、第56条のそれと同様の趣旨であること。
 (20)第61条関係
    「全閉構造」は、JISC60079-15の6.6に定める容器の保護等級に適合するものでなければならな
   いこと。
 (21)第62条関係
    「接触圧力が十分に維持されるもの」とは、JISC60079-15の14に定める接続端子部に適合するも
   のであること。
 (22)第63条関係
    「放電するおそれがない大きさ」とは、JISC60079-15の6.7に定める規格に適合するものである
   こと。
 (23)第64条関係
    本条の規定に適合する「外部から電気機械器具へ引き込む導線の引込み部」とは、JISC60079-15
   の16に定める容器の配線引込部に適合するものであること。
 (24)第66条関係
    「当該容器が内部に粉じんが容易に侵入しない構造」とは、次のいずれかに該当するものである
   こと。
   ア 粉じん防爆普通防じん構造の電気機械器具の容器の接合面の奥行きが10ミリメートル以上であり、
    当該接合面の表面の中心線平均粗さが6.3マイクロメートル以下であり、かつ、当該接合面が常に
    十分な圧力で押しつけられているもの
   イ 押しボタンスイッチ等小型の粉じん防爆普通防じん構造の電気機械器具の場合にあっては、その
    接合面の奥行きが6ミリメートル以上であり、当該接合面の表面の中心線平均粗さが3.2マイクロメ
    ートル以下であり、かつ、当該接合面が常に十分な圧力で押しつけられているもの
   ウ 旧構造規格第54条第1項又は第2項の規定に適合するもの
 (25)第74条関係
    「容器の内部に粉じんが容易に侵入しない構造のもの」とは、次のいずれかに該当するものであ
   ること。
   ア 粉じん防爆特殊防じん構造の電気機械器具の容器の接合面の奥行きが15ミリメートル以上であり、
    当該接合面の表面の中心線平均粗さが3.2マイクロメートル以下であり、かつ、当該接合面が常に
    十分な圧力で押しつけられているもの
   イ 旧構造規格第62条第1項ただし書の規定に適合するもの


 3 附則関係
   改正告示の適用日において既に型式検定に合格している防爆構造電気機械器具については、譲渡等の
  制限等に当たって改正告示の適用日以後も旧規格を適用することとしたこと。
 (1)譲渡制限について(労働安全衛生法(昭和47年法律第57号第42条、労働安全衛生規則第27条関係)
    防爆構造電気機械器具については、防爆構造規格を具備したものでなければ、譲渡し、貸与し、
   設置し、又は使用してはならないこととされているが、改正告示の適用日において、現に存する防爆
   構造電気機械器具であって、旧構造規格を具備したものについて、今後も譲渡し、貸与し、設置し、
   又は使用できるものであること。
 (2)型式検定について(労働安全衛生法第44条の3関係)
    改正告示の適用日前に現に型式検定に合格している防爆構造電気機械器具については、改正告示の
   適用日以降も旧構造規格に基づき更新検定を行うものであること。