派遣労働者に係る労働条件及び安全衛生の確保について
改正履歴


                                        基発第0331010号
                                        平成21年3月31日

都道府県労働局長 殿

                                    厚生労働省労働基準局長

           派遣労働者に係る労働条件及び安全衛生の確保について

 派遣労働者の労働条件及び安全衛生の確保については、これまでも派遣元事業主及び派遣先事業主の双
方に対して、その責任区分に対応した労働基準法(以下「労基法」という。)、労働安全衛生法(以下「安
衛法」という。)等の遵守徹底を図ってきたところであるが、依然として法定労働条件の履行確保上の問
題がみられるほか、派遣労働者の数が増加する中で派遣労働者に係る労働災害が近年増加している。
 また、今般、「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」(平成11年労働省告示第137号。以下「派遣
元指針」という。)及び「派遣先が講ずべき措置に関する指針」(平成11年労働省告示第138号。以下「派
遣先指針」という。)が改正されたところである。
 このため、派遣労働の実態並びに改正後の派遣元指針及び派遣先指針を踏まえ、派遣労働者の労働条件
及び安全衛生の確保に当たり派遣元事業主及び派遣先事業主が各自、又は両者が連携して実施すべき重点
事項等について、下記のとおり取りまとめたので、職業安定行政の需給調整部署とも連携を図りつつ、監
督指導、個別指導、集団指導等によりこの内容を徹底し、派遣労働者の労働条件及び安全衛生の確保に遺
憾なきを期されたい。

                       記

第1  派遣労働者の労働条件及び安全衛生の確保に係る基本的な考え方
    派遣労働者にも当然に労基法安衛法等の労働基準関係法令は適用され、原則として派遣労働者と
  労働契約関係にある派遣元事業主がその責任を負うものであるが、派遣労働者の危険又は健康障害を
  防止するための措置など労働者派遣の実態から派遣元事業主に責任を問いえない事項、派遣労働者の
  保護の実効を期する上から派遣先事業主に責任を負わせることが適切な事項については、労働者派遣
  事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(以下「労働者派遣法」とい
  う。)第3章第4節に定める労基法等の適用に関する特例等(以下「特例」という。)によって派遣先事
  業主に責任を負わせることとし、派遣元事業主と派遣先事業主との間で適切に責任を区分して派遣労
  働者の保護を図っているところである。
   しかしながら、この特例についていまだ十分に理解がなされていないことや派遣元事業主と派遣先
  事業主との連携が十分に図られていないことなどから、労働時間管理が適正になされず割増賃金が支
  払われない、機械等の安全措置が講じられていない等の問題がみられるほか、特例が適用されない事
  項についても、賃金の不適正な控除、就業規則の未作成、安全衛生管理体制の未整備等の問題が認め
  られる。
   派遣労働者の労働条件及び安全衛生の確保に当たっては、派遣元事業主及び派遣先事業主が、自ら
  の責任を十分に理解しそれぞれの義務を果たすとともに、労働者派遣契約の相手方の責任についても
  互いに理解し、その上で適切な連携を図ることが重要となるものである。特に、派遣労働者の安全衛
  生を確保するためには、派遣先事業主が派遣労働者の危険又は健康障害を防止するための措置を現場
  の状況に即し適切に講ずることが重要である。
   このため、派遣労働の実態等を踏まえ、派遣労働者の労働条件及び安全衛生の確保に当たり派遣元
  事業主及び派遣先事業主が各自、又は両者が連携して実施すべき重点事項等について取りまとめたも
  のであり、労働基準行政としては、派遣元事業主又は派遣先事業主に対し、これらの事項を中心にそ
  の責任に応じて適切に派遣労働者の労働条件及び安全衛生の確保を図るべきことを指導することとす
  るものであること。

第2  派遣労働者の労働条件の確保に係る重点事項
 1  派遣元の使用者が実施すべき重点事項
    派遣元の使用者は、自らが労働契約を締結しており、労基法等の適用についても原則として派遣元
  の使用者が責任を負うことを踏まえ、労働条件の枠組みを確立し、派遣労働者の労働条件の確保を図
  る必要があること。
 (1) 契約期間(労基法第14条、労働契約法第17条第2項)
   派遣元の使用者は、労基法第14条に基づく「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」
  (平成15年厚生労働省告示第357号。以下「雇止めに関する基準」という。)に基づき、有期労働契約
  を1回以上更新し、かつ、雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している派遣労働者との有期
  労働契約を更新しようとする場合には、当該契約の実態及び当該労働者の希望に応じて、契約期間を
  できる限り長くするよう努めなければならないこと。
   また、有期労働契約により派遣労働者を使用する場合には、労働契約法第17条第2項により、その
  労働契約により労働者を使用する目的に照らして、必要以上に短い期間を定めることにより、その労
  働契約を反復して更新することのないよう配慮しなければならないこと。
 (2) 労働条件の明示(労基法第15条)
   派遣元の使用者は、派遣労働者と労働契約を締結するに際し、賃金、労働時間、労働契約の期間に
  関する事項(労働契約の期間の定めの有無及び定めがある場合にはその期間)を始めとした労働条件の
  明示を確実に行うこと。
   なお、この労働条件の明示は、労働者派遣法第34条第1項に定める就業条件の明示と併せ行って差
  し支えないが、それぞれの明示すべき内容は異なる部分もあることから、就業条件の明示のみをもっ
  て労働条件の明示に代えることはできないこと。
   また、派遣労働者と有期労働契約を締結する場合には、雇止めに関する基準に基づく更新の有無等
  の明示も行うこと。
 (3) 賃金の支払
   ア 賃金の控除(労基法第24条)
   法令に別段の定めがある場合を除き、賃金の一部を控除して支払うためには、労使協定を締結する
  必要があること。
   ただし、この労使協定を締結していたとしても、そもそも使途が不明であるもの、一部の使途は明
  らかであるが控除額の合計が実際に必要な費用に比して均衡を欠くもの等、事理明白でないものにつ
  いては、これを控除した場合には労基法第24条違反となること。
   イ 最低賃金(最低賃金法第13条、第18条)
   派遣労働者の最低賃金については、派遣先の事業の事業場の所在地を含む地域について決定された
  地域別最低賃金が適用されること。
   また、派遣先の事業又は派遣先の事業の同種労働者の職業について特定最低賃金が適用されている
  場合には、派遣労働者についても当該特定最低賃金が適用されるものであること。
 (4) 休業手当(労基法第26条)
   派遣元の使用者が、使用者の責に帰すべき事由により派遣労働者を休業させる場合には、休業手当
  を支払わなければならないこと。ここで、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当するか否
  かの判断は、派遣元の使用者について行うものであること。
   労働者派遣契約の中途解除(労働者派遣契約の契約期間が満了する前に行われる労働者派遣契約の
  解除をいう。以下同じ。)により派遣労働者を休業させた場合には、一般に使用者の責に帰すべき事
  由による休業に該当し、派遣労働者に対し、休業手当を支払わなければならないこと。
   また、派遣元指針において、
  [1] 派遣元事業主は、派遣労働者の責に帰すべき事由以外の事由により行われた労働者派遣契約の中
   途解除に当たって、新たな就業機会の確保ができない場合は、まず休業等を行い、当該派遣労働者
   の雇用の維持を図るようにするとともに、休業手当の支払等の労基法等に基づく責任を果たすこと
  [2] 派遣元事業主は、派遣先との労働者派遣契約の締結に当たって、派遣先の責に帰すべき事由によ
   る労働者派遣契約の中途解除に伴い、少なくとも、派遣元事業主が派遣労働者を休業させること等
   を余儀なくされることにより生ずる損害である休業手当等に相当する額以上の額について、損害の
   賠償を派遣先が行うよう定めることを、派遣先に対して求めること
  とされていることに留意すること。
   なお、派遣先指針において、労働者派遣契約の解除に伴い派遣元事業主が派遣労働者を休業させる
  こと等を余儀なくされたことにより生じた派遣元事業主の損害の賠償を派遣先が行わなければならな
  い旨定められていることにも、派遣元の使用者は留意すること。
 (5) 労働時間(労基法第32条第36条等)
   派遣中の労働者については、派遣先の事業のみを当該労働者を使用する事業とみなして、労基法上
  の労働時間、休日及び休憩に係る規定を適用するとされているが、派遣元の使用者においても、次に
  掲げる事項に留意すること。
  ア 複数の派遣先事業場で働く派遣労働者に係る法定労働時間の遵守
    派遣元の使用者は、複数の派遣先の事業場において就労する派遣労働者について、派遣先の使用
   者が労働者派遣契約に従って派遣労働者を労働させたときに労働時間に関する法令に抵触すること
   がないよう、累計労働時間を把握、管理すること。
  イ 派遣就業時間以外の労働時間
    派遣中の労働者が派遣就業をした時間(以下「派遣就業時間」という。)以外の点呼等の時間、移
   動時間、研修時間等の時間については、派遣労働者が派遣元の使用者の指揮監督下にあるものと認
   められる場合には、派遣元の使用者が、これを労働時間として適正に把握、管理すること。
  ウ 時間外労働・休日労働協定の締結、届出
    派遣先の使用者が派遣労働者に時間外労働又は休日労働(以下「時間外労働等」という。)を行わ
   せる場合には、派遣元の事業場において時間外労働・休日労働協定(以下「36協定」という。)を締
   結し、届け出なければならないこと。
    また、派遣元の使用者は、派遣先の使用者が36協定の範囲を超えて時間外労働等を行わせること
   がないよう、情報提供等の必要な措置を講ずること。
    さらに、協定当事者としての労働者の過半数を代表する者の選出は、労働基準法施行規則第6条
   の2の規定を踏まえ、適正に行われる必要があること。
 (6) 割増賃金(労基法第37条、3(2)参照)
   派遣元の使用者は、派遣就業時間を派遣先の使用者や派遣労働者から確認する体制を整え、当該労
  働時間数に自らの指揮監督下にあった労働時間数を加えた時間数に応じ、適正に割増賃金等を支払う
  こと。
 (7) 年次有給休暇(労基法第39条、3(3)参照)
   派遣元の使用者は、派遣労働者に対して法定の年次有給休暇を与えなければならないこと。
   また、時季変更権は、派遣元の使用者が自らの事業の正常な運営を妨げる場合に行使できるもので
  あることから、派遣先の事業の運営に係る事情は直ちにはその行使の理由とはならないものであるこ
  と。
   さらに、派遣元の使用者は、代替労働者を派遣する、派遣先の使用者と業務量の調整を行う等によ
  り、派遣先の事情によって派遣労働者の年次有給休暇の取得が抑制されることのないようにすること。
 (8) 就業規則等の作成及び周知(労基法第89条第106条)
   派遣労働者とそれ以外の労働者を合わせて常時10人以上の労働者を使用する派遣元の使用者は、派
  遣労働者にも適用される就業規則を作成しなければならないこと。
   また、派遣元の使用者は、就業規則のほか賃金控除協定等の労使協定の内容等について、労働基準
  法施行規則第52条の2に定める方法により労働者に周知する必要があるが、同規則に定める掲示若し
  くは備付け又は磁気ディスク等への記録及びその内容を確認できる機器の設置の方法については、派
  遣中の労働者に関しては原則としてこれを派遣先の各作業場において行うものであり、これが行えな
  い場合には、書面の交付の方法によって周知すること。
   なお、新たに雇い入れる者については、労働契約締結時の労働条件の書面による明示と併せて周知
  することが適当であること。
 (9) 解雇及び雇止め
  ア 解雇(労働契約法第17条第1項、労基法第20条等)
    有期労働契約により派遣労働者を使用する場合には、やむを得ない事由がある場合でなければ、
   契約期間中に解雇することができないこと。派遣元の使用者は、派遣先との間の労働者派遣契約が
   中途解除された場合でも、そのことが直ちに「やむを得ない事由」に該当するものではないことに
   留意すること。その際、派遣先指針において、上記(4)なお書きのとおり、休業手当の支払等、労
   働者派遣契約の解除に伴い生じた派遣元事業主の損害の賠償を派遣先が行わなければならない旨定
   められていることをも踏まえ、派遣元の使用者は契約期間中の解雇について「やむを得ない事由」
   があるかを検討すべきであること。
    また、派遣元の使用者は、派遣労働者をやむを得ず解雇する場合には、30日前の解雇予告又は解
   雇予告手当の支払等の手続を適正に行わなければならないこと。
    なお、派遣元指針において、
   [1] 派遣元事業主は、派遣労働者の責に帰すべき事由以外の事由によって労働者派遣契約の中途解
    除が行われた場合には、当該労働者派遣契約に係る派遣先と連携して、当該労働者派遣契約に係
    る派遣労働者の新たな就業機会の確保を図り、これができない場合は、まず休業等を行い、派遣
    労働者の雇用の維持を図るようにすること
   [2] やむを得ない事由によりこれができない場合において、当該派遣労働者を解雇しようとすると
    きであっても、労働契約法の規定を遵守することはもとより、解雇予告、解雇予告手当の支払等
    労基法等に基づく責任を果たすこと
   とされていることに留意すること。
  イ 雇止め
    派遣元の使用者は、雇止めに関する基準に基づき、派遣労働者との間の有期労働契約(当該契約
   を3回以上更新し、又は雇入れの日から起算して1年を超えて継続して勤務している労働者に係るも
   のに限り、あらかじめ当該契約を更新しない旨明示されているものを除く。)を更新しないことと
   しようとする場合においては、少なくとも当該契約の期間の満了する日の30日前までに雇止めの予
   告を行うこと。また、裁判例によれば、反復更新の実態等の状況に照らし、解雇に関する法理の類
   推適用等により雇止めが認められない場合があることに留意すること。

 2  派遣先の使用者が実施すべき重点事項
   派遣先の使用者は、自らが派遣労働者に指揮命令を行うという派遣労働の実態から、労基法上の労
  働時間、休日、休憩等に係る責任を派遣先の使用者が負うことを踏まえ、派遣労働者の労働条件の確
  保を図る必要があること。
 (1) 労働時間の把握(労基法第32条等)
   派遣中の労働者については、派遣先の事業のみを当該労働者を使用する事業とみなして労働時間に
  係る規定を適用していることから、派遣先の使用者は、派遣中の労働者に係る労働時間を適正に把握
  すること。
   なお、労働時間の把握に当たっては、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関
  する基準」(平成13年4月6日付け基発第339号)に留意すること。
 (2) 時間外労働・休日労働(労基法第32条第36条等、3(2)参照)
   派遣先の使用者が派遣労働者に時間外労働等を行わせる場合には、派遣元の事業場において締結さ
  れ、届け出られた36協定の範囲内でなければならず、これを超えて時間外労働等を行わせた場合には、
  派遣先の使用者が労基法第32条違反となること。
   このため、派遣先の使用者は、派遣元の事業場において締結された36協定の内容等を把握し、時間
  外労働等についてはこれを踏まえて行わせなければならないこと。

 3  派遣元の使用者と派遣先の使用者との連携
   派遣元の使用者及び派遣先の使用者は、それぞれの責任区分に応じた労働条件の確保を図る必要が
  あり、これを円滑に実施するためには、両者の適切な連絡調整等が重要であること。
 (1) 適正な労働者派遣契約の締結
   派遣元事業主及び派遣先事業主は、労働者派遣契約を締結するに当たり、当該労働者派遣契約に従っ
  て派遣労働者を労働させた場合に労働基準関係法令に抵触することがないよう、労働者派遣契約の内
  容について相互に十分に確認すること。
   また、派遣元指針及び派遣先指針において、労働者派遣契約の締結に当たって、休業手当の支払等、
  労働者派遣契約の中途解除に伴い生じた派遣元事業主の損害の賠償を派遣先が行うよう定めることと
  されていることにも留意すること。
   なお、労働者派遣法第44条第3項等において、労働者派遣契約に従って派遣労働者を労働させたと
  きに派遣先が労基法第32条等に抵触することになる場合には、派遣元事業主に対して労働者派遣を禁
  止しており、これに違反する場合には罰則の特例措置も定められていること。
 (2) 労働時間に係る連絡体制の確立
   派遣先の使用者が派遣元の事業場で締結される36協定の内容等派遣労働者の労働時間の枠組みを適
  切に把握し、また、派遣元の使用者が派遣労働者の実際の労働時間を適切に把握できるよう、派遣元
  の使用者及び派遣先の使用者は、労働時間に係る連絡体制を確立すること。
   具体的には、
  [1] 労働時間の枠組みについて、派遣先の使用者は、派遣元の事業場において締結された36協定の
    内容等について派遣元の使用者に情報提供を求め、派遣元の使用者は当該情報提供を行う
  [2] 実際の労働時間について、派遣元の使用者は、割増賃金等の計算に当たり、派遣先における実
    際の労働時間について派遣先の使用者に情報提供を求め、派遣先の使用者は適正に把握した労働
    時間を正確に通知する
  等の体制を整えること。
   その際、派遣先指針において、派遣先事業主は派遣元事業主との労働時間に係る連絡体制を確立す
  ることとされていること、さらに、[2]について、労働者派遣法第42条第1項及び第3項において、派
  遣先事業主は派遣先管理台帳に派遣就業をした日ごとの始業・終業時刻及び休憩時間を記載し、これ
  を派遣元事業主に通知しなければならないとされていることにも留意すること。
 (3) 年次有給休暇の取得に係る協力体制の整備等
   派遣元の使用者及び派遣先の使用者は、派遣労働者が年次有給休暇の取得を請求した場合の手続等
  をあらかじめ定めるとともに、派遣元の使用者が派遣労働者に年次有給休暇を与えるため、代替労働
  者の派遣、派遣先における業務量の調整等の対応を取ることができる体制を確立することが望ましい
  こと。
   なお、派遣先の使用者は当該調整等に協力し、派遣元の使用者が派遣中の労働者に対して適切に年
  次有給休暇を与えることができるよう配慮することが望ましいこと。

第3  派遣労働者の安全衛生の確保に係る重点事項
 1  派遣元事業者が実施すべき重点事項
   派遣元事業者は、雇入れ時の安全衛生教育、一般健康診断の実施など安衛法上の措置を講ずる必要
  があること。
 (1) 派遣労働者を含めた安全衛生管理体制の確立(安衛法第10条第12条第13条第18条等)
   派遣労働者を含めて常時使用する労働者数を算出し、それにより算定した事業場の規模等に応じて、
  [1] 総括安全衛生管理者、衛生管理者、産業医等の選任等、[2]衛生委員会の設置等を行うこと。
 (2) 安全衛生教育の実施等(安衛法第59条、3(1)参照)
  ア 雇入れ時の安全衛生教育の適切な実施
    派遣労働者を雇い入れたときは、当該派遣労働者に対し、遅滞なく雇入れ時の安全衛生教育を適
   切に行うこと。
  イ 作業内容変更時の安全衛生教育の適切な実施
    派遣労働者の派遣先事業場を変更するなどその作業内容を変更したときは、当該派遣労働者に対
   し、遅滞なく作業内容変更時の安全衛生教育を適切に行うこと。
  ウ 安全衛生教育の内容等
    雇入れ時及び作業内容変更時の安全衛生教育は、当該業務に関して、作業内容や取り扱う機械等、
   原材料等の取扱い方法、それらの危険性又は有害性等に応じて、派遣労働者の安全又は衛生を確保
   するために必要な内容及び時間をもって行うこと。
    そのため、これらの情報について派遣先事業者から入手するとともに、教育カリキュラムの作成
   支援、講師の紹介や派遣、教育用テキストの提供、教育用の施設や機材の貸与など派遣先事業者か
   ら必要な協力を得ること。
  エ 派遣先事業者に安全衛生教育の実施を委託した場合の対応
    派遣先事業者に対し、雇入れ時等の安全衛生教育の実施を委託した場合は、その実施状況につい
   て確認すること。
 (3) 就業制限(安衛法第61条、3(2)参照)
   派遣労働者が就業制限業務に就くことが予定されているときには、当該業務に係る有資格者を派遣
  すること。
 (4) 一般健康診断(安衛法第66条第1項に基づく健康診断をいう。以下同じ。)の実施及びその結果に基
  づく事後措置(3(3)参照)
   常時使用する派遣労働者に対し、一般健康診断を実施し、その結果に基づく事後措置を講ずること。
 (5) 医師による面接指導等(安衛法第66条の8第66条の9)
   派遣労働者の時間外・休日労働時間に応じて、時間外・休日労働時間が1月当たり100時間を超える
  派遣労働者であって申出を行ったものに係る医師による面接指導等を適切に実施すること。
 (6) 労働者死傷病報告の提出等(派遣労働者が労働災害に被災した場合)(安衛法第100条)
   派遣労働者が労働災害に被災した場合、派遣先事業者に対し、所轄労働基準監督署に提出した労働
  者死傷病報告の写しの送付を求め、その内容を踏まえて労働者死傷病報告を作成し、派遣元の事業場
  を所轄する労働基準監督署に提出すること。

 2  派遣先事業者が実施すべき重点事項
   派遣労働者の安全衛生を確保するためには、派遣先事業者が、派遣労働者は一般的に経験年数が短
  いことに配慮し、派遣労働者の危険又は健康障害を防止するための措置等を現場の状況に即し適切に
  講ずることが重要であること。
 (1) 派遣労働者を含めた安全衛生管理体制の確立(安衛法第10条第11条第12条第13条第17条、
  第18条等)
   派遣労働者を含めて常時使用する労働者数を算出し、それにより算定した事業場の規模等に応じて、
  [1] 総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者、産業医等を選任し、派遣労働者の安全衛生に関
   する事項も含め、必要な職務を行わせること
  [2] 安全衛生委員会等を設置し、派遣労働者の安全又は衛生に関する事項も含め、必要な調査審議を
   行うこと。
 (2) 危険又は健康障害を防止するための措置の適切な実施(安衛法第20条第22条等)
   機械等の安全措置など派遣労働者の危険又は健康障害を防止するための措置を現場の状況に即し適
  切に実施すること。
 (3) 危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づく措置の実施(安衛法第28条の2)
   派遣労働者が従事する作業について、危険性又は有害性等の調査を実施し、その結果に基づき、機
  械の本質安全化などリスク低減措置を講ずること。
 (4) 安全衛生教育の実施等(安衛法第59条)
  ア 雇入れ時等の安全衛生教育の実施状況の確認
    派遣労働者を受け入れたときは、派遣元事業者による雇入れ時等の安全衛生教育について、当該
   派遣労働者が従事する業務に関する安全又は衛生を確保するために必要な内容の教育が実施されて
   いるかなど、その実施状況を派遣元事業者に確認すること。
  イ 作業内容変更時の安全衛生教育の適切な実施
    派遣労働者の作業内容を変更したときは、当該派遣労働者に対し、作業内容変更時の安全衛生教
   育を行うこと。また、当該教育は、派遣労働者が従事する業務に関する安全又は衛生を確保するた
   めに必要な内容及び時間をもって行うこと。
  ウ 特別教育の適切な実施
    特別教育が必要な一定の危険又は有害な業務に派遣労働者を従事させるときは、当該派遣労働者
   が、当該業務に関し、[1]他の事業場において既に特別教育を受けた者か、[2]十分な知識及び技能
   を有している者かを確認し、[1]又は[2]に該当しない場合は、当該派遣労働者に対し、特別教育を
   適切に行うこと。
  エ 派遣先事業場における禁止事項の周知
    立入禁止場所等の派遣先事業場において禁止されている事項について、派遣労働者に対し、周知
   を行うこと。
 (5) 安全な作業の確保
   ア 就業制限業務に係る資格の確認(安衛法第61条、3(2)参照)
     就業制限業務に派遣労働者を従事させるときは、当該派遣労働者が資格を有していることを確
    認すること。
   イ 安全な作業マニュアル等の作成
     派遣労働者が従事する作業について安全な作業マニュアルや手順書(以下「マニュアル等」と
    いう。)を作成することが望ましいこと。
   ウ 派遣労働者の作業状況の確認
     派遣労働者がマニュアル等により適切な作業を行えるよう、適時作業状況を確認する者を定め、
    その者に必要な指揮を行わせることが望ましいこと。
   エ 標識、警告表示の掲示等
     立入禁止場所、危害を生ずるおそれのある箇所等には、わかりやすい標識や警告表示の掲示を
    行うこと。
 (6) 特殊健康診断(安衛法第66条第2項及び第3項に基づく健康診断をいう。以下同じ。)の実施及びその
  結果に基づく事後措置
   一定の有害業務に常時従事する派遣労働者に対しては、当該業務に係る特殊健康診断を実施し、そ
  の結果に基づく事後措置を講ずること。
 (7) 派遣労働者が労働災害に被災した場合の対応
  ア 労働災害の発生原因の調査及び再発防止対策
    派遣労働者が労働災害に被災した場合は、その発生原因を調査し、再発防止対策を講ずること。
  イ 労働者死傷病報告の提出等(安衛法第100条)
    派遣労働者が労働災害に被災した場合は、労働者死傷病報告を作成し、派遣先の事業場る労働基
   を所轄す準監督署に提出すること。また、当該労働者死傷病報告の写しを派遣元事業者に送付する
   こと。

 3  派遣元事業者と派遣先事業者との連携
   派遣元事業者及び派遣先事業者は、それぞれの責任区分に応じた安衛法上の措置を講ずる必要があ
  り、これを円滑に実施するためには、両者の適切な連絡調整等が重要であること。
  (1) 安全衛生教育に関する協力や配慮
   ア 派遣元事業者に対する情報提供等
     派遣元事業者が派遣労働者に対する雇入れ時等の安全衛生教育を適切に行えるよう、[1]派遣
    元事業者は派遣先事業場から当該派遣労働者が従事する業務に係る情報について事前に提供を受
    けること、[2]派遣先事業者は当該情報を派遣元事業者に対し積極的に提供すること。
     また、派遣元事業者から教育カリキュラムの作成支援、講師の紹介や派遣、教育用テキストの
    提供、教育用の施設や機材の貸与等の依頼があった場合には、派遣先事業者は可能な限りこれに
    応じるよう努めること。
   イ 雇入れ時等の安全衛生教育の委託の申入れへの対応
     派遣元事業者から雇入れ時等の安全衛生教育の委託の申入れがあった場合には、派遣先事業者
    は可能な限りこれに応じるよう努めること。また、派遣先事業者は、当該教育の実施を受託した
    場合には、その実施結果を派遣元事業者に報告すること。
  (2) 危険有害業務に係る適正な労働者派遣
    派遣元事業者及び派遣先事業者は、派遣労働者が就くことが予定されている危険有害業務及び派
   遣労働者の資格等の有無を確認し、必要な資格等がない者がこれらに就くことがないよう、十分連
   絡調整を図ること。
    なお、労働者派遣法第45条第6項等において、労働者派遣契約に従って派遣労働者を労働させた
   ときに派遣先事業者が安衛法第61条等に抵触することになる場合には、派遣元事業者に対して労働
   者派遣を禁止しており、これに違反する場合には罰則の特例措置も定められていること。
  (3) 一般健康診断の実施に関する派遣先事業者の配慮
    派遣労働者の就業の場所は派遣先事業場であることから、派遣元事業者の依頼があった場合には、
   派遣先事業者は、当該事業場の労働者に対する一般健康診断を実施する際に併せて派遣労働者が受
   診できるよう配慮することが望ましいこと。ただし、派遣元事業者は、[1]派遣労働者に係る一般
   健康診断の実施義務を負うこと、[2]健康診断結果等の労働者個人の健康情報について責任を持っ
   て取り扱う必要があること、[3]当該健康診断の結果に基づく事後措置を講ずることに留意すること。
  (4) 派遣元事業場における再発防止対策に関する協力
    派遣労働者が労働災害に被災した場合、派遣元事業者は、派遣先事業場から当該労働災害の原因
   や対策について情報提供を受け、雇入れ時等の安全衛生教育に活用するとともに、同種の作業に従
   事する派遣労働者に当該情報を提供することが望ましいこと。
  (5) 派遣元事業者と派遣先事業者との連絡調整
    派遣元事業者及び派遣先事業者は、定期的に会合を開催するなどし、健康診断、安全衛生教育、
   労働者派遣契約で定めた安全衛生に関する事項の実施状況、派遣労働者が被災した労働災害の内容・
   対応などについて連絡調整を行うこと。

第4  外国人の派遣労働者に係る事項
   労働関係法令は、労働者の国籍にかかわらず当然に適用されるものであり、また、国籍を理由とす
  る差別的取扱いについては、派遣元事業主だけでなく、派遣先事業主についても禁止されていること。
   また、労働条件の明示や安全衛生教育の実施、労働災害防止に関する標識、掲示等については、外
  国人労働者がその内容を理解できる方法により行う等、「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して
  事業主が適切に対処するための指針」(平成19年厚生労働省告示第276号)に基づく必要な措置を講ず
  ること。

第5  関係通達の改廃
  1 昭和61年6月6日付け基発第333号「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件
   の整備等に関する法律(第3章第4節関係)の施行について」の一部を次のように改正する。
     4(2)ロ(イ)を次のように改める。
    4(2)ロ(イ) 削除

   2 平成2年10月1日付け基発第606号「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件
   の整備等に関する法律(第3章第4節関係)に係る今後の対策の推進について」を廃止する。