電離放射線障害防止規則の一部を改正する省令

 労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)第二十七条第一項第五十九条第三項第六十六条第二
項第六十六条の三第六十六条の四第六十六条の六第百条第一項第百三条第一項及び第百十三条
の規定に基づき、電離放射線障害防止規則の一部を改正する省令を次のように定める。

   電離放射線障害防止規則の一部を改正する省令 

 電離放射線障害防止規則(昭和四十七年労働省令第四十一号)の一部を次のように改正する。
 目次中「第五十二条の八」を「第五十二条の九」に、「指定緊急作業従事者等」を「指定緊急作業等従
事者等」に、「提出」を「提出等」に改め、「第五十九条の二」の下に「・第五十九条の三」を加える。
 第七条の次に次の二条を加える。

  (特例緊急被ばく限度)
第七条の二 前条第一項の場合において、厚生労働大臣は、当該緊急作業に係る事故の状況その他の事情
 を勘案し、実効線量について同条第二項の規定によることが困難であると認めるときは、同項の規定に
 かかわらず、当該緊急作業に従事する間に受ける実効線量の限度の値(二百五十ミリシーベルトを超え
 ない範囲内に限る。以下「特例緊急被ばく限度」という。)を別に定めることができる。
2 前項の場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、厚生労働大臣は、直ちに、特例緊急被
 ばく限度を二百五十ミリシーベルトと定めるものとする。
 一 原子力災害対策特別措置法(平成十一年法律第百五十六号。次号及び次条第一項において「原災法」
  という。)第十条に規定する政令で定める事象のうち厚生労働大臣が定めるものが発生した場合
 二 原災法第十五条第一項各号に掲げる場合
3 厚生労働大臣は、前二項の規定により特例緊急被ばく限度を別に定めた場合には、当該特例緊急被ば
 く限度に係る緊急作業(以下「特例緊急作業」という。)に従事する者(次条において「特例緊急作業従
 事者」という。)が受けた線量、当該特例緊急作業に係る事故の収束のために必要となる作業の内容そ
 の他の事情を勘案し、これを変更し、かつ、できるだけ速やかにこれを廃止するものとする。
4 厚生労働大臣は、第一項又は第二項の規定により特例緊急被ばく限度を別に定めたときは、当該特例
 緊急作業及び当該特例緊急被ばく限度を告示しなければならない。これを変更し、又は廃止したときも
 同様とする。
第七条の三 事業者は、原災法第八条第三項に規定する原子力防災要員、原災法第九条第一項に規定する
 原子力防災管理者又は同条第三項に規定する副原子力防災管理者(第五十二条の九において「原子力防
 災要員等」という。)以外の者については、特例緊急作業に従事させてはならない。
2 事業者は、前条第一項又は第二項の規定により、特例緊急被ばく限度が定められたときは、第七条第
 二項(第一号に係る部分に限る。)の規定にかかわらず、特例緊急作業従事者について、同号に規定する
 限度を超えて放射線を受けさせることができる。この場合において、当該緊急作業に従事する間に受け
 る実効線量は、当該特例緊急被ばく限度を超えないようにしなければならない。
3 事業者は、特例緊急作業従事者について、当該特例緊急作業に係る事故の状況に応じ、放射線を受け
 ることをできるだけ少なくするように努めなければならない。
 第八条第四項中「三月以内(」の下に「緊急作業に従事する男性及び妊娠する可能性がないと診断され
た女性、」を加え、「及び」を「並びに」に改める。
 第九条第二項第一号中「女性」の下に「(次号又は第三号に掲げるものを除く。)」を加え、「(五年間
において、実効線量が一年間につき二十ミリシーベルトを超えたことのない者にあつては、三月ごと及び
一年ごとの合計)」を削り、同項中第四号を第六号とし、第三号を第五号とし、第二号を第四号とし、第
一号の次に次の二号を加える。
 二 男性又は妊娠する可能性がないと診断された女性(五年間において、実効線量が一年間につき二十
  ミリシーベルトを超えたことのないものに限り、次号に掲げるものを除く。)の実効線量の三月ごと
  及び一年ごとの合計
 三 男性又は妊娠する可能性がないと診断された女性(緊急作業に従事するものに限る。)の実効線量の
  一月ごと、一年ごと及び五年ごとの合計
 第四十一条の十四第一項中「規定する元方事業者」の下に、「(第五十九条の三において「元方事業者」
という。)」を加える。
 第六章の二中第五十二条の八の次に次の一条を加える。

  (特例緊急作業に係る特別の教育)
第五十二条の九 事業者は、特例緊急作業に係る業務に原子力防災要員等を就かせるときは、当該労働者
 に対し、次の科目について、特別の教育を行わなければならない。
 一 特例緊急作業の方法に関する知識
 二 特例緊急作業で使用する施設及び設備の構造及び取扱いの方法に関する知識
 三 電離放射線の生体に与える影響、健康管理の方法及び被ばく線量の管理の方法に関する知識
 四 関係法令
 五 特例緊急作業の方法
 六 特例緊急作業で使用する施設及び設備の取扱い
2 安衛則第三十七条及び第三十八条並びに前項に定めるほか、同項の特別の教育の実施について必要な
 事項は、厚生労働大臣が定める。
 第五十六条の見出しを削り、同条の前に見出しとして「(健康診断)」を付し、同条の次に次の二条を加
える。
第五十六条の二 事業者は、緊急作業に係る業務に従事する放射線業務従事者に対し、当該業務に配置替
 えの後一月以内ごとに一回、定期に、及び当該業務から他の業務に配置替えの際又は当該労働者が離職
 する際、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。
 一 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
 二 白血球数及び白血球百分率の検査
 三 赤血球数の検査及び血色素量又はヘマトクリット値の検査
 四 甲状腺刺激ホルモン、遊離トリヨードサイロニン及び遊離サイロキシンの検査
 五 白内障に関する眼の検査
 六 皮膚の検査
2 前項の健康診断のうち、定期に行わなければならないものについては、医師が必要でないと認めると
 きは、同項第二号から第六号までに掲げる項目の全部又は一部を省略することができる。
3 事業者は、第一項の健康診断の際に、当該労働者が前回の健康診断後に受けた線量(これを計算によ
 つても算出することができない場合には、これを推定するために必要な資料(その資料がない場合には、
 当該放射線を受けた状況を知るために必要な資料))を医師に示さなければならない。
第五十六条の三 緊急作業に係る業務に従事する放射線業務従事者については、当該労働者が直近に受け
 た前条第一項の健康診断のうち、次の各号に掲げるものは、それぞれ当該各号に掲げる健康診断とみな
 す。
 一 緊急作業に係る業務への配置替えの日前一月以内に行われたもの第五十六条第一項の配置替えの際
  の健康診断
 二 第五十六条第一項の定期の健康診断を行おうとする日前一月以内に行われたもの同項の定期の健康
  診断
 第五十七条中「前条第一項」を「第五十六条第一項又は第五十六条の二第一項」に、「次条及び第五十
九条において「電離放射線健康診断」という」を「以下この条において同じ」に改め、「基づき、」の下
に「第五十六条第一項の健康診断(次条及び第五十九条において「電離放射線健康診断」という。)にあつ
ては」を加え、「作成し、これを」を「、第五十六条の二第一項の健康診断(次条及び第五十九条におい
て「緊急時電離放射線健康診断」という。)にあつては緊急時電離放射線健康診断個人票(様式第一号の三)
を作成し、これらを」に改める。
 第五十七条の二に次の一項を加える。
2 緊急時電離放射線健康診断(離職する際に行わなければならないものを除く。)の結果に基づく法第六
 十六条の四の規定による医師からの意見聴取は、次に定めるところにより行わなければならない。
 一 緊急時電離放射線健康診断が行われた後(法第六十六条第五項ただし書の場合にあつては、当該労
  働者が健康診断の結果を証明する書面を事業者に提出した後)速やかに行うこと。
 二 聴取した医師の意見を緊急時電離放射線健康診断個人票に記載すること。
 第五十七条の三中「第五十六条第一項」の下に「又は第五十六条の二第一項」を加え、同条に次の一項
を加える。
2 前項の規定は、第五十六条の二第一項の健康診断(離職する際に行わなければならないものに限る。)
 を受けた労働者であつた者について準用する。
 第五十八条中「を行なつた」を「又は第五十六条の二第一項の健康診断を行つた」に改め、「遅滞なく」
の下に「、それぞれ」を、「(様式第二号)」の下に「又は緊急時電離放射線健康診断結果報告書(様式第
二号の二)」を加える。
 第五十九条中「電離放射線健康診断」の下に「又は緊急時電離放射線健康診断(離職する際に行わなけ
ればならないものを除く。)」を加える。
 第九章の章名を次のように改める。
   第九章 指定緊急作業等従事者等に係る記録等の提出等
 第五十九条の二の見出し中「指定緊急作業従事者等」を「指定緊急作業等従事者等」に改め、同条第一
項中「厚生労働大臣が指定する緊急作業」を「緊急作業(厚生労働大臣が指定するものに限る。)又は特例
緊急作業」に、「この条」を「この項」に、「指定緊急作業」」を「指定緊急作業等」」に改め、「労働
者(」の下に「次項及び」を加え、「指定緊急作業従事者等」を「指定緊急作業等従事者等」に、「が指
定緊急作業」を「が指定緊急作業等」に改め、同項第二号中「(様式第一号の二)」の下に「若しくは緊急
時電離放射線健康診断個人票(様式第一号の三)」を加え、同条第二項中「労働者の区分」を「労働者(指
定緊急作業等従事者等に限る。)の区分」に、「の線量」の下に「(次条において「線量」という。)」を
加え、「定める日」を「定める日まで」に改め、「をいう」の下に「。次条において同じ」を加え、同項
第一号及び第二号中「指定緊急作業」を「緊急作業」に改める。
 第九章中第五十九条の二の次に次の一条を加える。

  (緊急作業実施状況報告)
第五十九条の三 事業者(当該放射線業務を行う事業の仕事について元方事業者に該当する者がいる場合
 にあつては、当該元方事業者に限る。)は、次の各号に掲げる報告書を作成し、それぞれ当該各号に定
 める日までに、書面又は電磁的方法に係る記録媒体により厚生労働大臣に提出しなければならない。
 一 緊急作業に従事する労働者(元方事業者にあつては、法第十五条第一項に規定する関係請負人の労
  働者を含む。以下この号及び次号において同じ。)のうち、当該緊急作業で受けた外部被ばくによる
  線量が一年間につき五十ミリシーベルトを超えるものについて、その線量の区分ごとの人数が記載さ
  れた緊急作業実施状況報告書(外部線量)(様式第四号) 当該緊急作業を開始した日から起算して十五
  日を経過する日及びその日から十日を経過する日ごと(当該労働者が緊急作業に従事する間に限る。)
 二 緊急作業に従事する労働者について、その線量の区分ごとの人数が記載された緊急作業実施状況報
  告書(実効線量)(様式第五号) 毎月(当該緊急作業に係る事故が発生した月を除く。)末日(当該労働者
  が緊急作業に従事する間に限る。)
 第六十一条の二第二項中「電離放射線健康診断個人票」の下に「又は緊急時電離放射線健康診断個人票」
を加える。
 様式第一号の二の次に次の一様式を加える。
様式第1号の3(第57条関係)
 様式第二号中「事業者氏名」を「事業者職氏名」に改め、同様式の次に次の一様式を加える。
様式第2号の2(第58条関係)
 様式第三号から様式第五号までを次のように改める。
様式第3号(第59条の2関係)
様式第4号(第59条の3関係)
様式第5号(第59条の3関係)

   附 則
  (施行期日)
第一条 この省令は、平成二十八年四月一日から施行する。 
  (様式に関する経過措置)
第二条 この省令の施行の際現に提出され、又は交付されているこの省令による改正前の電離放射線障害
 防止規則(次条において「旧電離則」という。)に定める様式による申請書等は、この省令による改正後
 の電離放射線障害防止規則(以下「新電離則」という。)に定める相当様式による申請書等とみなす。
第三条 この省令の施行の際現に存する旧電離則に定める様式による申請書等の用紙は、当分の間、必要
 な改定をした上、使用することができる。
  (緊急作業実施状況報告に関する経過措置)
第四条 この省令の施行の際現に電離放射線障害防止規則第七条第一項に規定する緊急作業に労働者を従
 事させる事業者に対する新電離則第五十九条の三の規定の適用については、同条第一号中「当該緊急作
 業を開始した日から起算して十五日を経過する日」とあるのは「平成二十八年四月十五日」と、同条第
 二号中「当該緊急作業に係る事故が発生した月」とあるのは「平成二十八年四月」とする。
  (罰則の適用に関する経過措置)
第五条 この省令の施行の日前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
  (労働安全衛生規則の一部改正)
第六条 労働安全衛生規則(昭和四十七年労働省令第三十二号)の一部を次のように改正する。
  第三十六条第二十八号の四の次に次の一号を加える。
  二十八の五 電離則第七条の二第三項の特例緊急作業に係る業務
  第百条中「様式第六号」の下に「、様式第六号の二」を、「電離則様式第二号」の下に「及び様式第
 二号の二」を加え、「及び」を「並びに」に改める。
  (労働安全衛生法及びこれに基づく命令に係る登録及び指定に関する省令の一部改正)
第七条 労働安全衛生法及びこれに基づく命令に係る登録及び指定に関する省令(昭和四十七年労働省令
 第四十四号)の一部を次のように改正する。
  第九十六条中「)及び」を「)並びに」に、「(以下単に「電離放射線健康診断個人票」」を「及び緊
 急時電離放射線健康診断個人票(第九十八条第一項において「電離放射線健康診断個人票等」」に改める。
  第九十八条第一項中「電離放射線健康診断個人票」を「電離放射線健康診断個人票等」に改める。
  (労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則の一部改正)
第八条 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則(昭和六十一
 年労働省令第二十号)の一部を次のように改正する。
  第四十条第六項中「電離放射線障害防止規則(昭和四十七年労働省令第四十一号)様式第一号」を「電
 離放射線障害防止規則(昭和四十七年労働省令第四十一号)様式第一号の二若しくは様式第一号の三」に、
 同条第七項及び第八項中「電離放射線障害防止規則様式第一号」を「電離放射線障害防止規則様式第一
 号の二若しくは様式第一号の三」に改める。
  第四十一条第三項の表第四十八条の項の次に次のように加える。
第五十二条の二十一 労働者 労働者(派遣中の労働者を含む。)
  第四十三条第三項中「電離放射線障害防止規則第六十二条中「事業者」を「電離放射線障害防止規則
 第五十六条の二第一項、第五十七条の二第二項、第五十七条の三第二項及び第五十九条中「離職する際」
 とあるのは「離職する際(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律第
 四十四条第一項に規定する派遣中の労働者については、当該派遣中の労働者に係る同法第二条第一号に
 規定する労働者派遣の役務の提供を終了する際)」と、同令第六十二条中「事業者(除染則第二条第一項
 の事業者を除く。)」に、「含む。)及び」を「含み、除染則第二条第一項の事業者(同法第四十五条第
 三項の規定により派遣中の労働者を使用する事業者とみなされる者を含む。)を除く。)及び」に改める。
  (厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術
 の利用に関する省令の一部改正)
第九条 厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の
 技術の利用に関する省令(平成十七年厚生労働省令第四十四号)の一部を次のように改正する。
  別表第一表一電離放射線障害防止規則(昭和四十七年労働省令第四十一号)の項及び別表第二電離放射
 線障害防止規則の項中「電離放射線健康診断個人票」の下に「及び緊急時電離放射線健康診断個人票」
 を加える。
  (東日本大震災により生じた放射性物質により汚染された土壌等を除染するための業務等に係る電離放
 射線障害防止規則の一部改正)
第十条 東日本大震災により生じた放射性物質により汚染された土壌等を除染するための業務等に係る電
 離放射線障害防止規則(平成二十三年厚生労働省令第百五十二号)の一部を次のように改正する。
  第三十条中「第五十六条第一項」の下に「又は第五十六条の二第一項」を加える。





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