安全衛生情報センター
労働安全衛生規則及び電離放射線障害防止規則の一部を改正する省令(令和7年厚生労働省令第108号。 以下「改正省令」という。)及び透過写真撮影業務特別教育規程の一部を改正する件(令和7年厚生労働省 告示第287号。以下「改正告示」という。)が、それぞれ令和7年10月29日に公布又は告示され、公布日で ある令和7年10月29日以降、順次施行又は適用されることとなったところである。 本改正は、令和3年に発生したエックス線装置(エックス線を発生させる装置で、労働安全衛生法施行令 (昭和47年政令第318号。以下「安衛令」という。)別表第2第2号の装置以外のものをいう。以下同じ。)の 点検作業中の被ばく事故の発生原因として、法令上設置の義務はないものの現場に普及している自動警報 装置やインターロックについて、自動警報装置による周知の措置が作業場所から認識しにくい場所に示さ れていたこと、インターロックは備え付けられていたが故障した際に無効化したまま長期間修理していな かったこと等が指摘されていることを踏まえ、同種災害の再発防止を図るため、安全装置の設置及び使用 を義務づける等、所要の規定の整備を講じるものである。 改正省令及び改正告示の内容については、下記のとおりであるので、その施行及び適用に遺漏なきを期 されたい。
第1 改正の要点 1 改正省令関係 (1) エックス線装置又はガンマ線照射装置に係る特別の教育(以下「特別教育」という。)の対象業務 を拡大(一部除外)したこと。(改正省令による改正後の労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。 以下「安衛則」という。)第36条及び改正省令による改正後の電離放射線障害防止規則(昭和47年労 働省令第41号。以下「電離則」という。)第52条の5関係) (2) 医療用エックス線装置の範囲を明確化したこと。(安衛則様式第27号及び電離則第12条関係) (3) 放射線装置に係る事業者の措置義務を拡大したこと。(電離則第17条関係) (4) エックス線作業主任者及びガンマ線透過写真撮影作業主任者の職務を見直したこと。(電離則第 47条及び第52条の3関係) 2 改正告示関係 (1) 特別教育の実施対象となる業務の拡大に伴う改正を行ったこと。(改正告示による改正後のエッ クス線装置及びガンマ線照射装置取扱業務特別教育規程(昭和50年労働大臣告示第50号。以下「特 別教育規程」という。)関係) 第2 細部事項 1 安衛則第36条及び電離則第52条の5並びに改正告示関係(特別教育関係) (1) 安衛則第36条第28号の「エックス線装置又はガンマ線照射装置を取り扱う業務」とは、エックス 線装置又はガンマ線照射装置の設置、準備、使用、点検、修理等の全般的な業務であること。 これには、安衛令別表第2第1号の業務、同表第3号の業務のうちエックス線装置に組み込まれた エックス線管のガス抜き若しくは検査の業務及び同表第4号の業務のうちガンマ線照射装置の取扱 いの業務その他これらの装置を取り扱う上でエックス線又はガンマ線による被ばくのおそれがある 業務が含まれること。 「その他これら装置を取り扱う上でエックス線又はガンマ線による被ばくのおそれがある業務」 には、例えば、作業時に照射する予定があるかどうかに関わらず、電離則第17条第3項の安全装置 を無効化又は取り外した上で管理区域に身体の全部又は一部を入れて当該装置を点検、修理又は改 修等する業務が含まれるものであること。 (2)「装置の内部にのみ管理区域が存在し、かつ、エックス線又はガンマ線の照射中に労働者の身体 の全部又は一部がその内部に入ることのないように遮へいされた構造を備えた装置」(以下「ボッ クス型装置等」という。)の例としては以下のものがあること。 ア 「労働安全衛生規則及び電離放射線障害防止規則の一部を改正する省令の施行等について」 (平成13年3月30日付け基発第253号。以下「253号通達」という。)第3の3(6)ア〜ウに掲げる装 置 イ 放射性同位元素等の規制に関する法律(昭和32年法律第167号。以下「RI法」という。)第12条 の5第2項に規定する表示付認証機器及び同条第3項に規定する表示付特定認証機器(いずれもRI法 第12条の6に規定する認証条件に従った使用、保管及び運搬をするものに限る。以下「表示付認 証機器等」という。) (3) ボックス型装置等(表示付認証機器等を除く。)については、当該装置の設置や改修等の際に、当 該装置の内部にのみ管理区域が存在することを、253号通達の第3の3(6)及び同通達別添1「管理区 域の設定等に当たっての留意事項」を参考に、装置ごとに測定により確認すること。 (4) 電離則第52条の5第1項第1号及び第2号に定める科目の教育については、実作業を見学させる等の OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)形式との併用が望ましいこと。 (5) 改正前に透過写真撮影業務に係る特別教育を受講した労働者が、改正後に透過写真撮影業務以外 のエックス線装置又はガンマ線照射装置を取り扱う業務に従事する場合には、当該労働者が、必要 な特別教育の科目のうち全部又は一部について十分な知識及び技能を有していると認められる場合 に限り、安衛則第37条に基づき、重複する特別教育の科目の全部又は一部を省略して差し支えない こと。 この場合に省略可能な科目は、電離則第52条の5第1項に定める科目のうち、以下の範囲が該当す るものであること。 ア 第1号に掲げる科目のうち、「作業の手順」以外の範囲 イ 第2号に掲げる科目のうち、「装置の操作及び点検」以外の範囲 ウ 第3号に掲げる科目の全部 エ 第4号に掲げる科目のうち、改正省令による改正以外の範囲 なお、従前から当該業務に熟達している等、十分な知識及び技能を有していると認められる労働 者については、「作業の手順」及び「装置の操作及び点検」についても省略して差し支えないこと。 (6) ボックス型装置等を使用する業務に従事する労働者や、管理区域に一時的に立ち入ってもエック ス線装置又はガンマ線照射装置を取り扱う業務には従事しない労働者等の、特別教育を要さない者 に対しては、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「法」という。)第59条第1項又は第2項に 基づき雇い入れ時等に行う安全衛生教育等において、放射線の人体への影響、エックス線装置又は ガンマ線照射装置の危険性、被ばくを防止するための装置の安全な取扱い、及び安全装置の改造禁 止等の禁止事項等について周知させること。 (7) 放射性同位元素等の規制に関する法律施行規則(昭和35総理府令第56号。以下「RI則」という。)、 医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号。以下「医療則」という。)又は獣医療法施行規則(平成 4年農林水産省令第44号。以下「獣医療則」という。)に基づく教育及び訓練を受けた者がエックス 線装置又はガンマ線照射装置を取り扱う業務に従事する場合は、必要な特別教育の科目のうち全部 又は一部について十分な知識及び技能を有していると認められる労働者であるとして、安衛則第37 条に基づき当該重複する特別教育の科目のうち全部又は一部を省略して差し支えないこと。 (8) 特別教育の科目の省略については、昭和48年3月19日付け基発第145号「労働安全衛生法関係の 疑義解釈について」及び平成9年3月21日付け基発第180号「特別教育に係る科目の省略範囲の明確 化について」の記の2において、省略できる範囲の明確化を行ってきたところである。 これらを踏まえ、次の表の左欄の資格等の取得者は、エックス線装置又はガンマ線照射装置を取 り扱う業務(ただし、ボックス型装置等を使用する業務を除く。)の特別教育の科目として電離則第 52条の5第1号から第4号に示す科目のうち、次の表の右欄の科目を省略しても差し支えないもので あること。なお、下表に掲げる科目以外の省略についても、当該者が当該業務に関し十分な知識及 び技能を有していると認められる場合には、個別の実態に応じて判断することを妨げるものではな いこと。
| 資格 | 省略可能な科目 |
|---|---|
| エックス線作業主任者 | 第1号から第4号 (ただし第1号及び第2号についてはエックス線装置の取扱業務に関する場合に限り省略可能) |
| ガンマ線透過写真撮影作業主任者 | 第1号から第4号 (ただし第1号及び第2号についてはガンマ線照射装置の取扱業務に関する場合に限り省略可能) |
| 診療放射線技師 | 第1号から第4号 (ただし第1号及び第2号については医療用の装置を取り扱う業務に関する場合に限り省略可能) |
| 原子炉主任技術者 | 第1号から第4号 (ただし第1号及び第2号については原子炉の運転の業務に関して用いる装置を取り扱う場合に限り省略可能) |
| 第一種放射線取扱主任者 | 第1号から第4号 |
| 第二種放射線取扱主任者 | 第1号から第4号 (ただし第1号及び第2号についてはガンマ線照射装置による透過写真撮影業務に関する場合に限り省略可能) |
| 第一種作業環境測定士(放射性物質) | 第3号及び第4号 |
| 第一種作業環境測定士(放射性物質以外の区分) 第二種作業環境測定士 衛生工学衛生管理者 第一種衛生管理者 第二種衛生管理者 労働衛生コンサルタント |
第4号 |
| 医師 歯科医師 獣医師 がん放射線療法看護認定看護師 |
第1号から第3号 (ただし第1号及び第2号については医療用の装置を取り扱う業務に関する場合に限り省略可能) |
| 核燃料取扱主任者 第三種放射線取扱主任者 技術士(原子力・放射線部門) 技術士補(原子力・放射線部門) |
第3号 |
(9) 電離則第52条の5に基づく特別教育について、(7)の他法令に基づく教育・訓練と同時に実施した 場合、その特別教育の受講者や科目等の情報が、他法令に基づいて作成された記録に含まれている ときは、その記録を安衛則第38条に定める記録として取り扱って差し支えないものであること。 (10) 電離則第52条の5の特別教育は、法第22条及び法第59条第3項に規定される措置であるため、労 働者がその事業における派遣就業のために派遣されている派遣先の事業に関しては、労働者派遣事 業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号)第45条第3項の 規定により、当該派遣先の事業を行う者を当該派遣中の労働者を使用する事業者と、当該派遣中の 労働者は当該派遣先の事業を行う者に使用される労働者とみなして適用される。このため、従前ど おり、派遣中の労働者に対して行う当該特別教育は、当該派遣先の事業を行う者が実施する必要が あること。 2 安衛則様式第27号及び電離則第12条関係(「医療用」の明確化関係) (1) 電離則第12条の改正は、医療用のエックス線装置の範囲を明確化するものであり、当該装置の範 囲自体が従来から変更されたものではないこと。なお、「医療用」の解釈については、安衛令及び 電離則に限られるものであること。 (2) 電離則第12条第1項第2号の「臨床研究、治験、医療従事者若しくは獣医療従事者の養成若しくは 教育訓練又は死因究明等」とは、以下のものを含むものであること。 ア 臨床研究法(平成29年法律第16号)第2条第1項に規定する臨床研究 イ 人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針(令和3年文部科学省・厚生労働省・経 済産業省告示第1号)第2(1)に規定する人を対象とする生命科学・医学系研究 ウ 獣医療における疾病の予防方法、診断方法及び治療方法の改善、疾病原因及び病態の理解並び に動物の健康の維持を目的として実施される未承認動物用医薬品等を用いた疾病の診断、治療又 は予防に関する獣医学系研究であって、動物を対象とするもの エ 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号) 第2条第17項に規定する治験 オ 医療従事者又は獣医療従事者の養成課程(資格取得前)における照射を伴う実習 カ 医療従事者又は獣医療従事者の配属後の教育や技量向上等のための訓練 キ 死因究明等推進基本法(令和元年法律第33号)第2条第1項に規定する死因究明(特に死亡時画像 診断(オートプシー・イメージング)) ク 死亡動物に対して行う死因究明のための画像診断なお、「等」とは、明示された用途以外であ って、医療現場と同様に、医師、歯科医師、診療放射線技師又は獣医師が管理する装置を用いて、 被写体である人、動物、それらの精巧な模型(以下「ファントム」という。)又は人若しくは動物 の死体に対して照射中に、労働者がそれら被写体を固定する必要がある場合やそれら被写体に照 射しながら照射域近傍で作業する必要がある場合等が生じうる用途を指すものであること。 (3) 改正省令による安衛則様式第27号の改正は、電離則第12条の改正により、医療用のエックス線装 置の範囲を明確化したことに伴う改正その他の所要の改正であること。 (4) 安衛則様式第27号については、安衛則第100条(様式の任意性)が適用されることから、放射線装 置の設置等にあたり、RI則又は医療則若しくは獣医療則その他の法令に基づき原子力規制委員会又 は都道府県知事その他の行政機関に対して申請又は届出等を行うときに、当該申請又は届出等に添 付する書類が、様式第27号に定める事項を網羅している場合には、法第88条に基づき所轄労働基準 監督署長に届出を行う際に、当該書類を様式第27号として添付しても差し支えないものであること。 なお、他法令に基づく申請又は届出等に用いる書類を以て代用する場合には、様式第27号中に定 める事項が、添付書類のどこに記載されているかを明確にした上で、届出を行うこと。 (5) 電離則第15条第1項の放射線装置(表示付認証機器等を除く。)であって、6月未満の期間で廃止す るものについては、安衛則第85条第1号の規定に基づき、法第88条に基づく計画の届出を要さない ものであることに留意すること。 (6) 安衛則様式第27号備考2の「工業用等のエックス線装置」の用途について、電離則様式第2号(裏 面)別表コード13と同様の用途として「分析用」を追加したものであること。 (7) 安衛則様式第27号備考4の「安全装置」には、電離則第17条第7項に規定するインターロックの 他、電離則第17条第3項に規定する安全装置が該当すること。 3 電離則第17条関係(自動警報装置・安全装置等関係) (1) 第1項の「関係者」には、被ばくのおそれがある全ての者が含まれるものであること。例えば、 装置の設置等にあたり照射を伴う検査等を行う場合に、放射線装置室の天井裏で配線等の作業に従 事している者も「関係者」に当たるものであること。 (2) 第1項の「関係者が確実に認識できる方法」とは、作業場の環境や労働者の認知能力等を踏まえ た効果的な方法を指し、総合的に判断する必要があること。周知の際は、複数の手段を用いること がより望ましいこと。なお、表示灯の表示内容や警報の音量等については特に指定はないため、他 法令で要求される事項があれば、それらを踏まえて措置すればよいこと。 「効果的な方法」の例としては、次のアからウに掲げるものがあること。 ア 放射線装置室の通常出入りする出入口等の関係者が見やすい場所に表示灯や警報ランプ等の視 覚的な警報装置を設けること イ 関係者が十分に聞き取ることができる音量でブザー音やメロディを鳴らし続ける警報装置を設 けること ウ 必ず関係者の目に入る場所に周知の看板を目立つように置くこと 一方で、効果的な方法と見なされない例には次のエからクに掲げるものがあり、何らかの周知の 措置がされていたとしても、被ばくのおそれがあることを十分に認識できない関係者がいる場合 は、効果的な方法とはみなされないことに留意すること。 エ 光が遮られた警報ランプや、光が弱い表示灯 オ 環境音に対して不十分な音量の警報 カ 目立たないように置かれた看板 キ 日本語を十分に理解できない労働者に対して日本語の表示灯の意味を教育していない状況 ク 放射線装置室内に関係者がいても照射が可能な場合に、室外にしか表示灯がなく、室内の関係 者へ周知の措置がされていない状況 また、エックス線装置の場合は、当該装置の制御装置に電力が供給されていることに加えて、エッ クス線を照射中であることを周知することが望ましいこと。 (3) 第2項について、表示灯やブザー等複数の方法を組み合わせて周知する場合は、これら全ての周 知方法を自動警報装置により措置することが望ましいこと。 (4) 第2項柱書は、自動警報装置による周知が必要な場合を、放射線装置室内で放射線装置を使用す る場合に限定するものであり、従前と取り扱いが変わるものではないこと。 (5) 第2項第2号は、改正省令による改正前の電離則(以下「旧電離則」という。)第17条第1項柱書後 段において自動警報装置の設置が必要とされていた装置のうち、特定エックス線装置に含まれない 工業用等のエックス線装置について規定したものであること。 (6) 第2項第3号から第5号の装置又は機器については、旧電離則第17条第1項柱書後段に規定するエッ クス線装置以外の装置又は機器と同じものを指すこと。 (7) 第2項各号の放射線装置について、自動警報装置そのものの修理又は改修等に伴う当該自動警報 装置の検査等のため、やむを得ず自動警報装置が無効とされたまま第1項各号の場合が生じるとき は、警報機能を有する放射線測定器(以下「APD」という。)の装着等、偶発的な被ばくを防止する ための適切な措置を講ずること。 医療用の特定エックス線装置の設置、保守、点検又は修理等の作業においても、同様であること。 (8) 第3項の「インターロックその他の偶発的な被ばくを防止するための安全装置」とは、作業に従 事する関係者が偶発的な被ばくをすることを防ぐためのフールプルーフの機構を主に指すこと。そ の例としては、以下のものがあること。なお、いずれも電子式、電気式、磁力式、機械式、光学式 など方式は問わないものであること。 ア 照射中に放射線装置室の出入口を閉鎖するインターロック イ セーフティキー又はセーフティスイッチにより装置の照射を止めなければ管理区域に入れない ように制御する機構 ウ 放射線装置室の出入口ドアに設置したリミットスイッチによりドア開放に連動して照射を停止 させ又は遮断させるような機構 また、この条文における「安全装置」の有効保持や無効化の際の手順等については安衛則第28条 及び第29条の適用を受けるものであること。 なお、防護ガラスや遮へい板、安全柵等は、それらのみでは安全装置には該当しないこと。 (9) 第4項は、放射線の照射を伴う光軸合わせ等の点検や非常に小さな試料にエックス線を照射する 際の照射条件の調整など、安全装置の機能を無効にしなければ実施できない作業において、安衛則 第29条第1項第2号に基づき、一時的にやむを得ず安全装置を無効化又は取り外す場合等における必 要な措置を定めたものであること。 (10) 第4項の「偶発的な被ばくを防止する措置」として、作業従事者のAPD装着は必須であること。 ただし、身体の一部のみを管理区域に入れる場合はこの限りでないこと。加えて、以下に例示する 措置その他偶発的な被ばくを防止する措置を複数組み合わせて行うこと。 ア 照射中であることを知らせる表示灯やブザー等の設置 イ 警報装置と連動した空間線量計の設置 ウ フットペダル式スイッチ等の被ばくのおそれがある作業の従事者が容易に作動させられる緊急 停止装置の設置 エ 警報装置に連動した侵入検知センサーの設置 オ 照射される放射線を遮るために十分な厚さと材質を備えた遮へい板やシャッターの設置 カ 手などの身体の一部を照射域に入れる場合に被ばくのおそれのある身体の一部を全て覆う保護 手袋等の保護具の着用 キ 命札(操作禁止札)の設置による誤操作の防止措置 APD又は空間線量計等の放射線測定器については、適切に点検及び校正され有効に機能するもの でなければならないこと。またAPD又は空間線量計に連動する警報については、過剰な被ばくを防 ぐために、警報が鳴る線量をあらかじめ適切に設定したものでなければならないこと。 (11) 第5項は、医療施設等において人(その死体やファントム含む)に対して照射する医療用のエック ス線装置等については、医療則第30条の4第2号に規定される基準を満たさなければならないとした ものであること。この場合の「医師、歯科医師又は診療放射線技師が管理する装置」については、 医療法(昭和23年法律第205号)第1条の5第1項に規定する「病院」又は同条第2項に規定する「診療 所」(以下「病院等」という。)に設置された診療の用に供するエックス線の発生装置(波高値によ る定格管電圧が10キロボルト以上であり、かつ、その有するエネルギーが1メガ電子ボルト未満の ものに限る。)その他の医療用の特定エックス線装置のほか、病院等以外の施設において医師、歯 科医師又は診療放射線技師(以下「医師等」という。)が管理する医療用の特定エックス線装置等が 該当すること。 医療則第30条の4第2号に規定される基準の解釈については、「病院又は診療所における診療用放 射線の取扱いについて」(平成31年3月15日付け医政発0315第4号厚生労働省医政局長通知。以下 「診療用放射線取扱通知」という。)の第3の1を参考にすること。 また、医療則第30条の4第2号ただし書のうち、「近接透視撮影を行うとき、若しくは乳房撮影を 行う等の場合」とは、電離則第17条第5項においては、診療用放射線取扱通知の第3の1の(3)のアか らオに掲げる場合の他、臨床研究、治験、医療従事者の養成若しくは教育訓練又は死因究明等の用 (以下「医療に類似する用」という。)であって、エックス線装置を診療用放射線取扱通知の第3の1 の(3)のアからオに掲げる場合と同様に使用する場合が含まれるものであること。 なお、病院等以外の施設において、医師等ではなく、エックス線作業主任者が管理する装置につ いては、医療に類似する用であっても、工業用等のエックス線装置としての措置が適用されるもの であること。 (12) 第6項は、獣医療の診療施設等において動物(その死体やファントム含む)に対して照射する医療 用のエックス線装置等については、獣医療則第16条第1項第1号から第3号に規定される措置のいず れか並びに同項第4号及び第5号に規定される措置を行わなければならないとしたものであること。 この場合の「獣医師が管理する装置」については、獣医療法(平成4年法律第46号)第2条に規定する 「診療施設」に設置された診療の用に供するエックス線の発生装置(波高値による定格管電圧が10 キロボルト以上であり、かつ、その有するエネルギーが1メガ電子ボルト未満のものに限る。)その 他の医療用の特定エックス線装置のほか、診療施設以外の施設において獣医師が管理する医療用の 特定エックス線装置等が該当すること。 獣医療則第16条第1項(第6号から第8号を除く。)に規定される措置の解釈については、「獣医療 法施行規則の一部を改正する省令及び関連告示の施行に伴う診療用放射線の防護等について」(平 成21年2月20日付け20消安第11529号農林水産省消費・安全局長通知)の第3の11の(1)並びに(2)の ア及びイを参考にすること。 獣医療則第16条第1項第1号から第3号に掲げる措置を実施する際の優先順位は、第1号(遮へい)、 第2号(距離)、第3号(時間)の順で検討することが望ましいこと。いずれの措置においても、事業者 は電離則第1条の理念に基づき、労働者の被ばくが極力少なくなるよう努めるべきであること。 なお、診療施設以外の施設において、獣医師ではなく、エックス線作業主任者が管理する装置に ついては、臨床研究、治験、獣医療従事者の養成若しくは教育訓練又は死因究明等の用であっても、 工業用等のエックス線装置としての措置が適用されるものであること。 (13) リニアック、サイバーナイフ等の医療用高エネルギー放射線発生装置等のように、荷電粒子を 加速する装置により発生するエックス線を利用する場合は、当該装置について電離則上は「荷電粒 子を加速する装置」として扱うため、電離則第10条の括弧書きのとおり、当該装置は電離則上の 「エックス線装置」には含まれないこと。 (14) 放射線装置室以外の場所で使用するエックス線装置であって、1週間につき外部線量で1ミリシ ーベルトを超えて被ばくするおそれのあるものについても、自動警報装置や安全装置を備えること が望ましいこと。 4 電離則第47条関係(エックス線作業主任者の職務関係) (1) 第1号は管理区域、立入禁止区域についての標識が適正に設けられているか否かを点検し、電離 則第3条第1項又は第18条第2項に適合するように措置しなければならないことを規定していること。 これらの区域が適正に設けられているか否かについては、当該区域の放射線の測定を行うことに よって判断する必要があること。なお、管理区域の設定に当たっては、253号通達別添1「管理区域 の設定等に当たっての留意事項」を参考にすること。 (2) 第2号は、照射筒若しくはしぼり又はろ過板の使用に関する規定であり、これに該当するか否か を判断し、適正な能力のものを選定するなど必要な措置を講ずるべきであること。 (3) 第3号に規定する間接撮影時の措置、透視時の措置又は放射線装置室以外の場所で使用する際の 措置のうち、自動開放装置のない場合の取り付けなどエックス線作業主任者が自ら行うには困難な 場合は、事業者に対して必要な機器の購入を申し出ること。 また、既に取り付けられたこれらの装置については、作業中に異常が生じないようにその機能を 点検し、異常を発見したならば直ちに事業者に報告し、改善されるまでその装置の使用を差し控え させるなどの措置を行わせること。 (4) 第4号の「照射条件等を調整」とは、被照射体の性質、形状等に応じ、照射方向、照射野の広さ、 被照射体との距離、管電圧、管電流、照射時間等の条件を決定することであること。 (5) 第5号の「第17条第1項の措置」には、改正省令附則第2条による自動警報装置の代替措置が含ま れること。 同号の「点検」とは、自動警報装置の場合はその機能が作業に当たって有効に保持されているこ と、また自動警報装置によらない周知の措置の場合は関係者に対する周知が作業に当たって確実に 認識できる方法により行われていることを確認することであること。 (6) 令和8年4月1日に施行される第6号の「第17条第1項の措置」の解釈は(5)と同様であること。 同号の「必要な措置」とは、専ら労働者の健康障害の予防に必要な措置を指すものであり、前号 の点検により異常を発見した場合に直ちに事業者に報告し、改善されるまでその装置の使用を差し 控えさせる等の措置を行わせることであること。なお、異常を解消しないまま取り繕ってエックス 線装置を稼働させ続けるなど、単に業務の継続等を目的とした措置は、「必要な措置」には当たら ないこと。 (7) 令和9年10月1日に施行される第7号の「点検」とは、エックス線装置の使用にあたり安全装置の 機能が作業中有効に保持されていることを確認することであること。 (8) 令和9年10月1日に施行される第8号の「必要な措置」の解釈は(6)と同様であること。 (9) 令和9年10月1日に施行される第9号は、安全装置をやむを得ず無効化等した場合の大量被ばく事 故を防止するため、代替措置が当該作業中に確実に講じられていることの確認を徹底することとし たものであること。 (10) 第10号(令和8年3月31日までは第6号、令和8年4月1日から令和9年9月30日までは第7号)は、被 照射体のかげなどに人が居るのを十分に確認しないことによる大量被ばく事故を防止するため、照 射を行う前に確実に立入禁止区域に人が居ないことを確認させることとしたものであること。 (11) 第11号(令和8年3月31日までは第7号、令和8年4月1日から令和9年9月30日までは第8号)は、エ ックス線装置を取り扱う作業中に適切な放射線測定器が適切な箇所に、適切な数、装着されている かを確認させることとしたものであること。 (12) 第12号(令和8年4月1日から令和9年9月30日までは第9号)の「作業の方法」とは、専ら労働者の 健康障害の予防に必要な事項に限るものであり、以下に掲げるものを含むこと。なお、作業主任者 の職務の中で、作業計画の策定等、現場以外の場所で実施できるものについては、作業主任者がこ のような職務についてまで現場で実施する必要はないものであること。また、「放射線業務従事者 の指揮」とは法第14条の「労働者の指揮」と同じ趣旨であるが、このたび電離則においても明示し たものであること。 ア 作業の段取り イ 関係装置の起動、停止、監視、調整等の要領 ウ 外部放射線の監視の方法 エ 遮へい板等による放射線防護の方法 オ 保護具の使用 カ 立入禁止区域の設定 キ 事故発生の場合の労働者の退避等の措置 ク 作業相互間の連絡、合図の方法 (13) エックス線作業主任者の職務が追加されることに伴う免許試験の科目等の変更はなく、引き続 き、施行前に取得した免許を所持する者をエックス線作業主任者に選任可能であること。ただし、 事業者は、法第19条の2第1項に基づき、能力向上教育の実施に努めるべきであること。 5 電離則第52条の3関係(ガンマ線透過写真撮影作業主任者の職務関係) (1) 第8号の「照射条件等を調整」とは、被照射体の性質、形状等に応じ、照射方向、照射野の広さ、 被照射体との距離、照射時間等の条件の決定であること。 (2) 第14号の「作業の方法」とは、専ら労働者の健康障害の予防に必要な事項に限るものであり、以 下に掲げるものを含むこと。なお、作業主任者の職務の中で、作業計画の策定等、現場以外の場所 で実施できるものについては、作業主任者がこのような職務についてまで現場で実施する必要はな いものであること。また、「放射線業務従事者の指揮」とは法第14条の「労働者の指揮」と同じ趣 旨であるが、このたび電離則においても明示したものであること。 ア 作業の段取り イ 関係装置の起動、停止、監視、調整等の要領 ウ 装備している放射性物質の取り扱い方法 エ 外部放射線の監視の方法 オ 遮へい板等による放射線防護の方法 カ 保護具の使用 キ 立入禁止区域の設定 ク 事故発生の場合の労働者の退避等の措置 ケ 作業相互間の連絡、合図の方法 (3) ガンマ線透過写真撮影作業主任者の職務が追加されることに伴う免許試験の科目等に変更はなく、 引き続き、施行前に取得した免許を所持する者をガンマ線透過写真撮影作業主任者に選任可能であ ること。ただし、事業者は、法第19条の2第1項に基づき、能力向上教育の実施に努めるべきである こと。 6 改正省令附則第2条関係 (1)「改修等により自動警報装置を設置することにつき著しく困難な事情があるとき」とは、次に掲 げる場合であって、装置を改修することが困難な場合に限られること。 ア 製造者が現存していない場合 イ 装置の設計書等の改修に必要な図書等が滅失し再入手が困難な場合や改修に必要な部品等の入 手が困難な場合 ウ 改修することにより著しく使用の目的を妨げ又は作業の性質上困難な場合 (2) 「自動警報装置の設置に代わる措置」については、APDを労働者に装着させること等の過剰な被 ばくを防ぐための措置が挙げられること。3(10)に示す細部事項についても参考にすること。 (3) なお、改正省令附則第2条の措置は、電離則第17条第1項に規定する措置に含まれるものであるこ と。 7 改正省令附則第3条関係 (1) 「改修等により安全装置を設置することにつき著しく困難な事情があるとき」は、6(1)アからウ に掲げる場合であって、装置を改修することが困難な場合に限られること。 (2) 「安全装置の設置に代わる措置」については、APDを労働者に装着させること等の偶発的な被ば くを防止する措置が挙げられること。3(10)に示す細部事項についても参考にすること。 第3 関係通達の改正 改正省令及び改正告示の施行若しくは適用並びに令和6年8月30日「エックス線装置に係る放射線障 害防止対策に関する検討会報告書」の3の(4)のA)において253号通達の情報のアップデートを行うべ きであるとされたことに伴い、関係する通達の改正を行うこととしたものであること。 1 改正対象及び改正内容 昭和64年1月1日付け基発第1号「電離放射線障害防止規則の一部を改正する省令の施行について」 (以下「第1号通達」という。)、第253号通達及び平成17年6月1日付け基発第0601005号「電離放射 線障害防止規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行について」(以下「第0601005号 通達」という。)をそれぞれ別紙1のとおり改正すること。 2 適用期日 別紙1の改正の適用期日は、それぞれ以下の通り。 (1) 発出日適用 ・第1号通達 第二のWの44関係 ・第253号通達 第2の2の(13)のうち安衛則様式第28号関係、第3の21の(2)関係、第5の2関係、 別添1関係、別添2関係 ・第0601005号通達 第1の1の(2)関係、第2の1の(2)関係、第3の2の(2)のうち旧「放射性同位元 素等による放射線障害の防止に関する法律」関係、別図関係 (2) 令和8年4月1日適用 ・第1号通達 第二のWの37及び38関係 (3) 令和9年10月1日適用 ・第1号通達 第二のWの10関係 ・第253号通達 第2の2の(13)のうち電離則第17条関係 ・第0601005号通達 第2の1の(3)関係、第3の2の(2)のうち電離則第17条関係 別紙1(PDF:320KB) 参考1
(PDF:300KB) 参考2
(PDF:320KB) 参考3
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