安全衛生情報センター
労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(令和7年法律第33号。以下「改正法」という。) については、令和7年5月14日に公布され、令和8年4月1日から改正法の一部が施行されることに伴い、労 働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係省令の整備等に関する省 令(令和8年厚生労働省令第3号。以下「整備省令」という。)が令和8年1月20日に公布され、労働安全衛生 規則第34条の2の6の2の規定に基づきリスクアセスメント及びその結果に基づく措置の実施に支障を生じ ないものとして厚生労働大臣が定めるもの(令和8年2月20日厚生労働大臣告示第42号。以下「告示」とい う。)及び通知対象物に係る代替化学名等の通知に関する指針(令和8年2月20日通知対象物に係る代替化学 名等の通知に関する指針公示第1号。以下「指針」という。(別添参照))が令和8年2月20日にそれぞれ告示 等され、いずれも令和8年4月1日に施行又は適用される。 ついては、整備省令、告示及び指針のうち、代替化学名等関係部分について、関係者への周知徹底を図 るとともに、下記の事項に留意して、その運用に遺漏のないようにされたい。
第1 改正の要点 T 整備省令関係 1 改正法による改正後の労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「法」という。)第57条の2第1項 に規定する通知対象物を譲渡し、又は提供する場合に相手方に通知しなければならない事項に、法第 57条の2第3項及び第6項の規定に基づき代替化学名等の通知を行う場合の通知対象物を譲渡し、又は 提供する者の緊急連絡先を追加したこと。 2 法第57条の2第3項の厚生労働省令で定める化学物質は、リスクアセスメント及びその結果に基づく 措置の実施に支障を生じないものとして厚生労働大臣が定めるものと定めたこと。 3 法第57条の2第3項の厚生労働省令で定める事項は、代替化学名等により通知しようとする成分に関 する「人体に対する作用」(以下「代替有害性情報」という。)と定めたこと。また、代替有害性情報 を通知することをもって当該成分の情報の通知に代えることができる要件を定めたこと。 4 法第57条の2第4項に規定する代替化学名等通知者が代替化学名等を通知したときに記録すべき事項 を規定し、これを5年間保存することを義務付けたこと。また、代替化学名等通知者が事業を廃止す る時には、当該記録を所轄労働基準監督署長に引き渡すことを義務付けたこと。 5 法第57条の2第5項に規定する代替化学名等通知者が、医師の求めに応じて、当該通知対象物の成分 の情報を当該医師に開示しなければならない医師の行為及び当該情報の開示方法を定めたこと。 6 法第57条の2第8項に規定する指針等の公表については、官報掲載ではなく、インターネットの利用 その他の適切な方法により公示するものとしたこと。 U 告示及び指針関係 1 告示関係 整備省令による改正後の則第34条の2の6の2の規定に基づき、リスクアセスメント及びその結果に 基づく措置の実施に支障を生じないものとして厚生労働大臣が定めるものとして、物質の有害性及び 濃度の要件を定めたこと。 2 指針関係 通知対象物に係る成分の情報の通知について、労働者の安全衛生の確保を前提としつつ、営業秘密 の適切な保護を図る観点から、代替化学名等の設定及び通知に関する基本的な考え方及び実務上の留 意事項を示したものであること。具体的には、法第57条の2第3項に基づく代替化学名等の設定及び通 知並びに同条第4項に基づく記録・保存、同条第5項及び第6項に基づく医師等への情報開示その他関 係規定の適切かつ有効な実施を図るために必要な事項を定めるものであること。 V 施行・適用日 1 改正省令は令和8年4月1日から施行すること。告示及び指針は、令和8年4月1日から適用すること。 第2 細部事項 T 整備省令関係 1 通知事項の拡充(則第34条の2の4関係) (1) 法第57条の2第3項において、成分の情報が営業秘密に該当する場合には、その旨を譲渡し、又は 提供する相手方にあらかじめ明示することとされていることから、代替化学名等の通知を行う場合 には、当該成分の情報ごとに「営業秘密」であることを明示しなければならないこと。 (2) 本条第1号の緊急連絡先については、医師からの照会に対して直ちに回答可能な緊急連絡先を記 載すること。なお、当該緊急対応は、事業者自らが行うほか、24時間緊急対応できるサービスを提 供する事業者への委託も可能であるが、その場合にも対応の責任は事業者が負うものであること。 2 代替有害性情報の取扱い(則第34条の2の6の3関係) (1) 本条は、代替有害性情報の通知が認められる物質を限定するため、代替化学名に該当する構造を 有する則第34条の2の6の2に規定する化学物質の種類が少ない等の理由により、代替化学名により 成分の情報が特定されるおそれが高い場合に限り、成分の情報の通知を代替有害性情報の通知に代 替できることを規定したこと。 (2) 代替有害性情報の通知をもって法第57条の2第1項の規定に基づく通知に代えることと事業者が判 断する場合には、その判断の根拠が記録されている必要があること。 4 通知対象物の成分に関する情報の開示(則第34条の2の6の6関係) (1) 本条第1項で想定している医師による診断、治療のために照会がなされる場合は緊急事態であり、 迅速な診断、治療のために必要であることから、秘密保持契約等を求めることなく、医師又は医師 の指示を受けた者(以下「医師等」という。)からの求めに対して、直ちに情報を開示することを規 定したものであること。 (2) 本条第2項で想定している医師による労働者の健康管理のために照会がなされる場合は緊急事態 ではないことから、書面又は電磁的記録により、秘密保全を前提に、目的に必要な範囲で速やかに 情報を開示することを規定したものであること。 U 告示及び指針関係 1 告示関係 (1) 対象物質の範囲 本告示は、法第57条の2第3項に基づく代替化学名等の通知を行うことができる化学物質の範囲を、 限定的に定めるものであること。また、法第57条の2第1項に規定する通知対象物のうち、本告示で定 める要件に該当しない化学物質については、代替化学名等の通知は認められないこと。 (2) 対象物質の判断に当たっての留意事項 ① 本告示第2号の規定に関しては、国が行うGHS分類及び事業者が行うGHS分類のいずれのGHS分類 においても、同号で定める要件を満たす必要があること。 ② 本告示第3号の規定に関しては、急性毒性については、濃度限界は定められていないため、適 用がないこと。 (3) 代替化学名等を用いることができる化学物質の指定(則第34条の2の6の2関係) 厚生労働省告示で規定する物質について、具体の物質のリストは、厚生労働省ホームページで公 表予定であること。 2 指針関係 (1) 趣旨 本指針は、代替化学名等の通知に関する運用は、企業の営業秘密情報の保持に配慮されつつも、リ スクアセスメントの実施及び必要な措置の実施に支障が生じないよう、危険性及び有害性等の情報伝 達を確保する観点から運用されるべきものであること。従って、告示に該当する場合であっても、成 分の情報が営業秘密に該当しない場合には、代替化学名等の使用は認められないこと。 (2) 代替化学名の命名方法 第5の代替化学名等による通知を行う場合の記載方法等に関連して、代替化学名等の具体的な記載 方法に関するマニュアルを別途発出予定であること。