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工夫・改善事例

強制排気式サンプリングボックス

業種

石油製品・石炭製品製造業

動機

重質減圧流出油を高温高圧で水素化脱硫し低硫黄重油に精製するプラントにおいては、重油中に含まれる硫化水素とアンモニアが反応して固形物をつくり、これがプラント配管を閉塞したり、あるいは腐食の原因となったりして、重要な管理問題となる。

対策として、水を注入し、硫化水素とアンモニアの含有量を管理して品質を維持している。硫化水素とアンモニアの含有量は、プラントの高圧分離槽のドレンを定期敵に採取し分析する方法を取っているが、ドレンに含まれる高濃度(約10,000ppm)の硫化水素が資料採取する時に拡散し、危険な作業環境となる。

このため、サンプリング者は呼吸用保護具を着用する。

サンプリングは、月当たり4〜7回ぐらい、であり1回のサンプリングに要する時間は、数分程度と短い。しかし、高濃度の硫化水素が拡散するため、周辺で作業する作業者の危険性や公害防止上のトラブル対策のほか、サンプリング作業者自身、呼吸用保護具の整備・点検や装着脱に要する時間等を合わせると、サンプリング作業時間は数倍になるため、この作業を嫌がり管理がおろそかになるなどの問題があった。この問題解決には、サンプリング地点近傍における硫化水素濃度10ppm以下にする必要があった。

内容

  1. ① サンプリング時のドレン周辺の硫化水素の拡散状況を調査した結果、ノズル口近くで10,000ppmあり、人体への許容濃度をはるかにオーバーした致死量であった。
  2. ② 改善は、整備面、サンプリング方法、プラントの運転等から検討したが、サンプリングノズルの改造が最も効果的であることが分かった。
  3. ③ サンプリング点を密閉することと、ドレンの液温を従来の60℃から20℃まで低下させた。
     これらの改善により、硫化水素の濃度は大きく減少し、約60ppmぐらいになった。そこで強制排気のためエゼクターを取り付け、さらに、サンプリングボックスの通気を考え改善した。
  4. ④ 資料採取作業前にエゼクターを駆動させプラントエアーのバルブを開ける。次にサンプルラインをパージした後、サンプルラインのバルブおよびドレンコックを締め、ガラス窓を開けてサンプルを採取する。サンプルの採取が終われば、プラントエアーバルブは閉じ、ドレンコック弁は開け、ボックス内のドレンを用水再生設備に移す。

効果

サンプル採取口の硫化水素の濃度は2〜5ppmまで下げることができた。このため現在では、呼吸用保護具の装着なしで作業するようになった。また、近傍で作業する作業者の苦情もなくなった。しかし、サンプリングボックスの能力維持状況を管理するため、随時ガス検知器にて硫化水素の濃度を測定するようにしている。

期間

平成2年10月〜平成3年3月

費用

約10万円/台

特許・実用新案申請の有無

無し

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