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労働安全衛生法施行令等の一部を改正する政令及び労働安全衛生規則等の
一部を改正する省令の施行について

改正履歴

                                        基発第1126001号
                                       平成20年11月26日

都道府県労働局長 殿

                                    厚生労働省労働基準局長



     労働安全衛生法施行令等の一部を改正する政令及び労働安全衛生規則等の一部
                を改正する省令の施行について

 労働安全衛生法施行令等の一部を改正する政令(平成20年政令第349号。以下「改正政令」という。)及び
労働安全衛生規則等の一部を改正する省令(平成20年厚生労働省令第158号。以下「改正省令」という。)
が平成20年11月12日に公布され、一部の規定を除き平成21年4月1日から施行することとされたところであ
るが、その改正の趣旨、内容等については、下記のとおりであるので、その施行に遺漏なきを期されたい。


                       記


第1   改正の趣旨
   改正政令は、専門家による検討結果を踏まえ、労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号。以下
  「施行令」という。)第18条に規定する名称等を表示すべき危険物及び有害物、同令第22条に規定する
  健康診断を行うべき有害な業務、同令第23条に規定する健康管理手帳を交付する業務及び同令別表第3
  に規定する特定化学物質の範囲を拡大すること並びに労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令
  (平成18年政令第257号。以下「一部改正令」という。)附則第3条に規定する製造等の禁止の規定が適
  用されていない適用除外製品等の一部について、その製造等を禁止するため、施行令及び一部改正令
  について所要の改正を行ったものである。
   また、改正省令は、改正政令の施行に伴い、労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。以下「安
  衛則」という。)、特定化学物質障害予防規則(昭和47年労働省令第39号。以下「特化則」という。)、
  作業環境測定法施行規則(昭和50年労働省令第20号。以下「作環則」という。)及び石綿障害予防規則
  (平成17年厚生労働省令第21号。以下「石綿則」という。)について所要の改正を行うとともに、ホル
  ムアルデヒドに係る燻蒸作業におけるばく露防止対策の強化を行うため、特化則について所要の改正
  を行ったものである。

第2   改正の要点
 1   改正政令関係
  (1)  施行令の一部改正(改正政令第1条関係)
   ア  特定化学物質等の範囲の拡大(施行令第18条第22条及び別表第3関係)
    (ア) 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「法」という。)第57条第1項の表示(以下単に
     「表示」という。)をしなければならない物に、ニッケル化合物(ニッケルカルボニルを除き、
     粉状の物に限る。以下第3の1の(1)のア(2)及び(8)のア並びに2の(2)のアを除き同じ。)並び
     に砒(ひ)素及びその化合物(アルシン、三酸化砒(ひ)素及び砒(ひ)化ガリウムを除く。)を追加
     することとしたこと。(施行令第18条関係)
      なお、三酸化砒(ひ)素は、「砒(ひ)素及びその化合物(アルシン及び砒(ひ)化ガリウムを除
     く。)」に含まれるため、表示については従前のとおりであること。
    (イ) ニッケル化合物又は砒(ひ)素若しくはその化合物(アルシン、三酸化砒(ひ)素及び砒(ひ)化
     ガリウムを除く。)を製造し、又は取り扱う業務を法第66条第2項の健康診断(以下「特殊健康
     診断」という。)の対象業務として追加したこと。(施行令第22条関係)
      なお、三酸化砒(ひ)素は、「砒(ひ)素及びその化合物(アルシン及び砒(ひ)化ガリウムを除
     く。)」に含まれるため、特殊健康診断の対象業務に係る物であることについては従前のとお
     りであること。
    (ウ) 特定化学物質の第二類物質にニッケル化合物並びに砒(ひ)素及びその化合物(アルシン、三
     酸化砒(ひ)素及び砒(ひ)化ガリウムを除く。)を追加することとしたこと。(施行令別表第3関係)
      なお、三酸化砒(ひ)素は、「砒(ひ)素及びその化合物(アルシン及び砒(ひ)化ガリウムを除
     く。)」に含まれること。
   イ  石綿に係る健康診断を行うべき有害な業務及び健康管理手帳を交付する業務の範囲の拡大(施行
    令第22条第23条関係)
     石綿に係る健康診断を行うべき有害な業務及び健康管理手帳を交付する業務について、石綿等
    (施行令第6条第23号に規定する石綿等をいう。以下同じ。)の間接ばく露者に対する健康管理対策
    を充実するため、次のとおり見直しを行ったこと。
    (ア) 石綿等の取扱い又は試験研究のための製造に伴い石綿の粉じんを発散する場所における業務
     を、法第66条第2項前段に係る特殊健康診断の対象業務とすることとしたこと。(施行令第22条
     第1項関係)
    (イ) 石綿等の製造又は取扱いに伴い石綿の粉じんを発散する場所における業務を、法第66条第2項
     後段に係る特殊健康診断の対象業務とすることとしたこと。(施行令第22条第2項関係)
    (ウ) 石綿等の製造又は取扱いに伴い石綿の粉じんを発散する場所における業務を、法第67条第1項
     の規定に基づく健康管理手帳の交付の対象業務とすることとしたこと。(施行令第23条第11号関
     係)
  (2)  一部改正令の一部改正(改正政令第2条関係)
    改正政令による一部改正令附則第3条の改正に伴い、同条各号に掲げる適用除外製品等のうち、専
   門家による検討の結果、平成20年中に代替化等が可能と判断された次に掲げるものについて、その
   製造等を禁止することとしたものであること。(一部改正令附則第3条関係)
   ア  石綿ジョイントシートガスケッチングから切り出した石綿(アモサイト及びクロシドライトを除
    く。以下(2)において同じ。)を含有するガスケットであって、次のいずれかに該当するもの
    (ア) 一部改正令の施行の際現に存する国内の化学工業の用に供する施設(以下「既存化学工業施設」
     という。)の設備の接合部分(100度以上200度未満の温度の流体である物を取り扱う部分に限る。)
     に使用されるもの
    (イ) 既存化学工業施設の設備の接合部分(ゲージ圧力3メガパスカル以上の流体である物を取り扱
     う部分に限る。)に使用されるもの
    (ウ) 一部改正令の施行の際現に存する国内の鉄鋼業の用に供する施設(以下「既存鉄鋼業施設」と
     いう。)の設備の接合部分(450度以上の温度の硫酸ガスを取り扱う部分に限る。)に使用されるもの
    (エ) 国内において製造される潜水艦に使用されるもの
   イ  石綿を含有するうず巻形ガスケットであって、既存化学工業施設の設備の接合部分(次に掲げる物
    であって、300度以上400度未満の温度の流体であるものを取り扱う部分に限る。)に使用されるもの
    (ア) 水素イオン濃度指数が2.0以下又は11.5以上の状態である物
    (イ) 金属ナトリウム
    (ウ) 黄りん
    (エ) 赤りん
    (オ) クロム酸及びその塩
    (カ) 塩化水素ガス
    (キ) 塩素ガス
    (ク) 弗化水素ガス
    (ケ) 弗素ガス
    (コ) 沃素ガス
   ウ  石綿を含有するメタルジャケット形ガスケットであって、既存鉄鋼業施設の設備の接合部分(熱
    風炉から高炉に送り込まれる1000度以上の温度の熱風を取り扱う部分に限る。)に使用されるもの
   エ  石綿を含有するグランドパッキンであって、次のいずれかに該当するもの
    (ア) 既存化学工業施設の設備の接合部分(300度以上400度未満の温度の流体であるクロム酸及びそ
     の塩を取り扱う部分に限る。)に使用されるもの
    (イ) 国内において製造される潜水艦に使用されるもの
  (3)  施行期日(改正政令附則第1条関係)
    改正政令は、平成21年4月1日から施行することとしたこと。ただし、(2)((2)のアの(ア)に掲げる
   物に係る部分を除く。)については平成20年12月1日から、(2)のうち、(2)のアの(ア)に掲げる物に
   係る部分については平成21年1月1日から施行することとしたこと。
  (4)  経過措置(改正政令附則第2条から第7条まで関係)
   ア  ニッケル化合物等(ニッケル化合物又はこれをその重量の1%を超えて含有する製剤その他の物を
    いう。2の(2)のアの(イ)及び(カ)(3)並びに(6)並びに第3の1の(1)のイ及び2の(2)のウの(ア)
    において同じ。)又は砒(ひ)素等(砒(ひ)素若しくはその化合物(アルシン及び砒(ひ)化ガリウムを
    除く。以下同じ。)又はこれらをその重量の1%を超えて含有する製剤その他の物をいう。2の(2)
    のアの(イ)及び(カ)(3)並びに(6)並びに第3の1の(1)のイ及び2の(2)のウの(ア)において同じ。)
    を製造し、又は取り扱う作業(試験研究のため取り扱う作業を除く。)については、平成23年3月
    31日までの間は作業主任者の選任を要しないものとしたこと。ただし、三酸化砒(ひ)素等(三酸
    化砒(ひ)素又はこれをその重量の1%を超えて含有する製剤その他の物をいう。及び2の(6)に
    おいて同じ。)を製造し、又は取り扱う作業(試験研究のため取り扱う作業を除く。)に係る作業主
    任者の選任については、従前のとおりであること。(改正政令附則第2条関係)
   イ  表示対象ニッケル化合物等(ニッケル化合物又はこれをその重量の0.1%以上含有する製剤その他
    の物をいう。)又は表示対象砒(ひ)素等(砒(ひ)素若しくはその化合物又はこれらをその重量の0.1%
    以上含有する製剤その他の物をいう。)であって、改正政令の施行の日(平成21年4月1日)において
    現に存するものについては、平成21年9月30日までの間は、表示の規定は適用しないものとしたこと。
    ただし、表示対象三酸化砒(ひ)素等(三酸化砒(ひ)素又はこれをその重量の0.1%以上含有する製剤
    その他の物をいう。)に係る表示については、従前のとおりであること。(改正政令附則第3条関係)
   ウ  ニッケル化合物等又は砒(ひ)素等を製造し、又は取り扱う屋内作業場については、平成22年3月
    31日までの間は、作業環境測定を行うことを要しないものとしたこと。ただし、三酸化砒(ひ)素
    等を製造し、又は取り扱う屋内作業場に係る作業環境測定については、従前のとおりであること。
    (改正政令附則第4条関係)
   エ  (2)から に掲げる物のうち、平成20年12月1日( (2)のアの(ア)に該当する物にあっては、
    平成21年1月1日)において現に使用されているものについては、同日以後引き続き使用されている
    間は、製造等の禁止の規定は適用しないものとしたこと。(改正政令附則第5条関係)
   オ  改正政令附則第5条により製造等の禁止の規定が適用されない物について、引き続き、表示及び
    法第57条の2第1項の文書の交付等による通知(以下単に「通知」という。)を行わなければならない
    ものとしたこと。(改正政令附則第6条関係)
   カ  罰則の適用に関し必要な経過措置を定めたこと。(改正政令附則第7条関係)
  (5)  一部改正令による改正前の施行令の一部改正(改正政令附則第8条関係)
    石綿等の間接ばく露者を特殊健康診断の対象とすることを踏まえ、適用除外製品等に係る特殊健康
   診断について規定する一部改正令附則第4条第2項によりなおその効力を有するものとされる同令によ
   る改正前の施行令第22条第1項についても同様の改正を行ったこと。

 2   改正省令関係
  (1)  安衛則の一部改正(改正省令第1条関係)
   ア  石綿に係る健康管理手帳の交付の要件の追加(安衛則第53条関係)
     改正政令による施行令第23条第11号の改正に伴い、石綿等の製造又は取扱いに伴い石綿の粉じん
    を発散する場所における業務(石綿等を製造し、又は取り扱う業務を除く。以下「周辺業務」とい
    う。)に従事していた者に対する健康管理手帳の交付要件として、「両肺野に石綿による不整形陰
    影があり、又は石綿による胸膜肥厚があること」を定めたこと。
   イ  表示対象物質の追加(安衛則別表第2関係)
     改正政令による施行令第18条の改正により、表示をしなければならない物に、ニッケル化合物
    並びに砒(ひ)素及びその化合物(アルシン及び砒(ひ)化ガリウムを除く。以下第3の1の(8)のアを
    除き同じ。)が定められたことに伴い、ニッケル化合物を含有する製剤その他の物であって、ニッ
    ケル化合物の含有量が0.1%以上のもの並びに砒(ひ)素又はその化合物(アルシン及び砒(ひ)化ガ
    リウムを除く。以下同じ。)を含有する製剤その他の物であって、砒(ひ)素及びその化合物の含有
    量が0.1%以上のものを表示をしなければならない物としたこと。
   ウ  健康管理手帳の様式の改正(安衛則様式第8号及び様式第9号関係)
    (ア) 改正省令により、特化則別表第3及び別表第4に定める三酸化砒(ひ)素等に係る特殊健康診断
     の項目が改正されたことから、安衛則様式第8号(4)に定める三酸化砒(ひ)素の健康管理手帳の
     様式について、所要の改正を行ったこと。また、同様に安衛則様式第9号(4)に定める健康管理
     手帳による健康診断実施報告書の様式についても、所要の改正を行ったこと。(安衛則様式第
     8号(4)及び様式第9号(4)関係)
    (イ) 改正省令による安衛則第53条第1項の改正により周辺業務に係る健康管理手帳の交付要件を追
     加したことに伴い、安衛則様式第8号(10)に定める石綿の健康管理手帳の様式の「交付要件」欄
     について、所要の改正を行ったこと。(安衛則様式第8号(10)関係)
  (2)  特化則の一部改正(改正省令第2条関係)
   ア  特定化学物質の追加に伴う改正関係(特化則第2条第36条第36条の2第38条の3別表第1、
    別表第3別表第4別表第5及び様式第3号関係)
    (ア) 管理第二類物質に、ニッケル化合物等(ニッケル化合物及びこれをその重量の1%を超えて含
     有する製剤その他の物をいう。以下(イ)(カ)(3)及び(6)並びに第3の1の(1)のイ及び2の(2)
     のウの(ア)を除き同じ。)及び砒(ひ)素等(砒(ひ)素及びその化合物並びにこれらをその重量の
     1%を超えて含有する製剤その他の物をいう。以下(イ)(カ)(3)及び(6)並びに第3の1の(1)のイ
     及び2の(2)のウの(ア)を除き同じ。)を追加することとしたこと。(特化則第2条及び別表第1関係)
      なお、三酸化砒(ひ)素等(三酸化砒(ひ)素及びこれをその重量の1%を超えて含有する製剤そ
     の他の物をいう。以下(6)を除き同じ。)については、砒(ひ)素等に含まれるものであること。
    (イ) ニッケル化合物等又は砒(ひ)素等を製造し、又は取り扱う屋内作業場については、特化則
     第36条及び第36条の2に基づき作業環境測定及び測定結果の評価を行い、これらの記録について
     は、30年間保存することとしたこと。(特化則第36条及び第36条の2関係)
    (ウ) 特別管理物質に、ニッケル化合物等及び砒(ひ)素等を追加することとしたこと。(特化則第38
     条の3関係)
      なお、特別管理物質は、特化則第38条の3の作業場内掲示、同令第38条の4の作業記録の保存、
     同令第40条第2項の特殊健康診断の結果の記録の30年間保存等の対象となることに留意すること。
    (エ) ニッケル化合物等及び砒(ひ)素等に係る特殊健康診断の項目を定めることとしたこと。(特化則
     別表第3及び別表第4関係)
      なお、三酸化砒(ひ)素等に係る特殊健康診断の項目については、これを削除し、砒(ひ)素等に
     含めて特殊健康診断の項目を規定したため、三酸化砒(ひ)素等に係る特殊健康診断の項目につい
     ては、改正省令による改正前の特化則別表第3及び別表第4に定める特殊健康診断の項目と異なる
     ことに留意すること。
    (オ) 施行令第22条に規定する健康診断を行うべき有害な業務のうち、同条第2項第24号において厚
     生労働省令で定めることとされている当該業務に係る物として、ニッケル化合物を含有する製剤
     その他の物であって、ニッケル化合物の含有量が重量の1%を超えるもの並びに砒(ひ)素又はそ
     の化合物を含有する製剤その他の物であって、砒(ひ)素及びその化合物の含有量が重量の1%を
     超えるものを定めること。(特化則別表第5関係)
    (カ) ニッケル化合物等又は砒(ひ)素等を製造し、又は取り扱う業務を特殊健康診断の対象業務とし
     たことに伴い、特化則様式第3号について所要の改正を行ったこと。(特化則様式第3号(裏面)関係)
   イ  燻蒸に係る措置の強化(特化則第38条の14関係)
    (ア) 特化則第38条の14に規定する燻蒸作業に係る措置の規制対象にホルムアルデヒド等(ホルムア
     ルデヒド及びこれをその重量の1%を超えて含有する製剤その他の物をいう。以下同じ。)を追加
     したこと。
    (イ) ホルムアルデヒド等に係る燻蒸後の場所に労働者を立ち入らせる場合のホルムアルデヒドに係
     る濃度基準値(特化則第38条の14第1項第12号の表の上欄に掲げる物に応じ、それぞれ同表の下欄
     に掲げる値をいう。以下同じ。)を新たに定めるとともに、既に定められているシアン化水素及
     び臭化メチルに係る濃度基準値を改正したこと。
  (3)  作環則の一部改正(改正省令第3条関係)
    ニッケル化合物等又は砒(ひ)素等を製造し、又は取り扱う屋内作業場を作環則別表第4号に追加する
   こととしたこと。(作環則別表関係)
  (4)  石綿則の一部改正(改正省令第4条関係)
   ア  作業の記録の対象者の範囲の拡大等(石綿則第35条関係)
     石綿等の間接ばく露者を特殊健康診断の対象とすることを踏まえ、石綿等の取扱い又は試験研究
    のための製造に伴い石綿の粉じんを発散する場所における作業(石綿等を取り扱い、又は試験研究の
    ため製造する作業を除く。以下「周辺作業」という。)に常時従事する労働者(以下「周辺作業従事
    者」という。)について、石綿則第35条の作業の記録の対象とするとともに、当該場所において他の
    労働者が従事した石綿等を取り扱い、又は試験研究のため製造する作業の概要及び当該周辺作業従
    事者が周辺作業に従事した期間を記録すべき事項としたこと。
   イ  石綿等に係る特殊健康診断の対象者の範囲の拡大等(石綿則第40条及び様式第3号関係)
     施行令第22条の改正に伴い、石綿則第40条第1項及び第2項について所要の改正を行ったこと。
    また、本改正に伴い、石綿則様式第3号に定める石綿健康診断結果報告書の様式について、所要の
    改正を行ったこと。
  (5)  施行期日(改正省令附則第1条関係)
    改正省令は、平成21年4月1日から施行することとしたこと。
  (6)  経過措置(改正省令附則第2条から第5条まで関係)
   ア  改正省令の施行の日(平成21年4月1日)において現に交付されている健康管理手帳については、
    改正省令による改正後の健康管理手帳とみなすこととしたこと。(改正省令附則第2条)
   イ  ニッケル化合物等又は砒(ひ)素等のガス、蒸気又は粉じんが発散する屋内作業場に設ける発散抑
    制の設備の設置、移転、又は主要構造部分の変更を平成21年7月1日前に行う場合には、安衛則第86
    条第1項及び法第88条第2項において準用する同条第1項の規定に基づく計画の届出を要しないことと
    したものであること。ただし、三酸化砒(ひ)素等のガス、蒸気又は粉じんが発散する屋内作業場に
    設ける発散抑制の設備に係る当該計画の届出については、従前のとおりであること。(改正省令附則
    第3条)
   ウ  ニッケル化合物等又は砒(ひ)素等を製造し、又は取り扱う設備で、改正省令の施行の日(平成21
    年4月1日)において現に存するものについては、平成22年3月31日までの間は、改正省令による改正
    後の特化則(以下「新特化則」という。)第5条の規定は、適用しないこととしたこと。ただし、三
    酸化砒(ひ)素等を製造し、又は取り扱う設備については、従前のとおりであること。(改正省令附則
    第4条関係)
   エ  ニッケル化合物等又は砒(ひ)素等を製造し、又は取り扱う特定化学設備を設置する屋内作業場で
    あって、改正省令の施行の日(平成21年4月1日)において現に存するものについては、平成22年3月
    31日までの間は、新特化則第21条の規定は、適用しないこととしたこと。ただし、三酸化砒(ひ)素
    等を製造し、又は取り扱う特定化学設備を設置する屋内作業場については、従前のとおりであるこ
    と。(改正省令附則第5条)
  (7)  石綿障害予防規則等の一部を改正する省令附則第4条の規定によりなおその効力を有するものとさ
   れる同令による改正前の石綿則の一部改正(改正省令附則第6条関係)
    石綿則第35条の作業の記録及び第40条の健康診断の改正を踏まえ、適用除外製品等に係る作業の
   記録及び健康診断について規定する石綿障害予防規則等の一部を改正する省令(平成18年厚生労働省
   令第147号)附則第4条の規定によりなおその効力を有するものとされる同令による改正前の石綿則
   第35条及び第40条についても同様の改正を行ったもの。

第3   細部事項
 1   改正政令関係
  (1)  施行令第6条関係
   ア  金属ニッケル(ニッケル合金を含む。)を溶接し、又は溶断する作業、研磨材を用いて研磨し、
    又は切断する作業等において、ヒューム等(主成分がニッケル化合物の一種である酸化ニッケル
    であるものをいう。以下同じ。)が発生する場合であっても、これらの作業は特定化学物質を製造
    し、又は取り扱う作業に該当しないが、発生したヒューム等を清掃する作業等については、特定
    化学物質を取り扱う作業に該当すること。また、これについては(3)においても同様であること。
   イ  労働者がニッケル化合物等又は砒(ひ)素等のガス、蒸気、粉じん等にばく露するおそれがな
    い作業は、特定化学物質を製造し、又は取り扱う作業に該当しないこと。
  (2)  施行令第18条及び第18条の2関係
   ア  特定化学物質の第二類物質であるニッケルカルボニルは、化学的にはニッケル化合物の一種で
    あるが、性状や有害性が他のニッケル化合物と大きく異なることから、今般の改正により特定化
    学物質とされた「ニッケル化合物(ニッケルカルボニルを除き、粉状の物に限る。)」とは別に規
    定することとしたものであること。
   イ  ニッケル化合物であって、ニッケルカルボニル以外のものについては、平成19年度に実施した
    リスク評価において、「粉状の物」の製造・取扱い業務のみにおいて労働者に高濃度ばく露が認
    められたことから、「粉状の物」に限って表示のほか、必要な規制の強化を行うものであること。
   ウ  「粉状の物」とは、流体力学的粒子径が0.1mm以下の粒子をいうこと。したがって、これより大
    きなニッケル化合物(ニッケルカルボニルを除く。)の粒子、塊又は液体の状態の物については、
    化学的にはニッケル化合物に該当したとしても、表示をしなければならない物である「ニッケル
    化合物(ニッケルカルボニルを除き、粉状の物に限る。)」には該当しないこと。ただし、ニッケ
    ル化合物(ニッケルカルボニルを除く。)を含有する液体を乾燥させて粉状のニッケル化合物を生
    じさせた場合には、その粒子径及び含有量が上記の条件を満たせば、該当するものであること。
    ニッケル化合物(ニッケルカルボニルを除く。)の大きな粒子又は塊を粉砕した場合も同様であること。
     なお、「粉状の物」の定義は、国際標準化機構(ISO)、欧州連合(EU)及び米国産業衛生専門家会
    議(ACGIH)において定義されている「インハラブル粒子」に対応するものであること。
   エ  今般の改正により表示をしなければならない物となる「ニッケル化合物(ニッケルカルボニルを
    除き、粉状の物に限る。)」と、通知の対象物である「ニッケル化合物」とでは、対象範囲が異な
    るので留意すること。
     このため、ニッケル化合物又はこれをその重量の0.1%以上含有する製剤その他の物に関する通
    知を行う際には、今後も、形状に関係なく全ての種類のニッケル化合物について化合物ごとの含
    有量を記載しなければならないが、その際、粉状のニッケル化合物の含有量を併記することが望
    ましいこと。
   オ  表示及び通知については、「主として一般消費者の生活の用に供される製品」は対象外とされて
    おり、その解釈として、平成12年3月24日付け基発第162号「労働安全衛生法及び作業環境測定法の
    一部を改正する法律の施行について」により、「労働者による取扱いの過程において固体以外の状
    態にならず、かつ、粉状又は粒状にならない製品」も含まれることが示されているところ、このよ
    うな製品の例として、砒(ひ)素若しくはその化合物又はこれらをその重量の0.1%以上含有する製
    剤その他の物を含有する半導体、半導体基板等が挙げられること。
   カ  表示及び通知において、鉱石等の天然物等、これらに含まれるニッケル化合物や砒(ひ)素化合物
    の種類や含有量がロットや採掘場所によって異なるものや、これらの化合物の種類や含有量を調査・
    分析することが著しく困難なものに限り、ニッケル又は砒(ひ)素として含有量を算定し、その結果
    を含有量として記載して差し支えないこと。
     なお、ニッケル化合物又は砒(ひ)素化合物を含有する製剤その他の物に係る関係法令の規定の適
    用の有無についても当該算定方法による結果により判断して差し支えないこと。
   キ  表示において、ニッケル化合物(ニッケルカルボニルを除き、粉状の物に限る。)を含有する製剤
    その他の物のニッケル化合物(ニッケルカルボニルを除き、粉状の物に限る。)の含有量を記載する
    ためには、粒度分布を調べ、流体力学的粒子径が0.1mm以下の物の重量比率を把握する必要があるが、
    これが困難な場合には、粒子径に関係なく粉状のニッケル化合物(ニッケルカルボニルを除く。)の
    含有量を記載すること。
   ク  金属ニッケルは、今般の改正前から通知の対象物となっており、従前のとおりであること。
  (3)  施行令第22条及び第23条関係
   ア  施行令第22条第1項の「石綿等の取扱い若しくは試験研究のための製造に伴い石綿の粉じんを発
    散する場所における業務」、同条第2項の「石綿等の製造若しくは取扱いに伴い石綿の粉じんを発
    散する場所における業務」及び第23条第11号の「石綿等の製造又は取扱いに伴い石綿の粉じんを発
    散する場所における業務」とは、石綿等の製造(施行令第22条第1項の場合にあっては、試験研究の
    ための製造に限る。以下アにおいて同じ。)又は取扱いが行われる作業場内における業務をいうも
    のであること。ただし、石綿等の密閉等により石綿の粉じんが発散しないよう措置された場所に
    おける石綿の粉じんにばく露するおそれがない業務は含まれないこと。
     なお、じん肺法施行規則(昭和35年労働省令第6号。以下「じん肺則」という。)別表第24号に掲
    げる粉じん作業は、石綿等の製造又は取扱いに伴い石綿の粉じんを発散する場所における業務に
    含まれるものであること。
   イ  アルシン及び砒(ひ)化ガリウムについては、施行令第22条第1項及び第2項の対象業務に係る物
    質ではないが、昭和34年5月14日付け基発第359号「特殊健康診断について」による健康診断の対
    象となっていることに留意すること。
  (4)  施行令別表第3関係
    今般の改正により特定化学物質の第二類物質とされたニッケル化合物は、表示しなければならな
   い物として追加されたニッケル化合物と同様であり、(2)に留意すること。
  (5)  改正政令附則第5条関係
    改正政令附則第5条の「現に使用されているもの」とは、一部改正令附則第2条の「現に使用され
   ているもの」と同様であり、例えば機械に組み込まれているシール材等が該当するものであること。
  (6)  改正政令附則第6条関係
    改正政令による一部改正令の改正により、譲渡及び提供が禁止されることとなった製品については
   表示及び通知の義務がなくなるが、改正政令附則第5条により製造等の禁止の規定が適用されない物
   については、引き続き譲渡又は提供が行われることが想定されることから、引き続き、これを表示
   及び通知の対象としたものであること。
  (7)  改正政令附則第7条関係
    この政令の施行前にした行為等についての罰則の適用については、なお従前の例によるものとした
   こと。
  (8)  その他
    今般の改正にかかわらず、次の事項については、従来より措置が義務付けられていることに留意す
   ること。
   ア  今般の改正後も、ニッケル化合物並びに砒(ひ)素及びその化合物のうち、特定化学物質とさ
    れなかったものについては、平成19年度に実施した化学物質のリスク評価において労働者への高濃
    度ばく露が認められなかった物であるが、いずれも有害性の高い物質であるため、安衛則第576条、
    第577条第593条第594条等に基づく措置を講じる必要があること。
   イ  金属ニッケルについては、人に対する発がん性の評価は低いが、皮膚感作性や呼吸器感作性を
    有する物質であるため、安衛則第576条第577条第593条第594条等に基づく措置を講じる必
    要があること。
   ウ  ニッケル化合物又は砒(ひ)素若しくは砒(ひ)素化合物(アルシン及び砒(ひ)化ガリウムを除く。
    以下同じ。)を含有する鉱石等を取り扱う作業については、鉱石等の当該物質の含有量に関係なく、
    じん肺法(昭和35年法律第30号。以下「じん肺法」という。)第2条第1項第3号に規定する粉じん作
    業に該当する場合は同法の規制の対象となり、また、粉じん障害防止規則(昭和54年労働省令第18
    号。以下「粉じん則」という。)第2条第1項第1号に規定する粉じん作業に該当する場合には同令
    の規制の対象となることに留意すること。
   エ  金属ニッケル(ニッケル合金を含む。)を溶接し、又は溶断する作業、研磨材を用いて研磨し、
    又は切断する作業等に伴いヒューム等が発生する場合において、当該作業がじん肺法第2条第1項
    第3号に規定する粉じん作業に該当するときは同法の規制の対象となり、また、粉じん則第2条第
    1項第1号に規定する粉じん作業に該当する場合には同令の規制の対象となることに留意すること。

 2   改正省令関係
  (1)  安衛則の一部改正関係
   ア  安衛則第53条関係
     周辺業務に従事した者については、作業状況によりばく露濃度が異なること等により当該業務
    の従事期間のみをもって交付することは困難であることから、石綿にばく露したことを示す客観
    的な指標である「両肺野に石綿による不整形陰影があり、又は石綿による胸膜肥厚があること」
    を健康管理手帳の交付要件としたこと。
     また、平成11年12月1日付け基発第682号「「健康管理手帳交付等関係事務取扱要領」の策定に
    ついて」は、所要の改正を行うこととしており、別途通達する。
  (2)  特化則の一部改正関係
   特化則第2条関係
     今般の改正によりニッケル化合物(ニッケルカルボニルを除く。)であって、粉状の物が管理第
    二類物質とされたが、「粉状の物」の定義については、1の(2)のウと同様であること。
   イ  特化則第5条第1項関係
     ニッケル化合物等及び砒(ひ)素等に係る特化則第5条第1項ただし書にいう「設置が著しく困難
    なとき」に該当するものとして次のような例があること。
    (ア) ニッケル化合物又は砒(ひ)素化合物を含有する鉱石等から金属を製錬する事業場において、
     コンベヤーにより当該鉱石等を運搬する場合
    (イ) ニッケル化合物又は砒(ひ)素化合物を含有する鉱石等から金属を製錬する事業場において、
     当該鉱石等を貯蔵する倉庫内でショベルローダー等により当該鉱石等を運搬する場合
   ウ  特化則第5条第7条第8条第36条及び第36条の2関係
    (ア) ニッケル化合物等又は砒(ひ)素等のガス、蒸気又は粉じんが発散する屋内作業場について
     は、特化則第5条に基づき発散抑制措置を講じなければならず、同条第1項に基づき設置された
     局所排気装置又はプッシュプル型換気装置については、特化則第7条及び第8条に規定する要件
     を満たさなければならないこと。
    (イ) ニッケル化合物等及び砒(ひ)素等に係る局所排気装置の要件、作業環境測定の方法及び測定
     結果の評価方法については、改正省令の施行の日までに、特定化学物質障害予防規則の規定に
     基づく厚生労働大臣が定める性能(昭和50年労働省告示第75号)作業環境測定基準(昭和51年労
     働省告示第46号)及び作業環境評価基準(昭和63年労働省告示第79号)を改正し、公示する予定で
     あること。
   エ  特化則第38条の14関係
    (ア) 改正省令による改正前の特化則における燻蒸作業に係る措置の規定は、植物検疫等における
     シアン化水素等(シアン化水素及びこれをその重量の1%を超えて含有する製剤その他の物をい
     う。)又は臭化メチル等(臭化メチル及びこれをその重量の1%を超えて含有する製剤その他の物
     をいう。)を用いた燻蒸作業を適切に行わせるために設けられたものであるが、動物検疫におけ
     る燻蒸作業や、医療機関、試験研究機関等での燻蒸作業において、ホルムアルデヒド等が使用
     されていることにかんがみ、燻蒸作業に係る措置の規制対象にホルムアルデヒド等を追加した
     ものであること。
      また、特化則第38条の14の燻蒸作業には、ホルムアルデヒド等のガスによる消毒作業や滅菌
     作業が含まれ、そのような作業については原則として同条の規定が適用されるが、屋内に労働
     者が立ち入ることが想定されない小型の消毒設備又は滅菌設備を設置して行う消毒作業や滅菌
     作業については、同条の規定は適用されず、同令第5条の規定が適用されること。
      なお、平成20年2月29日付け基発第0229001号「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令
     及び特定化学物質障害予防規則等の一部を改正する省令等の施行について」第2の1の(1)に
     より、ホルムアルデヒド等を用いて行う燻蒸の作業又はガス滅菌の作業において、労働者が燻
     蒸する場所又は滅菌設備の内部に立ち入る必要がある場合の特化則第5条の適用について示して
     いるところであるが、今般の特化則の改正により、このような場合については、同令第5条は適
     用されず、同令第38条の14が適用されること。
    (イ) ホルムアルデヒド等による燻蒸後の場所に労働者を立ち入らせる場合の空気中のホルムアル
     デヒドの濃度の測定については、検知管法又はこれと同等以上の性能を有する方法により実施
     しなければならないこと。
    (ウ) 改正省令による改正前の特化則第38条の14第1項第12号においては、濃度基準値を超える燻蒸
     後の場所への労働者の立入りを禁止してきたが、排気を行うための一時的な立入りについては
     例外的に認めることとし、立入りの際の条件を定めたこと。
      なお、排気を行うための一時的な立入りとは、当該場所に移動式の排気装置等を運び込んで
     排気することをいうこと。
    (エ) 医療機関、試験研究施設等におけるホルムアルデヒド等を用いた燻蒸作業は、一般的には、
     特化則第38条の14の規定のうち、燻蒸作業に共通の規定(同条第1項第1号から第6号まで及び
     2項)が適用されるものと考えられるが、当該ホルムアルデヒド等を用いた燻蒸作業が同条第1項
     第7号から第11号までに規定する燻蒸作業に該当する場合には、これらの規定(同項第7号第10
     又は第11号に規定する燻蒸作業の場合には、同項第12号も含む。)についても適用されるもの
     であること。
   オ  特化則別表第1関係
     鉱石中には、砒(ひ)素及びその化合物が不純物として微量含まれているが、多くの場合は鉱石
    の重量の1%以下であり、新特化則別表第1に規定する砒(ひ)素又はその化合物を含有する製剤そ
    の他の物に係る裾切値よりも低いため、その場合当該鉱石は特定化学物質ではないが、当該鉱石
    を金属へ製錬していく過程における砒(ひ)素又はその化合物の除去、除去された砒(ひ)素又はそ
    の化合物を三酸化砒(ひ)素等の原料として使用し、又は不要物として廃棄される過程等において
    鉱石中の砒(ひ)素及びその化合物の含有量が当該鉱石の重量の1%を超えることとなったときは、
    特定化学物質に該当すること。
   特化則別表第3及び別表第4関係
    (ア) ニッケル化合物等に係る特殊健康診断の項目について
      ニッケル化合物は、肺がん及び鼻腔がんの発がん性、鼻炎、副鼻腔炎、鼻中隔穿孔、鼻粘膜
     異形成等の耳鼻科的疾患、アレルギー性皮膚炎、喘息等を引き起こす感作性、腎毒性等の報告
     があり、特殊健康診断の項目の趣旨等については次のとおりであること。
     a   「作業条件の簡易な調査」は、労働者の当該物質へのばく露状況の概要を把握するため、
      前回の特殊健康診断以降の作業条件の変化、環境中のニッケル化合物の濃度に関する情報、
      作業時間、ばく露の頻度、ニッケル化合物のガス、蒸気、粉じん等の発生源からの距離、
      呼吸用保護具の使用状況等について、医師が主に当該労働者から聴取することにより調査す
      るものであること。このうち、環境中の濃度に関する情報の収集については、当該労働者か
      ら聴取する方法のほか、衛生管理者等からあらかじめ聴取する方法があること。
     b   「皮膚、気道等に係る他覚症状又は自覚症状」は、ニッケル化合物により生じる皮膚のか
      ゆみ、湿疹、喘鳴等の症状をいうこと。
     c   「皮膚炎等の皮膚所見の有無の検査」は、ニッケル化合物により生じる皮膚症状を考慮し
      たものであり、主に視診により検査するものであること。
     d   「作業条件の調査」は、労働者の当該物質へのばく露状況の詳細について、当該労働者及
      び衛生管理者、作業主任者等の関係者から聴取することにより調査するものであること。
     e   「尿中のニツケルの量の測定」は、当該労働者のばく露レベルを評価するためのものであ
      ること。
     f   「胸部のエツクス線直接撮影若しくは特殊なエツクス線撮影による検査」及び「喀痰の細
      胞診」は、肺がんを考慮した検査であること。なお、「特殊なエツクス線撮影による検査」
      とは、CT(コンピューター断層撮影)による検査等をいうこと。
     g   「皮膚貼布試験」、「皮膚の病理学的検査」及び「血液免疫学的検査」は、感作性皮膚炎
      を考慮した検査であること。
     h   「腎尿細管機能検査」は、腎毒性を考慮したものであり、尿中のβ2-マイクログロブリン
      の検査によるものであること。
     i   「鼻腔の耳鼻科学的検査」は、鼻腔がん並びに鼻腔内炎症及び鼻中隔欠損を考慮したもの
      であり、鼻腔の視診により検査するものであること。
    (イ) 砒(ひ)素等に係る特殊健康診断の項目について
      砒(ひ)素及びその化合物については、その代謝経路を考慮すると慢性毒性は三酸化砒(ひ)素と
     同様と考えてよいため、砒(ひ)素等に係る特殊健康診断の項目については、原則として改正省令
     による改正前の特化則における三酸化砒(ひ)素等に係る特殊健康診断の項目と同様としつつ、一
     部の項目については見直しを行い、定めたものであること。その趣旨等は次のとおりであること。
     a   「作業条件の簡易な調査」及び「作業条件の調査」については、ニッケル化合物等に係る
      特殊健康診断の項目と同様であること。
     b   肝機能障害を考慮した検査については、改正省令による改正前の特化則における三酸化砒
      素等に係る特殊健康診断の項目であった「尿中のウロビリノーゲンの検査」は行わず、二次
      健康診断(特化則第39条第3項の医師が必要と認める者について行う健康診断をいう。)の「肝
      機能検査」で対応することとしたこと。
     c   「尿中の砒(ひ)素化合物(砒(ひ)酸、亜砒(ひ)酸及びメチルアルソン酸に限る。)の量の測
      定」は、食事由来の砒(ひ)素化合物による影響を排除するため、測定の対象を砒(ひ)酸、亜
      砒(ひ)酸及びメチルアルソン酸に限定するとともに、改正省令による改正前の特化則におけ
      る三酸化砒(ひ)素等に係る特殊健康診断の項目であった「毛髪中の砒(ひ)素の量の測定」は
      行わないものとしたこと。
       なお、測定に当たっては、尿中の砒(ひ)酸、亜砒(ひ)酸及びメチルアルソン酸の合計の量
      を測定すれば足りるものであること。
  (3)  石綿則の一部改正関係
   ア  石綿則第35条関係
     周辺作業従事者については、当該周辺作業従事者が従事する周辺作業と当該周辺作業従事者の
    石綿のばく露量は直接関係がないため、当該周辺作業の概要については記録を要しないこととし
    たこと。
   イ  石綿則第40条関係
     特殊健康診断の対象者は、石綿則第15条(石綿則制定前においては、特化則第24条)により関係
    者以外の立入禁止措置を講ずべき作業場における作業(石綿等の密閉等により石綿の粉じんが発散
    しないよう措置された場所における石綿の粉じんにばく露するおそれがない作業を除く。)に常時
    従事し、又は常時従事していたものであること。
     なお、特殊健康診断の対象者の選定に当たっては、必要に応じ、当時の作業施設の見取り図(作
    業環境測定の記録等を含む。)、本人及び同僚等からの聞き取り調査、人事記録、じん肺健康診断
    の対象者であったこと等を踏まえて判断すべきものであること。
   ウ  石綿則様式第3号関係
     石綿健康診断結果報告書の裏面の別表の石綿業務の内容について、「石綿(これをその重量の
    0.1%を超えて含有する製剤その他の物を含む。)の製造又は取扱いに伴い石綿の粉じんを発散す
    る場所における業務(コード01、02、10に掲げる業務を除く。)」を追加したこと。

第4   関係通達の一部改正
 1   昭和34年5月14日付け基発第359号通達の一部改正
   昭和34年5月14日付け基発第359号「特殊健康診断について」の一部を次のように改正する。
   三の(一)の18及び(三)の表砒(ひ)素又はその化合物を取り扱う業務又はそのガス、蒸気若しくは粉
  じんを発散する場所における業務の項中「砒(ひ)素又はその化合物」を「砒(ひ)素化合物(アルシン又
  は砒(ひ)化ガリウムに限る。)」に改める。
 2   昭和47年9月30日付け基発第653号通達の一部改正
   昭和47年9月30日付け基発第653号「健康管理手帳所持者に対する健康診断の実施について」の一部
  を次のように改正する。
   別添「健康管理手帳所持者に対する健康診断実施要綱」の1の労働安全衛生法施行令第23条第5号
  の業務の項項目の欄中「毛髪若しくは尿中の砒(ひ)素量」を「尿中の砒(ひ)素化合物(砒(ひ)酸、亜砒
  (ひ)酸及びメチルアルソン酸に限る。)の量」に改める。
 3   昭和47年11月29日付け基発第762号通達の一部改正
   昭和47年11月29日付け基発第762号「健康管理手帳所持者に対する健康診断の実施の運営について」
  の一部を次のように改正する。
   別添2「契約書第3条の規定に基づき都道府県労働局長の定めるべき事項」15の(4)の[4]中「毛髪
  又は尿中の砒(ひ)素量」を「尿中の砒(ひ)素化合物(砒(ひ)酸、亜砒(ひ)酸及びメチルアルソン酸に
  限る。)の量」に改める。
 4   平成20年2月29日付け基発第0229001号通達の一部改正
   平成20年2月29日付け基発第0229001号「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令及び特定化学
  物質障害予防規則等の一部を改正する省令等の施行等について」の一部を次のように改正する。
   第2の1の(1)を次のように改める。
    (1) 削除