労働基準法施行規則の一部を改正する省令等の公布等について

基発0119第9号
令和4年1月19日
都道府県労働局長 殿
厚生労働省労働基準局長

労働基準法施行規則の一部を改正する省令等の公布等について

 「労働基準法施行規則の一部を改正する省令」(令和4年厚生労働省令第5号)「医療法第128条の規定
により読み替えて適用する労働基準法第141条第2項の厚生労働省令で定める時間等を定める省令」(令和4
年厚生労働省令第6号)及び「労働基準法施行規則第六十九条の三第二項第二号の規定に基づき厚生労働大
臣が定める要件」(令和4年厚生労働省告示第6号)が本日公布・告示されたところである。
 これらは、医業に従事する医師に関する時間外・休日労働の上限時間等について定めたものであり、そ
の主たる内容は下記のとおりであるので、貴職におかれては、法の円滑な施行に万全を期すため、所要の
準備に努められたい。
第1 労働基準法施行規則の一部を改正する省令
 1 特定医師(労働基準法施行規則(昭和22年厚生省令第23号。以下「則」という。)第69条の2関係)
   労働基準法(以下「法」という。)第141条第1項の厚生労働省令で定める者は、病院若しくは診療所
  において勤務する医師(医療を受ける者に対する診療を直接の目的とする業務を行わない者を除く。)
  又は介護老人保健施設若しくは介護医療院において勤務する医師(以下「特定医師」という。)をいう
  ものとしたこと。
 2 特定医師に関する法第36条第1項の協定(則第69条の3第2項関係)
   法第141条第1項の場合において、法第36条第1項の協定に、厚生労働省令で定める事項として、則
  第69条の3第1項の規定により読み替えて適用する則第17条第1項各号に掲げる事項のほか、次に掲げ
  る事項を定めるものとしたこと。
  (1) 対象期間における1日、1箇月及び1年のそれぞれの期間について労働時間を延長して労働させる
    ことができる時間又は労働させることができる休日の日数
  (2) 病院若しくは診療所の開設者が当該病院若しくは当該診療所を管理させることとした者又は介
    護老人保健施設若しくは介護医療院の開設者が当該介護老人保健施設若しくは当該介護医療院を
    管理させることとした者(以下「管理者」という。)に、1箇月について労働時間を延長して労働さ
    せ、及び休日において労働させる時間が100時間以上となることが見込まれる特定医師に対して厚
    生労働大臣が定める要件に該当する面接指導を行わせること
  (3) 管理者に、第1の2の(2)の規定による面接指導(面接指導の対象となる特定医師の希望により、
    当該管理者の指定した医師以外の医師が行った面接指導であって、当該管理者がその結果を証明
    する書面の提出を受けたものを含む。)の結果に基づき、当該面接指導を受けた特定医師の健康を
    保持するために必要な措置について、当該面接指導が行われた後(当該管理者の指定した医師以外
    の医師が当該面接指導を行った場合にあっては、当該管理者がその結果を証明する書面の提出を
    受けた後)、遅滞なく、当該面接指導を行った医師の意見を聴かせること
  (4) 管理者に、第1の2の(2)の規定による面接指導を行った医師の意見を勘案し、その必要があると
    認めるときは、当該面接指導を受けた特定医師の実情を考慮して、遅滞なく、労働時間の短縮、
    宿直の回数の減少その他の適切な措置を講じさせること
  (5) 管理者に、医療法第108条第6項の規定により、1箇月について労働時間を延長して労働させ、及
    び休日において労働させる時間が特に長時間である特定医師に対して労働時間の短縮のために必
    要な措置を講じさせること
 3 特定医師に関する限度時間(則第69条の3第5項関係)
   法第141条第1項(医療法第128条の規定により適用する場合を含む。)の規定により読み替えて適用
  する法第36条第3項の厚生労働省令で定める時間は、1箇月について45時間及び1年について360時間
  (法第32条の4第1項第2号の対象期間として3箇月を超える期間を定めて同条の規定により労働させる
  場合にあっては、1箇月について42時間及び1年について320時間)としたこと。
 4 時間外・休日労働の上限時間(則第69条の4及び第69条の5関係)
  (1) 法第141条第2項の厚生労働省令で定める時間は、労働時間を延長して労働させ、及び休日にお
    いて労働させることができる時間について、1箇月について100時間未満及び1年について960時間
    としたこと。ただし、法第36条第1項の協定に第1の2の(2)から(4)までに規定する事項を定めた
    場合にあっては、1年について960時間としたこと。
  (2) 法第141条第3項の厚生労働省令で定める時間は、労働時間を延長して労働させ、及び休日にお
    いて労働させる時間について、1箇月について100時間未満及び1年について960時間としたこと。
    ただし、第1の2の(の面接指導が行われ、かつ、第1の2の(4)の措置が講じられた特定医師につい
    ては1年について960時間としたこと。
 5 施行期日等(附則第1条及び第2条等関係)
  (1) この省令は、令和6年4月1日から施行するものとしたこと。
  (2) 法第36条第1項の協定の届出について、必要な経過措置を定めることとしたこと。
  (3) その他所要の改正を行うものとしたこと。

第2 医療法第128条の規定により読み替えて適用する労働基準法第141条第2項の厚生労働省令で定める
  時間等を定める省令
 1 時間外・休日労働の上限時間(第1条及び第2条関係)
  (1) 医療法第128条の規定により読み替えて適用する法第141条第2項の厚生労働省令で定める時間
    は、次のア又はイに掲げる特定医師(以下「BC水準適用医師」という。)の区分に応じ、それぞれ
    ア又はイに定める時間としたこと。
    ア 医療法第113条第1項の規定に基づき特定地域医療提供機関として指定されている病院又は診療
     所(以下「特定地域医療提供機関」という。)、同法第119条第1項の規定に基づき技能向上集中研
     修機関として指定されている病院又は診療所(以下「技能向上集中研修機関」という。)又は同法
     第120条第1項の規定に基づき特定高度技能研修機関として指定されている病院又は診療所(以下
     「特定高度技能研修機関」という。)において当該指定に係る業務に従事するBC水準適用医師
      労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させることができる時間について、1箇
     月について100時間未満及び1年について1,860時間。ただし、法第36条第1項の協定に第2の2の
     (2)から(4)までに規定する事項を定めた場合にあっては、1年について1,860時間。
    イ 医療法第118条第1項の規定に基づき連携型特定地域医療提供機関として指定されている病院又
     は診療所(以下「連携型特定地域医療提供機関」という。)から他の病院又は診療所に派遣される
     BC水準適用医師(同項に規定する派遣に係るものに限る。)
      労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させることができる時間について、1箇
     月について100時間未満及び1年について960時間。ただし、法第36条第1項の協定に第2の2の(2)
     から(4)までに規定する事項を定めた場合にあっては、1年について960時間。
  (2) 医療法第128条の規定により読み替えて適用する法第141条第3項の厚生労働省令で定める時間
    は、労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させる時間について、1箇月について100
    時間未満及び1年について1860時間としたこと。ただし、第2の2の(2)の面接指導が行われ、かつ、
    第2の2の(4)の措置が講じられたBC水準適用医師については1年について1860時間としたこと。
 2 特定地域医療提供機関、連携型特定地域医療提供機関、技能向上集中研修機関及び特定高度技能研
  修機関における法第36条第1項の協定(第3条関係)
   特定地域医療提供機関、連携型特定地域医療提供機関、技能向上集中研修機関及び特定高度技能研
  修機関(以下「特定労務管理対象機関」という。)において法第36条第1項の協定をする場合には、法
  第36条第2項第5号の厚生労働省令で定める事項として、則第69条の3第1項の規定により読み替えて適
  用する則第17条第1項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を定めるものとしたこと。
  (1) 対象期間における1日、1箇月及び1年のそれぞれの期間について労働時間を延長して労働させる
    ことができる時間又は労働させることができる休日の日数
  (2) 管理者に、1箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させる時間が100
    時間以上となることが見込まれるBC水準適用医師に対して厚生労働大臣が定める要件に該当する
    面接指導を行わせること
  (3) 管理者に、第2の2の(2)の規定による面接指導(面接指導の対象となるBC水準適用医師の希望に
    より、当該管理者の指定した医師以外の医師が行った面接指導であって、当該管理者がその結果
    を証明する書面の提出を受けたものを含む。)の結果に基づき、当該面接指導を受けたBC水準適用
    医師の健康を保持するために必要な措置について、当該面接指導が行われた後(当該管理者の指定
    した医師以外の医師が当該面接指導を行った場合にあっては、当該管理者がその結果を証明する書
    面の提出を受けた後)、遅滞なく、当該面接指導を行った医師の意見を聴かせること
  (4) 管理者に、第2の2の(2)の規定による面接指導を行った医師の意見を勘案し、その必要があると
    認めるときは、当該面接指導を受けたBC水準適用医師の実情を考慮して、遅滞なく、労働時間の
    短縮、宿直の回数の減少その他の適切な措置を講じさせること
  (5) 管理者に、医療法第108条第6項の規定により、1箇月について労働時間を延長して労働させ、及
    び休日において労働させる時間が特に長時間であるBC水準適用医師に対して労働時間の短縮のた
    めに必要な措置を講じさせること
  (6) 管理者に、医療法第123条第1項及び第2項の規定により、休息時間を確保させること
 3 施行期日等附則第1条及び第2条等関係
  (1) 施行期日
     この省令は、令和6年4月1日から施行するものとしたこと。
  (2) その他所要の規定の整備を行うものとしたこと。
  (3) 検討規定
     第2の1(技能向上集中研修機関において当該技能向上集中研修機関が受けた指定に係る業務に従
    事するBC水準適用医師及び特定高度技能研修機関において当該特定高度技能研修機関が受けた指
    定に係る業務に従事するBC水準適用医師に係る部分を除く。)の時間については、令和18年3月31
    日を目途に当該時間を第1の4の時間とすることを目標として、この省令の施行後3年ごとに、BC水
    準適用医師の労働時間の動向その他の状況を勘案して必要な見直しを行うものとしたこと。

第3 労働基準法施行規則第六十九条の三第二項第二号の規定に基づき厚生労働大臣が定める要件
 1 第1の2の(2)、第2の2の(2)の面接指導の要件
  (1) 管理者が、事前に次に掲げる事項を確認した上で、1箇月について労働時間を延長して労働させ、
    及び休日において労働させる時間(以下「時間外・休日労働時間」という。)が100時間に達するま
    での間に行われるものであることとしたこと。ただし、特定医師のうち、特定労務管理対象機関
    において勤務するBC水準適用医師以外の医師については、疲労の蓄積が認められない場合は、時
    間外・休日労働時間が100時間に達するまでの間又は100時間以上となった後に遅滞なく行われる
    ものであることとしたこと。
    ア 時間外・休日労働時間が100時間以上となることが見込まれる者(以下「面接指導対象医師」
     という。)の勤務の状況
    イ 当該面接指導対象医師の睡眠の状況
    ウ 当該面接指導対象医師の疲労の蓄積の状況
    エ イ及びウに掲げるもののほか、当該面接指導対象医師の心身の状況
    オ 面接指導を受ける意思の有無
  (2) 医療法第108条第1項に規定する面接指導実施医師(以下「面接指導実施医師」という。)により
    行われるものであることとしたこと。
  (3) 当該面接指導を行う面接指導実施医師が、管理者から、面接指導対象医師の労働時間に関する
    情報その他の面接指導を適切に行うために必要な情報として次に掲げるものの提供を受けている
    こととしたこと。ただし、アに掲げる情報については、当該面接指導対象医師の時間外・休日労
    働時間が100時間以上となることが見込まれることの確認を行った後速やかに、イに掲げる情報に
    ついては、当該面接指導実施医師から当該情報の提供を求められた後速やかに、それぞれ提供さ
    れなければならないものとしたこと。
    ア 当該面接指導対象医師の氏名及び当該面接指導対象医師に係る第3の1の(1)のアからオまでに
     掲げる事項に関する情報
    イ アに掲げるもののほか、当該面接指導対象医師の業務に関する情報であって、当該面接指導
     実施医師が当該面接指導対象医師の面接指導を適切に行うために必要と認めるもの
  (4) 当該面接指導実施医師が次に掲げる事項について確認を行うものとしたこと。
    ア 当該面接指導対象医師の勤務の状況
    イ 当該面接指導対象医師の睡眠の状況
    ウ 当該面接指導対象医師の疲労の蓄積の状況
    エ イ及びウに掲げるもののほか、当該面接指導対象医師の心身の状況
 2 適用期日
   この告示は、令和6年4月1日から適用するものとしたこと。



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