安全衛生情報センター
労働安全衛生規則の一部を改正する省令(令和7年厚生労働省令第113号。以下「改正省令」という。)及 び「労働安全衛生規則第594条の2第1項の規定に基づき皮膚若しくは眼に障害を与えるおそれ又は皮膚か ら吸収され、若しくは皮膚に侵入して、健康障害を生ずるおそれがあることが明らかな物として厚生労働 大臣が定めるもの」(令和7年厚生労働省告示第301号、以下「皮膚等障害告示」という。)については、令 和7年11月18日に公布及び告示され、令和8年1月1日から施行又は適用されることとされたところである。 これらの改正省令及び皮膚等障害告示の趣旨、内容等については、下記のとおりであるので、関係者へ の周知徹底を図るとともに、その運用に遺漏なきを期されたい。
第1 改正等の趣旨 労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。以下「則」という。)第577条の2第5項において、がん原 性がある物として厚生労働大臣が定めるもの(以下「がん原性物質」という。)を製造し、又は取り扱う 業務に従事する労働者に対し、医師又は歯科医師による健康診断を行ったときは、その結果の個人票を 30年間保存しなければならないことを定めている。また、則第577条の2第11項において、がん原性物質 を製造し、又は取り扱う業務に従事する労働者のばく露の状況等を記録し、当該記録を30年間保存しな ければならないことを定めている。これらの記録について、事業者が事業を廃止しようとするときは、 対象記録等を所轄労働基準監督署長に提出する規定を設けたものである。 また、則第594条の2第1項に規定する皮膚若しくは眼に障害を与えるおそれ又は皮膚から吸収され、 若しくは皮膚に侵入して、健康障害を生ずるおそれがあることが明らかな化学物質又は化学物質を含有 する製剤(以下「皮膚等障害化学物質等」という。)について、厚生労働大臣の定めるところにより規定 するとともに、皮膚等障害化学物質等は皮膚等障害告示で定めたものである。 なお、皮膚等障害告示で規定する皮膚等障害化学物質等のうち、皮膚から吸収され、又は皮膚に侵入 して、健康障害を生ずるおそれがあることが明らかな化学物質は、厚生労働省労働基準局長が定めるも のとされており、別途通知するところにより、労働基準局長が定める。 第2 改正の要点 1 改正省令関係 (1) 事業を廃止しようとするときのがん原性物質に係る対象記録等の所轄労働基準監督署長への提出 (則第577条の2の2関係) 則第577条の2第5項及び同条第11項に規定するがん原性物質に係る記録等に関して、事業者が事業 を廃止する場合の当該記録等の取扱いが規定されていないことから、事業を廃止しようとするときに 当該記録等を所轄労働基準監督署長に提出する規定を新たに設けたものであること。 (2) 皮膚等障害化学物質等を規定する告示(則第594条の2関係) 則第594条の2第1項で定める皮膚等障害化学物質等のうち皮膚刺激性有害物質及び皮膚吸収性有害 物質については、その定義を令和5年7月4日付け基発0704第1号「皮膚等障害化学物質等に該当する化 学物質について」により示していたところであるが、日本産業規格Z7252(GHSに基づく化学品の分類 方法)の附属書Bに定める方法により国が行う化学物質の有害性の分類の結果(以下「国が行うGHS分類 の結果」という。)に基づく皮膚刺激性有害物質については、国が行うGHS分類の結果の公表時に即時、 皮膚等障害化学物質等として関係規定が適用されることから、事業者がSDSの作成やリスクアセスメ ント等を行うための十分な準備期間を設けるため、有害性の分類がなされた時期を含め、厚生労働大 臣が定めることとしたものであること。 (3) 施行期日(改正省令附則第1項関係) 改正省令は、令和8年1月1日から施行すること。 2 皮膚等障害告示関係 (1) 告示の概要 則第594条の2第1項の規定に基づき皮膚若しくは眼に障害を与えるおそれ又は皮膚から吸収され、 若しくは皮膚に侵入して、健康障害を生ずるおそれがあることが明らかな物(鉛、1,3-プロパンスル トン、労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号。以下「令」という。)第16条第1項各号に掲げる 物(石綿等(令第6条第23号に規定する石綿等をいう。以下同じ。)を除く。)、令別表第3に掲げる物、 令別表第4第6号に規定する鉛化合物及び令別表第5第1号に規定する四アルキル鉛以外の物に限る。) として厚生労働大臣が定めるものとして、次のアからウまでに掲げる事項を定めたこと。 ア 皮膚刺激性有害物質(皮膚刺激性有害物質は、皮膚又は眼に障害を与えるおそれがあることが明 らかな化学物質をいう。) イ 皮膚吸収性有害物質(皮膚吸収性有害物質は、皮膚から吸収され、又は皮膚に侵入して、健康障 害を生ずるおそれがあることが明らかな化学物質であって、厚生労働省労働基準局長が定めるもの をいう。) ウ 製剤その他の物(ア又はイの物質を含有する製剤その他の物をいう。) (2) 施行日 令和8年1月1日から適用する。 第3 細部事項 1 事業を廃止しようとするときのがん原性物質に係る対象記録等の所轄労働基準監督署長への提出(則 第577条の2の2関係) 本規定の「事業を廃止しようとするとき」とは、すべての事業の廃止により事業者が会社等を解散し ようとする場合であり、がん原性物質を取り扱う事業を廃止したとしても会社等が存続する場合は、当 該会社等の事業者が引き続きがん原性物質に係る対象記録等の保存の義務を負うことから、本規定は適 用されないこと。 2 皮膚等障害物質等から除外する物質について(皮膚等障害告示関連) 皮膚等障害化学物質について、鉛、1,3-プロパンスルトン、令第16条第1項各号に掲げる物(石綿等 を除く。)、令別表第3に掲げる物、令別表第4第6号に規定する鉛化合物及び令別表第5第1号に規定する 四アルキル鉛以外の物に限るとしているのは、特定化学物質障害予防規則(昭和47年労働省令第39号)等 の特別規則において、皮膚又は眼の障害を防止するために不浸透性の保護衣等の使用が義務付けられて いる物質を除外する趣旨であること。 3 国が行うGHS分類の結果の日付による限定について(皮膚等障害告示関連) 第1号イで定める皮膚刺激性有害物質の対象については、国が行うGHS分類の結果について、告示で定 める日までに特定の有害性区分に該当すると分類されたものに限定することにより、事業者がSDSの作 成等を行うための十分な準備期間を与える趣旨であること。当該告示で定める日については、今後、毎 年度国が行うGHS分類の結果の公表に併せて皮膚等障害告示を改正することにより、皮膚等障害化学物 質等として追加等を行う予定であり、その場合の皮膚等障害化学物質等の追加に係る適用日は、国が行 うGHS分類の結果の公表の約2年後(ただし、皮膚等障害化学物質等の削除は即日適用)とする予定である こと。 なお、皮膚等障害告示の改正により皮膚等障害化学物質等に該当することとなる物について、改正が 適用されるまでの間は、安衛則第594条の3第1項に基づき、それを製造し、又は取り扱う業務に労働者 を従事させるときは、当該労働者に適切な保護具を使用させるよう努めなければならないとされている ことに留意すること。 第4 その他 (1) 皮膚等障害化学物質等について 皮膚等障害化学物質等については、「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令等の施行について」 (令和4年5月31日付け基発0531第9号)の第4の8(2)において、「本規定の「皮膚等障害化学物質等」 には、国が公表するGHS分類の結果及び譲渡提供者より提供されたSDS等に記載された有害性情報のう ち「皮膚腐食性・刺激性」、「眼に対する重篤な損傷性・眼刺激性」及び「呼吸器感作性又は皮膚感 作性」のいずれかで区分1に分類されているもの及び別途示すものが含まれること。」としていたが、 今後は第2の1(2)によること。 (2) 皮膚障害等防止用保護具の備付けが必要な業務について 則第594条に規定する皮膚障害等防止用保護具の備付けが必要な業務には、皮膚等障害化学物質等 を製造し、又は取り扱う業務が当然に含まれること。